「北朝鮮は交渉相手たりうるのか?」

北朝鮮を巡る最大の課題は、日本にとっては拉致被害者の奪還にあり、アメリカに

とっては核兵器の抑制であり、北朝鮮の最大関心事はアメリカとの国交再開である。

その大前提がアメリカによるテロ国家の指定解除であるため、アメリカ

は北朝鮮と日本の両方に圧力を掛けてきた。拉致問題の調査再開と引き換えに、

日本政府は経済制裁の一部解除に向かうようだが、北朝鮮の実態に対する理解ゼロ

の対応である。軍幹部は太っていても、最前線の兵士はやせ細り、空軍は燃料不足

で演習もできず、陸軍の戦闘装備も貧弱な北朝鮮の唯一の命綱が核兵器である。

金正日が核兵器を失った時、彼が権力を失うわけだから、北朝鮮が核兵器を

廃絶することはありえない。もう一つの命綱は、中国である。

この二つの共和国は根底のところで瓜二つである。チベット問題は、四川大地震の

陰で見えなくなっているが、周辺の建物に被害がないにも拘らず、小学校が倒壊し

多くの児童が命を落としたことへの抗議デモが警察などの強権で抑えられ、子供を

無くした親同士が集まることも監視されている。移動の自由、意思表示の自由など

すべての人間としての自由を剥奪された監獄国家の北朝鮮を甘くみてはいけない。