大変遅くなりましたが、どうにかこうにか期間内に続きを間に合わせることが出来ました。
やったー!!
これで残るはあと1つですが、そちらはどうなるか微妙かも・・・。
なんて、間に合わなかったら企画外でUPすればいいだけですよね。
まあそんなことは置いといて、とりあえず今はやっとこさ出来上がった後編をお楽しみくださいませ。



彼が欲しい贈り物 【後編】 【メロキュンプレゼンツ!!《ハッピー♡プレゼント!!》】



とうとうやってきた、2月10日当日。
前以ってこの日の食事作りなどを約束していたキョーコは、広いマンションの中セッティングされた料理を横目に家主の帰りを今か今かと待っていた。
それはソワソワという可愛らしいものではなく、どちらかというと挙動不審という言葉が相応しい怪しげな動きで。
まあ、頭の中がこの先の展開で占められているのだから無理ないのかもしれない。
とはいっても蓮の帰宅予定時刻までまだ2時間以上もあるのだし、このままでは彼が帰ってくる前にぶっ倒れそうだと思った彼女は、とりあえず気を落ち着かせるため深呼吸をしようとする。
だがその瞬間チャイムが鳴り響いたものだから、心臓を益々バクバクさせながら玄関に向かっていく。
そして鳴らしたのが蓮だったことを覗き穴から確認し慌てて扉を開けた。

「お帰りなさい、敦賀さん。
お聞きしていた予定よりも随分早かったんですね。」

「うん、ただいま最上さん。
それが今日予定してた仕事の1つが急に先延ばしになったんだよ。
まあそのおかげでこうして早くに帰れて可愛い君の姿を見ることが出来たんだから、俺としてはラッキーだったな。
その服すごく似合ってるね。」

目を細めつつそんなことを言われ、瞬時に赤く染まった頬を誤魔化すかのようにキョーコは本日の服を用意してくれた親友のことを大げさなくらい褒めちぎる。
その彼女のシックな色合いだが所々ついた大小のリボンが可愛らしいワンピース姿を堪能してからリビングにやってきた彼は、入ってすぐ穏やかながらも若干の期待を滲ませた口調で問うた。

「それで、俺が望むモノの正体は分かった?」

帰ってきて5分も経たず核心をつくのはいささか早急すぎる気がしないでもないが、蓮とてまだ20歳代前半の若者。
いくら普段実年齢より大人びていようとも、好きな子が絡んだこの時ばかりはしょうがないだろう。
ましてや、欲しいモノが手に入るかもしれないという大事な瀬戸際でもあるのだから。
そういった心情を知る由もないキョーコは、突然の言葉に目に見えるほど全身を震わした後、慌てて置いてあった自身のバッグから何かを取り出し俯いたまま彼に差し出す。

「お、お誕生日おめでとうございますっ!これをどうぞ!」

彼女が渡そうとしているのは何と手作りらしいクッキーが小さ目な袋いっぱいに詰められたモノで、形はないと教えたにも関わらずそれを答えとして出された蓮は内心ガッカリしながらも礼を言い受け取った。
だが1つ食べようとした瞬間何かに気付き、驚いたように残りのクッキーに視線をやる。
そしてしばらくそのまま見ていた彼だったが、やがて俯くキョーコを抱きしめ満面の笑みで告げた。

「ありがとう、確かに受け取ったよ。
それも俺がずっと欲しかった“君の気持ち”をこんなにたくさん・・・。」

この言葉と抱擁にまさかといった表情で顔を上げたキョーコは、間近に見えた蓮の嬉しげな顔に思わず目を瞠ってしまう。
そう、彼の言った通りたくさんのハート型クッキーたちを自分の気持ちとして用意していたくせにだ。
もっともそれは奏江に指示されたからであって、本人は自分の気持ちで正解だなんて夢にも思っていなかったのだが。
それでも確かな温もりに触れているうちに、目の前の人物と想いが通じ合った喜びが湧き上がってきたキョーコは、ふと思い出したようにバッグから一緒に出しポケットにしまっていたカードを取り出した。

「あ、あの・・・これ、モー子さんからです。
絶対渡すよう頼まれてたのに、危うく忘れるところでした。」

「えっ、琴南さんから?一体何だろう・・・。」

同じく喜びに浸っていた蓮は訝しげにそう呟き受け取ったのだが、読み終えたと同時に苦笑を浮かべると腕の中の存在を優しく抱き上げどこかに向かおうとする。
それに焦って行き先を尋ねても教えてもらえなかったキョーコは、辿り着いた彼の寝室で目を回すようなことをされてしまうのだった。

そんなことがあった翌朝。
いくら両想いでもいきなりは酷いと言われた蓮がしたのは奏江のカードを見せることで、そこに書かれてある“自分からのプレゼントはリボンをつけたキョーコだから好きにしていい”の文面に抗議していた彼女は盛大に顔を引き攣らせたという。
まあ何はともあれ、欲しいモノ+αまで手に入れた男が上機嫌なのだから、これはこれでいいのかもしれない・・・。



おわり



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