世界初の人工子宮施設のコンセプト映像が公開。年間3万人の赤ちゃんが送り出される
2022年12月15日

まさにSF的光景だが、世界初となる、妊娠も出産もいらない、人工子宮サービス施設「EctoLife」のコンセプト映像が
公開された。
もしも現実のものとなれば、
親の希望どおりの赤ちゃんを、
毎年3万人生産(出産)できるようになる。
このような施設が必要な理由ははっきりしている。
80億人を突破した世界人口だが、いずれピークに達して
将来的に減少へ向かうと予測されているからだ。
日本、スペイン、タイ、韓国、ポルトガルなど、
世界の少子化の波は想像を上回るペースで進行している。
ならばテクノロジーの力で、
今後数十年の世界経済を支える若者を増やそうと
考える人たちがいるも自然の流れだろう。
EctoLife: The World’s First Artificial Womb Facility
妊娠も出産もいらない人工子宮施設
2017年、子宮の環境を再現したバイオバッグによって、
羊の赤ちゃんを育てることに成功した。
EctoLifeは、これを羊の代わりに人間で行おうというものだ。
動画で説明されているように、
EctoLifeのような施設があれば、
妊娠はおろか、受胎すらしないまま
人は子供を授かれるようになる。
過去数十年で出生率が大幅に低下していることは
よく知られているが、つい最近でも男性の精子が激減(過去46年でほぼ51%減)しているとの驚きの事実が報告されている。
だがEctoLifeのような施設ならば、
体外受精で受精卵を作り、それを人工子宮に
移植することで妊娠の成功率を高めることができる。
胎児の成長は常にモニタリングされ、
必要に応じて処置されるので、死産のリスクも少ない。
胎児はカプセルのような人工子宮内で育つので、
母体への負担はない。

人工子宮カプセルを自宅にセットして
対面を果たすことも可能
いざ出産のときも、痛みなどないし、血を流す必要もない。ボタン1つで、人工子宮カプセルのフタが開き、我が子と感動的な対面を果たすことができる。
妊娠期間中の幸せを味わいたいというのなら、
バーチャルリアリティや触覚フィードバックなどで、
赤ちゃんの様子を観察したり、
赤ちゃんがいる人工子宮の中を擬似的に体験したり、
マイクを通じて語りかけたりすることもできる。

また、人工子宮カプセルを自宅にセットすることも可能だという。

あくまでコンセプト動画
念のため言っておくと、
EctoLifeが近い将来実現するというわけではない。
EctoLife計画を進める企業や研究組織はまだ存在しない。
イエメンの映像作家で科学コミュニケーターである
シェム・アルガイリ氏が制作した、
あくまでコンセプト動画だ。
彼の過去作品には、
「永遠に空を飛び続ける原子力ホテル」のコンセプト動画があるが、EctoLifeも話だけなら一笑に付されそうなアイデアだ。
だが動画を見れば、
人工子宮サービス施設がもうじき本当に
実現するかのように思えてくるだろう。

少子化時代に対する問題提起
一方、こうした技術は常に倫理的な問題も含めて、
物議を醸す類のものであることにも気づくはずだ。
さまざまなオプションがあるとはいえ、
基本的に親は胎児を施設に預けっぱなしでいい。
10ヶ月の妊娠期間中にあるはずの、
まだ見ぬ我が子との(あるいは夫婦間の)交流は省略される。
また動画では、遺伝子工学の力で、
子供の容姿や知能は親の希望どおりに
調整できるとも説明されている。
こうしたオプションは、いつか「デザイナーベビー(スーパーベビー)」をめぐる競争に
発展する可能性さえあることだろう。
妊娠できない人、流産経験のある人、
遺伝的疾患のある人など、
こうした技術から恩恵を受けられる人がいるのは確かだ。
だが出生率が下がり続ける世界では、
人工子宮が子作りの主流になったとしてもおかしくはない。
このコンセプト動画は、いい面も悪い面も、
さまざまな議論のきっかけになることだろう。
References:Womb with a view: EctoLife baby farm eliminates pregnancy and labor / Artificial womb: Video shows what pregnancy may be like in the future / written by hiroching / edited by / parumo