備忘録 (2024年8月15日)               このブログは転載自由です

自由・平等・博愛は実現していないので、フランス革命は終わっていない。神ならぬ人間の言説は全て暫定的なもの。したがって、随時更新しなければならないので永遠に工事中!  

 

工事中!!
 

★★インターナショナル

 

【中国語】インターナショナル (国际歌) (日本語字幕)

上海東方衛星テレビの歌番組『中国之星』より

 

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【日本】


★★ルポ原発めぐり第2弾!宝の瀬戸内海を守れ!監視と住民排除の電力利権 <伊方原発・上関原発予定地>

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ルポ原発めぐり第2弾!宝の瀬戸内海を守れ!監視と住民排除の電力利権 <伊方原発・上関原発予定地>  2024/07/23
 

山岡淳一郎の全国の原発めぐり第2弾。福井の原発銀座から今回は瀬戸内海へ。
現地を歩き、反対運動を続けてきた人々の話を聞くと、露わになるのは国の原発政策の共通の欠陥と国と電力会社の住民に対する侮蔑。これからも全国の点をつなぎ声を集めて、原発利嫌の全体像を追います。
伊方原発の地盤は「積み木」のような緑色片岩。南海トラフ巨大地震でどうなる?
政府の推定死亡者数は23万人。県道の避難路は亀裂だらけ。5mの津波で港は壊滅。船での避難は夢物語。
上関の原発建設予定地の周りは監視カメラと、近づく人を追い返す看板だらけ。町道を下ると田ノ浦海岸の絶景!!  神の島「祝島」が横たわる。この海を埋め立てて原発を建てる計画は、福島原発事故後、事実上、凍結しているが、丘の向こうの海岸では「中間貯蔵施設」をつくるためのボーリング調査を実施中。だが、採取した地質のコア(棒状の試料)さえ、非公開。不透明なまま進められる原発政策を現地取材。
撮影:2024年5月10日〜5月11日

 

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備忘録【2024年8月15日】
 

★★この世の終わりとなる世界核戦争を誘発しかねないウクライナ戦争を始めたのは、アメリカのネオコン派!

 

マスコミに載らない海外記事:2024年8月11日

ウクライナ戦争を引き起こしたのは一体誰か? - マスコミに載らない海外記事ジョン・J・ミアシャイマー2024年8月5日 ウクライナ戦争を引き起こした責任は一体誰にあるのかという問題は、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以来、深く論争を呼ぶ問題になっている。 この質問の答えは極めて重要だ。なぜなら、この戦争は様々な理由で惨事になっているが、最も重要なのは、ウクライナが...リンクeigokiji.cocolog-nifty.com

ジョン・J・ミアシャイマー(米シカゴ大学教授。国際関係論での攻撃的現実主義派の代表的論者)

2024年8月5日

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2015年 シカゴ大学政治学教授ジョン・J・ミアシャイマー「ウクライナを中立化させることがベスト。ウクライナは西側に踊らされてる。このままではウクライナは滅びる」
2023/02/12


8年後の2023年、本当に滅びつつあるウクライナ…
The Causes and Consequences of the Ukraine Crisisより − 2015年6月4〜7日
シカゴ大学政治学教授 ジョン・J・ミアシャイマー

https://www.mearsheimer.com/biography/

 


 ウクライナ戦争を引き起こした責任は一体誰にあるのかという問題は、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以来、深く論争を呼ぶ問題になっている。

 この質問の答えは極めて重要だ。なぜなら、この戦争は様々な理由で惨事になっているが、最も重要なのは、ウクライナが事実上破壊されたことだ。ウクライナは相当の領土を失い、更に失う可能性が高く、経済は破綻し、膨大な数のウクライナ人が国内避難民となったり国外に逃亡したりしており、何十万人もの死傷者が出ている。もちろんロシアも大きな血の代償を払っている。戦略レベルでは、ロシアとヨーロッパ、そしてロシアとウクライナの関係は、予見可能な将来にわたり悪化しており、これはウクライナ戦争が凍結紛争に変わった後も、ヨーロッパで大規模戦争が起こる脅威がずっと続くことを意味する。この惨事の責任は一体誰にあるのかという問題は、すぐには消えないだろうし、むしろ惨事の規模がより多くの人々の目に明らかになるにつれ、より顕著になる可能性が高い。

 欧米諸国の通説では、ウクライナ戦争を引き起こしたのはウラジミール・プーチン大統領だ。この侵攻の狙いはウクライナ全土を征服し、大ロシアの一部にすることだったというのがその主張だ。その狙いが実現すれば、ロシアは東ヨーロッパに帝国を築こうとするだろう。第二次世界大戦後のソ連とよく似ている。したがって、プーチン大統領は欧米諸国にとって究極的に脅威で、力で対処しなければならない。つまり、プーチン大統領は、豊かなロシアの伝統にうまく適合するマスタープランを持った帝国主義者なのだ。

 私も同感だが、明らかに欧米諸国では少数派の意見である別の議論は、アメリカと同盟諸国が戦争を引き起こしたというものだ。もちろん、ロシアがウクライナに侵攻して戦争を始めたことを否定するものではない。しかし、紛争の主因は、NATOがウクライナを同盟に組み入れる決定で、ほぼ全てのロシア指導者は、これを排除しなければならない存在的脅威とみなしている。しかし、NATO拡大は、ウクライナをロシア国境の欧米の防壁とすることを目的とした、より広範な戦略の一部だ。キーウを欧州連合(EU)に加盟させ、ウクライナでカラー革命を推進して欧米寄り自由民主主義に変えることが、この政策の残りの2つの柱だ。ロシア指導部は三つの柱全てを恐れているが、最も恐れているのはNATOの拡大だ。この脅威に対処するため、ロシアは2022年2月24日に予防戦争を開始したのだ。

 ウクライナ戦争の原因は誰かという議論は、ドナルド・トランプ前大統領とイギリスのナイジェル・ファラージ議員という2人の欧米指導者がNATO拡大が紛争の原動力だと主張したことで最近白熱した。当然ながら、彼らの発言は一般通念を擁護する人々から猛烈な反撃を受けた。また退任するNATO事務総長イエンス・ストルテンベルグが過去一年に二度「プーチン大統領がこの戦争を始めたのは、NATOの扉を閉ざし、ウクライナが自らの道を選ぶ権利を否定したかったからだ」と述べたことも注目に値する。NATO事務総長によるこの驚くべき告白に欧米で異議を唱える人はほとんどおらず、彼もそれを撤回しなかった。

 ここでの私の目的は、プーチン大統領がウクライナを侵略したのは、彼が大ロシアの一部にしようとした帝国主義者だったからではなく、主にNATOの拡大と、ウクライナをロシア国境における欧米拠点にしようとする欧米諸国の取り組みのためだったという見解を裏付ける重要な要点を列挙した入門書を提供することだ。

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 まず、従来の常識を否定する七つの主な理由から始めよう。

 まず、2022年2月24日以前にプーチンがウクライナを征服しロシアに組み入れたいと考えていた証拠は全く存在しない。プーチンがウクライナ征服に固執していたことを示すような文章や発言を、一般通念の支持者は何も指摘できない。

 この点について反論されると、常識を広める人々は、プーチンがウクライナに侵攻した動機とはほとんど関係のない証拠を提示する。例えば、ウクライナは「人工国家」で「本当の国家」ではないと彼が言ったことを強調する人もいる。しかし、そのような不透明な発言は、彼がなぜ戦争を始めたのかに関して、何も語っていない。ロシア人とウクライナ人を共通の歴史を持つ「一つの民族」と見ているというプーチン発言についても同じことが言える。また、彼がソ連崩壊を「今世紀最大の地政学的大惨事」と呼んだことを指摘する人もいる。しかし「ソ連を懐かしく思わない者は心がない。ソ連の復活を望む者は頭がない」ともプーチンは言った。さらに、彼が「現代のウクライナは完全にロシア、より正確にはボルシェビキ、共産主義ロシアに作られた」と宣言した演説を指摘する人もいる。しかし、それは彼がウクライナ征服に興味を持っていた証拠にはほとんどならない。更に、彼は同じ演説の中でこうも述べた。「もちろん、過去の出来事を変えることはできないが、少なくとも、それを公然と正直に認めなければならない。」

 プーチンがウクライナ全土を征服し、ロシアに編入しようとしていたと主張するには、1) それが望ましい目標だと考えていた、2) それが実現可能な目標だと考えていた、3) その目標を追求するつもりだった証拠を提示する必要がある。2022年2月24日にプーチンがウクライナに軍隊を派兵した際、独立国家としてのウクライナを終わらせ、大ロシアの一部にするとプーチンが考えていた、まして意図していた証拠は公文書に存在しない。

 実際、プーチンがウクライナを独立国として認めていることを示す重要な証拠がある。ロシアとウクライナの関係を扱った2021年7月12日の有名記事(一般通念の支持者は、しばしば彼の帝国主義的野心の証拠として指摘する)で、彼はウクライナ国民に「あなた方は独自の国家を樹立したいなら歓迎する!」と語っている。ロシアがウクライナをどう扱うべきかについては「答えは1つしかない。敬意を持って」と書いている。彼はその長い記事を次の言葉で締めくくっている。「そしてウクライナがどうなるかは、国民が決めることだ」。これら発言は、プーチンは、ウクライナを大ロシアに組み入れたかったという主張と真っ向から対立する。

 2021年7月12日の同じ記事と、2022年2月21日に行った重要な演説で、ロシアは「ソ連崩壊後に形成された新たな地政学的現実」を受け入れるとプーチン大統領は強調した。2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻すると発表した際、彼は同じ点を3度目に繰り返した。特に「ウクライナ領を占領するのは我々の計画ではない」と宣言し、ウクライナの主権を尊重することを明らかにしたが、それも、ある程度までだ。「ロシアは、現在のウクライナ領から永続的脅威に直面している限り、安全と感じて、発展し存在し続けることはできない」。本質的に、ウクライナをロシアの一部にすることにプーチン大統領は関心はなく、ウクライナがロシアに対する欧米諸国の侵略の「踏み台」にならないようにすることに関心があったのだ。

 第二に、プーチン大統領がウクライナ傀儡政権を準備していたり、キーウで親ロシア派の指導者を育成していたり、あるいはウクライナ全土を占領し、最終的にロシアに統合することを可能にする政治的措置を追求していた証拠はない。

 これら事実は、プーチン大統領がウクライナを地図から消し去ることに関心があったという主張と全く相反する。

 第三に、ウクライナを征服するのに十分な兵力がプーチン大統領には全くなかった。

 まず全体の数字から見てみよう。私は長い間、ロシア軍がウクライナに侵攻した兵力は最大19万人だと見積もってきた。最近、ウクライナ軍の現最高司令官オレクサンドル・シルスキー将軍はガーディアン紙インタビューで、ロシア侵攻軍は10万人だったと述べた。実際、ガーディアン紙は戦争が始まる前に同じ数字を使っていた。10万人や19万人の軍隊でウクライナ全土を征服し、占領し、大ロシアに吸収するのは不可能だ。

 1939年9月にドイツがポーランドの西半分に侵攻した際、ドイツ国防軍の兵力が約150万人だったことをお考え願いたい。ウクライナは、地理的には1939年のポーランド西半分の3倍以上の大きさで、2022年のウクライナ人口はドイツ侵攻時のポーランドのほぼ二倍だった。2022年に、10万人のロシア軍がウクライナに侵攻したというシルスキー将軍の推定を受け入れるなら、ロシア侵攻軍はポーランドに侵攻したドイツ軍の15分の1の規模だったことにない。そして、その小さなロシア軍は領土の広さ、人口の両方でポーランドより遙かに大きな国を侵略していたのだ。

 数字はさておき、ロシア軍の質の問題もある。まず第一に、ロシア軍は主に侵略からロシアを守るために作られた軍隊だ。ウクライナ全土を征服したり、ましてヨーロッパ他地域を脅かしたりするような大規模攻勢を仕掛ける準備ができている軍隊ではなかった。更に、2021年春に危機が激化し始めた時、ロシア人は戦争を予想していなかったため、戦闘部隊の質は望ましくない点が多かった。そのため熟練した侵略軍を訓練する機会はほとんどなかった。質と量両面で、1930年代後半から1940年代前半のドイツ国防軍と同等からロシア侵略軍は程遠かった。

 ロシア指導部は、ウクライナ軍は規模が小さく、武器も劣勢なため、自国軍が容易にウクライナ軍を打ち破り、国全体を征服できると考えていたと主張する人もいるかもしれない。実際は、プーチン大統領と側近たちは、2014年2月22日に危機が最初に勃発して以来、アメリカとヨーロッパ同盟諸国がウクライナ軍に武器を供給し、訓練してきたことをよく知っていた。モスクワの大きな懸念は、ウクライナが事実上、NATO加盟国になりつつあることだった。更に、ロシア指導部は、自国の侵攻軍より規模の大きいウクライナ軍が2014年から2022年の間、ドンバスで効果的に戦っているのを観察していた。ウクライナ軍が欧米から強力な支援を受けていることから、迅速かつ決定的に打ち負かされる張り子の虎でないことを彼らは確実に理解していた。

 最終的に、2022年内にロシア軍はハリコフ州とヘルソン州西部から撤退せざるを得なくなった。事実上、戦争初期の数日間に征服した領土をモスクワは明け渡した。ウクライナ軍の圧力がロシア軍撤退を余儀なくさせる役割を果たしたのは疑う余地がない。しかし、より重要なのは、プーチン大統領と将軍たちが、ハリコフとヘルソンで軍が征服した領土全てを維持するのに十分な兵力を持っていないことに気づいたことだ。そのため彼らは撤退し、より管理しやすい防御陣地を作った。これはウクライナ全土を征服し占領するため構築され訓練された軍隊に期待される行動とは到底言えない。もちろん、その目的のため設計されたわけではなく、従って、非常に困難な任務を達成できなかったのだ。

 第四に、戦争が始まる数か月前、醸成されつつある危機に対する外交的解決策をプーチン大統領は見つけようとしていた。

 2021年12月17日、プーチン大統領はジョー・バイデン大統領とNATOのストルテンベルグ事務総長両者に書簡を送り、1)ウクライナはNATOに加盟しない、2)ロシア国境付近に攻撃兵器を配備しない、3)1997年以降に東欧に配備したNATO軍と装備を西欧に再配備するという書面による保証に基づく危機解決策を提案した。アメリカが交渉を拒否したプーチン大統領の第一段階の要求に基づく合意の実現可能性についてどう考えるにせよ、それは彼が戦争を回避しようとしていたことを示している。

 第五に、戦争が始まってすぐ、ロシアはウクライナに働きかけ、戦争を終わらせ、両国間の共存の道筋を模索するための交渉を開始した。

 キーウとモスクワの交渉は、ロシア軍がウクライナに侵攻したわずか4日後にベラルーシで始まった。そのベラルーシの交渉は、最終的にイスラエルとイスタンブールの交渉に取って代わられた。入手可能な証拠は全て、ロシアが真剣に交渉しており、2014年に併合したクリミアと、おそらくドンバスを除き、ウクライナ領を吸収するのに関心がなかったことを示している。交渉は終了時、順調に進んでいたが、イギリスとアメリカに促されて、ウクライナが交渉から離脱して終了した。

 更に、プーチン大統領は、交渉が行われ進展していた時、善意の表れとしてキーウ周辺からロシア軍を撤退させるよう求められ、2022年3月29日にそれに応じたと報告している。欧米諸国政府も元政策立案者もプーチン大統領の主張に異議を唱えていないが、これは彼がウクライナ全土を征服しようとしていたという主張と真っ向から矛盾する。

 第六に、ウクライナを別にすれば、東ヨーロッパの他の国々を征服しようとプーチンが考えていた証拠は微塵もない。

 更に、ロシア軍はウクライナ全土を制圧できるほどの規模もなく、ましてバルト諸国やポーランドやルーマニアを征服できるほどではない。さらに、これらの国々は全てNATO加盟国で、そうなれば、ほぼ確実にアメリカと同盟諸国との戦争になるはずだ。

 第七に、2000年にプーチンが権力を握ってから2014年2月22日にウクライナ危機が始まるまで、欧米諸国でプーチンが帝国主義的な野心を抱いていたと主張する人はほとんどいなかった。その時点で、彼は突如、帝国主義的侵略者になった。なぜか? それは、欧米諸国指導者連中が、危機を引き起こしたかどで、彼を責める理由が必要だったからだ。

 おそらく就任後最初の14年間、プーチンが深刻な脅威とみなされていなかったことを示す最も良い証拠は、彼が2008年4月にブカレストで開かれたNATOサミットに招待客として招かれたことだ。このサミットでNATOは、ウクライナとジョージアが最終的に加盟すると発表。もちろんプーチンはその決定に激怒し怒りを表明した。しかし、その発表に対する彼の反対はワシントンにほとんど影響を与えなかった。ロシア軍は1999年と2004年の拡大の波を阻止するには弱すぎたのと同様、NATOの更なる拡大を阻止するには弱すぎると判断されたからだ。NATO拡大を再びロシアの喉元に押し付けられると欧米諸国は考えたのだ。

 関連して、2014年2月22日以前のNATO拡大は、ロシア封じ込めを目的としたものではなかった。ロシア軍事力の悲惨な状況を考えると、モスクワはウクライナを征服する立場になく、東ヨーロッパで復讐主義政策を追求するどころではなかった。断固たるウクライナ擁護者で、プーチン大統領を痛烈に批判する元アメリカ・モスクワ大使のマイケル・マクフォールは、危機が勃発する前に、2014年のロシアによるクリミア占領は計画されていなかったと指摘している。それは、ウクライナの親ロシア派指導者を打倒したクーデターに対する衝動的行動だった。つまりNATO拡大はロシアの脅威を封じ込めることを意図したものではなかったのだ。欧米諸国はロシアの脅威があるとは考えていなかったためだ。

 2014年2月にウクライナ危機が勃発して初めて、プーチンは帝国主義的野心を持つ危険な指導者で、ロシアはNATOが封じ込めなければならない深刻な軍事的脅威だと突如アメリカと同盟諸国は描写し始めた。この突然の言説変化は、この危機の責任を欧米諸国がプーチンに押し付け、責任を免れられるようにする重要な狙いがあった。当然ながら、プーチンのこうした描写は、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻した後、更に大きな支持を得た。

 従来の常識にひねりを加えた点が一つある。モスクワがウクライナ侵攻を決断したのはプーチン本人とはほとんど関係がなく、プーチンよりずっと前から存在し、ロシア社会に深く根付いている拡張主義の伝統の一部だと主張するむきもある。この侵略への傾向は、ロシア外部の脅威環境ではなく、長年、近隣諸国に対し、事実上全てのロシア指導者を暴力的に振るまうよう駆り立ててきた内部勢力に引き起こされたと言われている。この言説において、プーチンが主導権を握っていること、または彼がロシアを戦争に導いたことは否定できないが、彼にはほとんど主体性がないと言われている。ほとんど誰でも、他のロシア指導者も、同じように行動したはずだ。

 この議論には二つの問題がある。まず、この議論は反証不可能だ。なぜなら、この攻撃的衝動を生み出すロシア社会の長年の特性が特定されていないためだ。誰が権力を握っていても、ロシア人は常に攻撃的で、これからもそうだと言われている。まるでそれが彼らのDNAに刻み込まれているかのようだ。これと同じ主張が、かつてドイツ人についてもなされていた。20世紀に、ドイツ人はしばしば生来の攻撃者として描かれた。この種の議論が学問の世界では真剣に受け止められないのには十分理由がある。

 更に、1991年からウクライナ危機が勃発した2014年までの間、アメリカや西欧諸国ではロシアを本質的に攻撃的だとみなす人はほとんどいなかった。ポーランドとバルト諸国以外では、ロシアの侵略に対する懸念は、この24年間、頻繁に表明されることはなかった。ロシアが侵略的なら当然だ。この議論が突然現れたのは、ウクライナ戦争を引き起こしたとしてロシアを非難するための都合の良い口実だったのは明らかだ。

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 話題を変えて、 NATO拡大がウクライナ戦争の主因だと考えられる三つの主な理由を述べたいと思う。

 まず、戦争が始まる前に、NATOのウクライナへの拡大は排除しなければならない存在的脅威だと考えているとロシア指導部全員が繰り返し述べていた。

 2022年2月24日以前にも、プーチン大統領は、この主張を展開する公式声明を数多く発表している。2021年12月21日、国防省理事会で、彼は次のように述べた。「彼らがウクライナで行っていること、またはしようとしていること、計画していることは、我が国の国境から何千キロも離れた場所で起きているのではない。それは我が国のすぐそばで起きているのだ。我々にはこれ以上退却する場所がないことを、彼らは理解しなければならない。我々がこれら脅威に気づいていないと彼らは本当に思っているのだろうか。それとも、ロシアに対する脅威が出現するのを我々がただ黙って見ていると思っているのだろうか?」2か月後の2022年2月22日、戦争が始まるわずか数日前の記者会見で、プーチン大統領は次のように述べた。「我々はウクライナのNATO加盟に断固反対する。これは我々にとって脅威で、これを裏付ける議論があるからだ。このホールで私は繰り返しこのことについて話してきた」。そして、ウクライナがNATOの事実上の加盟国になりつつあることを認識していることを明らかにした。アメリカと同盟諸国は「キーウの現政権に最新型兵器を大量に供給し続けている」と彼は述べた。更に、これを阻止しなければ、モスクワは「完全武装した『反ロシア』勢力を残すことになる。これは全く受け入れられない」と述べた。

 ウクライナ危機の原因として、NATO拡大が中心的役割を果たしていると国防大臣、外務大臣、外務副大臣、駐米ロシア大使を含む他のロシア指導者たちも強調した。2022年1月14日の記者会見で、セルゲイ・ラブロフ外相はこの点を簡潔に述べた。「全ての鍵となるのは、NATOは東方に拡大しないという保証だ」

 ウクライナが近い将来NATOに加盟する可能性はなかったため、ロシアの懸念は根拠がないという議論をよく耳にする。実際、戦争前にはアメリカとヨーロッパの同盟諸国はウクライナをNATOに加盟させることにほとんど注意を払っていなかったと言われている。しかし、たとえウクライナがNATOに加盟したとしても、NATOは防衛同盟なので、ロシアにとって実存的脅威にはならないだろう。したがって、NATO拡大は、2014年2月に勃発した当初の危機や、2022年2月に始まった戦争の原因ではなかったはずだ。

 この議論は間違っている。実際、2014年の出来事に対する欧米諸国の対応は、既存の戦略を強化し、ウクライナをNATOに一層近づけることだった。同盟は2014年にウクライナ軍訓練を開始し、その後8年間で毎年平均1万人の兵士を訓練した。2017年12月、トランプ政権はキーウに「防衛兵器」を提供すると決定した。他のNATO諸国も直ちに行動を起こし、更に多くの武器をウクライナに送った。さらにウクライナ陸軍、海軍、空軍はNATO軍との合同軍事演習に参加し始めた。ウクライナ軍を武装させ:訓練する欧米諸国の取り組みは、戦争初年、ロシア軍に対して非常にうまく戦えた理由のかなりの部分を説明する。2022年4月のウォールストリート・ジャーナルの見出しは「ウクライナの軍事的成功の秘密:長年のNATO訓練」と述べていた。

 ウクライナ軍をNATO軍と並んで活動できる、より強力な戦闘部隊にするための同盟の継続的な取り組みはさておき、2021年、ウクライナのNATO加盟に欧米諸国で新たな熱意が見られた。同時に、ウクライナのNATO加盟に、これまであまり熱意を示しておらず、進行中の危機を解決するためロシアと協力することを求める政策で2019年3月に選出されたゼレンスキー大統領は、2021年初頭に方針転換し、ウクライナのNATO加盟を受け入れただけでなく、モスクワに対し強硬姿勢をとった。

 2021年1月にホワイトハウスに入ったバイデン大統領は、長年ウクライナのNATO加盟に尽力しており、ロシアに対し超強硬派だった。当然ながら、2021年6月14日、NATOはブリュッセルでの年次首脳会議で声明を発表し「我々は、ウクライナが同盟国となるという2008年のブカレスト首脳会議での決定を改めて表明する」と述べた。2021年9月1日、ゼレンスキーはホワイトハウスを訪問し、アメリカが「ウクライナの欧州大西洋構想」に「しっかりと肩入れしている」ことをバイデンは明らかにした。その後、2021年11月10日、アントニー・ブリンケン国務長官とウクライナのドミトロ・クレーバ国務長官が、重要文書である「アメリカ・ウクライナ戦略的提携憲章」に署名した。この文書によれば、両国の目的は「ウクライナが欧州および欧州大西洋諸国の機関に完全統合するために必要な徹底的かつ包括的改革を実施する約束を強調すること」だ。また、アメリカの「2008年ブカレスト首脳宣言」への約束も明確に再確認している。

 ウクライナが2021年末までNATO加盟に向け順調に進んでいたことは疑いようがないようだ。それでも、この政策を支持する人々の中には「NATOは防衛同盟で、ロシアにとって脅威ではない」ため、モスクワはその結果を心配するべきではないと主張する人もいる。だが、プーチン大統領や他のロシア指導者はNATOについてそうは考えておらず、重要なのは彼らがどう考えているかなのだ。つまり、ウクライナのNATO加盟を、モスクワが放置できない存在的脅威と見ていたのは確実だ。

 第二に、NATOの拡大、特にウクライナへの拡大は、ロシア指導者から致命的脅威とみなされ、最終的には大惨事につながることを、欧米諸国で影響力を持ち高く評価されている相当数の人物が戦争前に認識していた。

 現在CIA長官のウィリアム・バーンズは、2008年4月にブカレストで開催されたNATOサミット当時、モスクワ駐在アメリカ大使だったが、当時のコンドリーザ・ライス国務長官に宛てたメモで、ウクライナをNATOに加盟させることに関するロシアの考えを簡潔に述べている。「ウクライナのNATO加盟は、(プーチン大統領だけでなく)ロシア・エリート層にとって絶対譲れない一線だ。クレムリンの闇にいる図体ばかり大きな愚か者から、リベラル派の最も痛烈なプーチン大統領批判者まで、ロシアの主要人物と2年半以上にわたり話したが、ウクライナのNATO加盟は、ロシア権益に対する直接の決闘状以外の物ではないと考える人物に会ったことがない」とバーンズは記している。バーンズは「NATOは…戦略的挑戦状の叩きつけと見なされるはずだ。今のロシアはそれに反撃するだろう」と述べていた。ロシアとウクライナの関係は完全に凍結されるだろう...それはクリミアとウクライナ東部へのロシア干渉にとって、肥沃な土壌を作り出すだろう。」

 2008年にウクライナをNATOに加盟させることが危険を伴うことを理解していた欧米政策担当者はバーンズだけではなかった。実際ブカレスト首脳会談では、ウクライナのNATO加盟を進めることにドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのニコラ・サルコジ大統領の両者が反対した。ロシアを驚かせ激怒させることになると理解していたからだ。最近、メルケル元首相は反対の理由を次のように説明した。「私はプーチンがそれをそのままにしておくはずがないと確信していた。彼から見れば、それは宣戦布告になる。」

 更に一歩進めて、1990年代にNATO拡大の決定が議論されていた時、多くのアメリカの政策立案者や戦略家がクリントン大統領の決定に反対した。これら反対者は、NATO拡大を自国の重要な利益に対する脅威とロシア指導者が見なし、最終的に、この政策が破滅につながることを最初から理解していた。反対者のリストには、ほんの数例を挙げるだけでも、ジョージ・ケナン、クリントン大統領の国防長官ウィリアム・ペリー、統合参謀本部議長ジョン・シャリカシビリ将軍、ポール・ニッツェ、ロバート・ゲーツ、ロバート・マクナマラ、リチャード・パイプス、ジャック・マトロックなど著名な体制側の人物が含まれていた。

 遠く離れた大国が西半球の国と同盟を結び、そこに軍隊を配備するのは許されないというモンロー主義を長年信じているアメリカ人は、プーチンの立場の論理は完全に納得できるはずだ。アメリカは、そのような動きを存在的脅威と解釈し、その危険を排除するため、あらゆる手を尽くすはずだ。もちろん、これは1962年のキューバ危機の際に起きたことで、核弾頭ミサイルをキューバから撤去する必要があるとケネディ大統領はソ連に明言した。プーチンも同じ論理に深く影響されている。結局、大国は遠く離れた大国が自国の裏庭にやって来るのを望まないのだ。

 第三に、ウクライナのNATO加盟に対するロシアの深い恐怖の中心は、戦争が始まって以来起きた二つの進展によって示されている。

 侵攻開始直後に行われたイスタンブールでの交渉で、ウクライナが「永世中立」を受け入れなければならず、NATOに加盟できないことをロシアは明らかにした。ロシアの要求をウクライナは特に抵抗することなく受け入れたが、それは彼らがそうでなければ戦争を終わらせることは不可能だと知っていたからに違いない。最近、2024年6月14日、停戦と戦争終結交渉開始に同意する前に、ウクライナが満たさなければならない二つの要求をプーチン大統領が提示した。その要求の一つは「NATO加盟計画を放棄する」とキーウが「公式」表明することだった。

 NATO加盟国としてのウクライナを、いかなる犠牲を払っても阻止しなければならない存在的脅威だとロシアは常にみなしてきたため、これは何ら驚くべきことではない。この論理がウクライナ戦争の原動力になっている。

 最後に、イスタンブールでのロシアの交渉姿勢や、2024年6月14日の演説での戦争終結に関するプーチン大統領発言から、彼がウクライナ全土を征服し、大ロシアの一部にすることに興味がないのは明らかだ。

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記事原文のurl:https://mearsheimer.substack.com/p/who-caused-the-ukraine-war

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 6日の広島原爆の日、松井一実広島市長はイスラエルを招待し、パレスチナを招待しなかった。広島市長、毎年新規職員研修で教育勅語を引用するという。昨年は学習材料から「はだしのゲン」を削除した。

 9日の長崎原爆の日、鈴木史朗長崎市長はパレスチナを招待し、イスラエルを招待しなかった。G7とEUは大使欠席。

 耕助のブログ

No. 2235 テロリスト国家イスラエル


 デモクラシータイムス

戦争国家づくり 岸田首相の妄想の夏 WeN20240810 1:37:00


<以下略>

 

<参考資料>

 

★ロシアのウクライナ侵攻直後の2022年4月、トルコで行われたウクライナとロシアとの和平協議で、ウクライナがNATO加盟を放棄し、中立国に成ると表明したため、和平は実現寸前となった。すると、当時の英国首相だったボリス・ジョンソンが突然キエフを訪問して、この和平協議を中止して戦争を継続するようにゼレンスキーを脅したので、ゼレンスキーは和平協議を中止させた。2022年9月、ボリス・ジョンソンは首相を辞任したが、その後、秘密裏にアメリカを訪問して共和党支持者の富裕層に対して、ウクライナへの軍事援助を止めてしまいそうなトランプの当選を阻止するための秘密活動をしていた!!

 

1:20:10~ボリス・ジョンソン「戦争は儲かる投資だ!! 狙いはロシアの豊富な資源!!ウクライナに軍事援助して最後までロシアと戦争をさせれば、我々富裕層は莫大な利益が得られる!!」

 

保守派の伊藤氏や水島氏と我々は、多くの点で意見は異なるが、真実は誰が言っても真実!!

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【伊藤貫の真剣な雑談】第15回 伊藤貫×水島総特別対談
 

★1997年、ネオコンの教祖ブレジンスキーは、ロシアをNATOが包囲して欧米に反抗しない国にするために、NATOを徐々に東進させる戦略構想を、アメリカの有名な外交専門誌「フォーリンアフェアーズ」で発表していた。

 

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ジェフリー・サックスが語るウクライナ和平への道   2024/05/29  

 

★2015年6月 

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現在のウクライナ危機の原因! (視聴者数,2971万回の講義) シカゴ大学講堂ジョンミアシャイマー教授  【日本語字幕付き】    2015年6月

 

2022/04/08
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世界的な米国際政治学者・ジョン・ミアシャイマー「ウクライナ戦争を起こした責任はアメリカにある!」【日本語字幕付き】   2022/04/08

【動画・概要】


2022年2月24日に勃発した「ウクライナの戦争」の歴史的原因は何か?
そして、その責任はいったい誰にあるのか?
オフェンシブ・リアリズム派(攻撃的現実主義派)を代表するアメリカの国際政治学者の巨匠で世界的な影響力を持つジョン・ミアシャイマーは、2022年3月4日発表した動画で、近年の国際政治的観点から、「ウクライナ戦争勃発の責任はアメリカにある!」と主張。
ときに大東亜戦争でアメリカが行った日本本土への東京大空襲や原爆投下や、冷戦時のキューバミサイル危機を例に出し、バイデンとアメリカの巨大な欺瞞の正鵠を射た、日本人必見の動画!

 

<コメント>


●●ほぼ全ての主張には暗黙の前提があり、その前提が正しい場合のみ、その主張は真となるし、この前提を理解していないと、その主張を正確に解釈することができない

 

●日本を代表するマルクス哲学者の一人である廣松渉によれば、人々の言明、主張には暗黙の前提がある。たとえば、「雪は白い」というような極単純な主張、言説にも前提があり、それは、この「雪」が本物の雪ということだ。

 

というのは、この「雪は白い」の意味を厳密に分析すれば、この「雪は白い」とは、「それは雪である」と「雪であるそれは白い」という2つの言説を合体させたものということになるからだ。要するに、この「雪は白い」の暗黙の前提は、前者の「それは雪である」ということになる。

 

それで、これは「本物の雪なら、その色は白い」という条件付きの文が「雪は白い」の真の意味ということになるし、熱帯地方の人で雪を一度も見たことが無い人には、この「雪は白い」の意味は理解できない。

 

●この「雪は白い」というような人間の単純な主張、単純な認識でさえも、人間の言説には、ある一定の条件、前提があるので、この記事のような多くの「A=B」というような命題から構成されている、このウクライナ戦争論には、多くの暗黙の前提があるので、このウクライナ戦争論は、こうした前提が正しければ、という条件付きの論説ということになる。また、この暗黙の前提を知らないと正確には理解できないということになる。

 

そのため、ある主張を正確に理解して評価するには、その主張に含まれる「AがBをイジメた」などの事実問題の吟味だけでなく、この前提を把握することと、その前提の信憑性、妥当性の吟味をすることが必要となる。

 

しかし、日本や欧米のマスメディアが「アメリカ様」の統制下にあるために、多くの日本人は、この前提、諸条件を知らないので、今の戦争はロシアでは無く、アメリカが始めた戦争と言われても理解できない。その一つのが、1997年に米国の有名な外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に掲載されたアメリカの政治学者兼政治家でネオコンの教祖だったブレジンスキーの論文だ。

 

●●1997年、米国で公表された冷戦後の世界戦略に基づいた計画的なNATOの東進攻勢により、ロシアが追い詰められて始まったウクライナ戦争

 

●ネオコンのブレジンスキーは26年前、ロシア(旧ソ連)とのNATOの「東方不拡大」の約束を破り、ロシアを軍事的に追い詰めるNATOの東進計画を「フォーリン・アフェアーズ」で提起した。その後のNATOの東進は、ほぼブレジンスキーが提案したタイムスケジュール通りに進められてきたので、ロシアは欧米諸国に、NATOを東進させる度に激しく抗議した。NATOの東進を許せば、やがてロシアはNATOに包囲されてしまい、NATOを主導する米国の属国と成ってしまうからだ。

 

2017年、米国のジョージ・ワシントン大学のアーカイブで当時の議事録が見つかり、欧米側のNATOの「東方不拡大」の約束について米国の歴史学者たちは、事実と認めている。ウソをついているのはアメリカとNATO諸国


バイデンは、米国がロシアがウクライナに侵攻するしか選択肢が無い立場に追い込んできたことを良く知っていたからこそ、誰も予想できなかった「ロシア軍の侵攻」を予想して的中させることができた。バイデンは、プーチンを侵攻に追い立てるドンバスへの激しい砲撃などの策を実行させながら、侵攻すると予言していた。

 

また、ソ連崩壊直後の1990年代、親米派政権だったエリツィン政権下で、ロシア国民が直面した大惨事も、その一つだろう。この時の大惨事、大不況の影響で、プーチン自身もタクシー運転手として働いていたというから驚くしかない。

 

●●ソ連崩壊直後の1990年代の親米派政権だったエリツィン政権下で、ロシア国民が体験した大惨事

 

●1990年代の10年間、ロシアはエリツィン政権下で、アメリカの顧問たちが主導した「ショック・ドクトリン」に基づいて、急激に市場経済が導入されたために、経済だけでなく、文化の面でも大混乱が生じて年金が廃止となったり、医療保険制度も壊滅した。

 

そのために、約300万人が貧困で医療費が払えないなどの問題で死亡し、たったの10年間でロシア人男性の平均寿命が10年も短くなったという。10年間で男性の平均寿命が10年も短くなるようなことは、ドイツ人の2割が殺害された17世紀前半の30年戦争のような大惨事が、1990年代のロシアで起きていたということだ。

 

●●ロシア人には、ロシアを騙した欧米の民主主義勢力を、ロシアの真の敵と思う国民が多いが、これはロシア政府のプロパガンダに騙されているからではなく、ロシア国民の1990年代の実体験の産物

 

●また、この1990年代にはロシアの地下資源などが、欧米の巨大金融資本と一体化したロシア人エリート層(その多くがユダヤ人)の裏切りで、市価の数パーセントの価格で欧米に売り渡され、ロシアは70兆円前後の国富を欧米諸国に奪われたが、その多くのエリート層は、大金を稼いでイスラエルに逃げてしまったという。

 

(ただし、ロシアでもユダヤ人の大量虐殺事件は度々起きていたので、逃げたユダヤ人に言わせれば、ロシアに対する報復だったのかもしれない)

 

こうした経験から、ロシア人にはロシアを騙した欧米の民主主義勢力をロシアの真の敵と思う国民が多く、侵攻を支持したロシア人が80%というデータは、日本で報道されているようにプーチンのプロパガンダで騙された結果ではない。

 

この腐敗したロシア人エリート層を、一掃したのが元KGBや軍内のプーチン派なので、ロシアでは、最大野党でロシア民族主義派のロシア共産党までも今回の侵攻を支持している。もちろん、プーチン派にも腐敗分子はいるが、1990年代ほど酷くはないのかもしれない。また、侵攻反対派の「ヤブロコ」のような親欧米派の政党や暗殺されたとされているナワリヌイ氏のグループもあるが、ロシアの親欧米派はエリツィン政権の与党だったので、大多数の国民は支持していない。

 

●もちろん、1990年代の惨状を知らない若い世代には、ウクライナ侵攻は理解できない人が多いし、ロシアは多民族国家なので、ロシアには、正規の国民として、ウクライナ民族だけでも約200万人もいる。また、70年以上も事実上の国民同士だったので、ロシア民族にもウクライナ民族と姻戚関係にある国民も多い。

 

そして、そもそも、どの国にも、当ブログのような戦争絶対反対派の国民は、1~2割はいるのが現在の世界なので、ロシアにも戦争反対派の国民は1~2割はいる。そのため、プーチンの支持率は最高でも80%前後だった。

 

●●ソ連解体後、プーチンは母校であるレニングラード大学の法学部教授に就任する予定だった

 

●日本のテレビや新聞は、プーチンを泣く子も黙る元KGBとして紹介し、国民に無慈悲な危険人物のイメージを植え付けている。プーチンにも詳しい伊藤貫氏によると、確かにプーチンは元KGBの職員だったが、007のようなスパイ活動をしていたわけではなく、KGBではアナリストだったという。

 

ソ連解体後、KGBを辞めたプーチンは大学時代の成績が優秀だったために、母校であるレニングラード大学時代の恩師であり、有名な急進的改革派のアナトリー・サプチャーク教授から、レニングラード大学の法学部教授に就任させることを約束され、博士論文を書いていた。

 

ところが、サプチャーク教授がレニングラード市(現サンクトペテルブルク市)の市長に当選したために、

プーチンは博士論文の執筆を中断して、一時的にサプチャーク氏を支えることになって1991年12月に、サンクトペテルブルク市対外関係委員会議長に就任した。

 

●すると、たちまち官僚としての事務処理能力を発揮して1992年には市副市長に就任し、プーチンに相談すれば何でも直ぐに解決するという評判がモスクワにまで届くようになったので、優秀な側近を探していたエリツィン大統領に呼び出され、1996年6月にロシア連邦大統領府総務局次長に就任した。すると、その3年後の1999年8月に、プーチンはロシア連邦首相に就任するという超スピード出世を果たした。

 

実はプーチンは、普段は一人で黙々と仕事をこなす寡黙な人物であり、また、部下にはプーチンが推薦する本を読むように指導し、時々読書会も開催している教師のような人物だという。しかし、ロシアのリーダーとしては、マッチョマンのような強い政治家を装う必要があるので、プーチンは皇帝のように振舞っているだけで、サプチャーク氏がレニングラード市長に就任しなければ、今頃はレニングラード大学の法学部教授だったという。

 

また、プーチンは毎年、年末には一人で、質問に制限を付けないで、4時間もの記者会見を開催し、外国の記者も参加させてきた。また、これとは別に、3時間前後も掛けて、国民の声を聴く国民対話集会も公開で開催している。このように、その能力は世界の政治家の中でも格別であることは間違いない。

 

●●ロシアが追い詰められれば戦術核兵器を使うか、戒厳令を発令して大量動員を行うかもしれない

 

●このNATOの東進を主因とするミアシャイマー教授の解説はその通りで正しい。ロシアが追い詰められれば戦術核兵器を使うか戒厳令を発令し、1000万人が動員された2回の世界大戦の時のように、大量動員を行うかもしれない。食料と燃料などの地下資源が十分にあるロシアが敗けることはまずあり得ない。

 

更に言えば、現在のロシア人の約70%がロシア正教徒なので、ロシア正教会の影響力も絶大であることは、プーチン派にとっても強力な援軍だ。ウクライナのNATO加盟は、アメリアにとって、カナダやメキシコが熱烈な反米国家になるようなものだから、ウクライナが中立化するまで戦争は続く。

 

●●ミアシャイマー米シカゴ大学教授らの攻撃的現実主義

 

●ミアシャイマー米シカゴ大学教授や伊藤貫氏が支持する攻撃的現実主義の国際関係論では、1962年の「キューバ危機」でのケネディ大統領らの対ソ連強硬策を容認する。この「キューバ危機」とは、前年の1961年に、日本のマスメディアは報道しなかったが、アメリカがトルコとイタリアに中距離核ミサイルを配備したことをソ連側が存亡の危機と捉えたことで始まった。

 

当時は、1970年に発効した核拡散防止条約(NPT体制)が確立する前だったので、アメリカがトルコとイタリアに中距離核ミサイルを配備したことも、また、ソ連がキューバに中距離核ミサイルを配備したことも国際法上では合法だった。しかし、アメリカ側もソ連がキューバに中距離核ミサイルを配備したことを国家存亡の危機と捉え、ケネディ大統領は、世界核戦争を引き起こす可能性がある戦争行為であるキューバの「海上封鎖」を実行し、ソ連に撤去を要求した。

 

●ミアシャイマー米シカゴ大学教授らによれば、当時も今も、アメリカと極めて敵対的な関係が続いているキューバのような近隣国に、中距離核ミサイルが配備されることは、アメリカにとっては容認できない敵対行為で、国際法違反であっても容認せず、何らかの反撃するのは当然と認める。

 

したがって、ロシア側にも、NATO加盟を目指して活動するウクライナと、ウクライナのNATO加盟に前向きなNATOとの緊密な関係を容認できない軍事的危機と捉え、何らかの反撃するのは当然の軍事対応だと認める。

 

●特にウクライナの場合、5分前後でモスクワに核ミサイルが届く。また、カルト的な反ロシアのネオナチ集団も存在する。そこで、NATO加盟を目指して活動しているウクライナとアメリカの両政府に何度も、ロシアは戦争を含めて敵対行動を行うと警告し、NATOの東進には激しく抗議してきた。

 

攻撃的現実主義の立場では、NATOの東進政策はロシアの反発を招き、却ってアメリカを危険に晒すと見なし、多極主義の方が世界を安定化すると考える。それで、彼らはカルト的な反ロシア派であるネオコンの一極覇権主義を批判してきた。そのため、攻撃的現実主義派はアメリカの政界はもちろん、マスメディアやアメリカの学界からもパージされ、学術誌にも論文は掲載されないという。

 

日本でも、攻撃的現実主義のミヤシャイマーを支持するような核戦争を心配する本物の軍事専門家たちは、ほとんどのテレビ局や全国紙からもパージされている。それで、何かと「言論の自由」、「報道の自由」を自慢する日本や欧米諸国の政府やマスメディアはスーツを着たヤクザなので、中露よりも質が悪い。

 

●●これ以外の暗黙の前提

 

●これ以外の暗黙の前提には、捏造されたホロドモール説や、ウソのマイダン革命説などもあるが、当ブログの立場で言えば、ロシア革命でウクライナ人がロシア人に支配されるようになったという現在のウクライナ人の被害者的な言説自体が誤解だ。

 

というのは、そもそも、ロシア革命はロシアの社会民主党左派の多数派だったボルシェビキ派だけで実現した革命ではなく、ロシア革命はボルシェビキ派とウクライナが本拠地だった社会革命党左派(左派SR:左派エスエル)の2つの政党による革命だったからだ。

 

●後に、この両党はドイツとの和平協議で、ドイツが停戦の条件としてウクライナの割譲を要求したことで対立するようになった。なぜなら、ウクライナが本拠地の左派エスエルにとってウクライナの割譲は、ウクライナの支持者に対する裏切りなので絶対に賛成できなかったからだ。


一方、長引く戦争で国内の経済システムが破綻寸前だったために、レーニンは何でも譲歩する姿勢で臨み、ウクライナの割譲も認めた。それで、左派エスエルはレーニントロツキーらのボルシェビキ派と対立し、レーニンの暗殺未遂事件まで起こしたので壊滅させられ、以後ソ連はボルシェビキ派による一党独裁体制が確立した。


●要するに、社会主義派は最初から一党独裁体制を目指したのではなく、一党独裁体制は歴史の偶然の産物という面もある。しかし、根本的には、フランス革命を手本にしたマルクスの政治論が、極めて楽観的であり、また、未熟だった面もあるのは間違いない。

 

そこで、ソ連という反面教師を体験した現在の日本や欧米諸国のマルクス派には、一党独裁体制を目指すような潮流はゼロではないとしても、既に極少数派となった。現在の日本や欧米諸国の共産党は議会制を前提に活動し、選挙で勝つことを目指しているが、マルクス派もロシア革命以降の旧ソ連などの歴史を学んで反省してきた。


●ロシア革命は、レーニンらのボルシェビキ派だけでなく、ウクライナが本拠地だった左派エスエルとボルシェビキ派とのコラボだった。そのため、現在のウクライナ人のように、ロシア革命を否定的に捉えた場合、ロシア革命とほぼ無関係の極東などの少数民族たちから見れば、スターリンの独裁体制が確立した責任は、左派エスエルを支持していたウクライナにもあると思うだろう。

 

だから、ロシア革命を否定的に捉え、ホロドモール説に依拠して、ロシア人に何百万人もジェノサイドされたと被害者だと言っている現在のウクライナ人たちは、このようなロシア人から見たら、どちらかと言えば加害者側民族であることを知らない。そもそも、被害者民族と加害者民族という単純な「二元論」的な捉え方自体が誤りと言う他ない。

 

●また、実は、ウクライナ人は帝政ロシアの宮廷でも活躍をしていたとロシア史が専門の歴史家は言っている。というのは、ポーランドやリトアニアの一部だった歴史が長いウクライナは、当時の先進地帯であった西ヨーロッパの諸事情に精通していた。

 

そこで、ウクライナ人のインテリたちは帝政ロシアでは政府の顧問的立場で重用されていたからだ。つまり、帝政ロシアによるウクライナ民族の「二等国民」的な差別政策の責任は、現在の日本の従米派の政治家や官僚と同じように、当時のウクライナの支配的エリート層にもある可能性もある。

 

●●2014年以降の内戦で敗北したウクライナのクーデター政権

 

●アメリカのネオコンとウクライナの極右派は2014年、当時のロシア人大統領ヤヌコヴィッチと与党に、デモ隊員50名弱を射殺したという濡れ衣を着せて、彼の政権を倒す「クーデター」を行った。その結果、キエフの政界から、ウクライナの少数民族ロシア人800万人以上を代表していた政治家たちはほぼ全員が追放されてしまった。

 

ロシア人の政治的代表がキエフの政界から、不当に追放された東部ドンバス地方とクリミアの親ロシア派は、この「クーデター」に反対する運動を起こした。すると、キエフの「クーデター」政権は、この運動をテロリストの運動だと決めつけ、ウクライナ軍をドンバス地方に派遣して内戦が始まった。

 

ミアシャイマー教授は、「ロシア指導部は、自国の侵攻軍より規模の大きいウクライナ軍が2014年から2022年の間、ドンバスで効果的に戦っているのを観察していた」と書いているが、正確にはウクライナ軍が効果的に戦えるようになったのは、「ミンスク合意2」で内戦が小康状態となって、欧米からの強力な支援を受けて建て直された2015年2月以降であった。

 

●当時のウクライナ軍は、つい最近まで、同じ国の国民だったロシア人への攻撃を命じられたので士気が上がらず、攻撃するどころか、ドンバスの住民に取り囲まれて説得されて帰隊してしまうなどの状態だった。また、ウクライナは財政破綻状態だったために、軍事費が足りず訓練も十分では無かったし、給料も遅配が続いていたことで、当時のウクライナ軍は戦争ができる状態では無かった。

 

この頃、親ロシア派の武装部隊との戦闘を担ったのは一部の空挺部隊と、ポーランドなどで米軍の教練を受けていた元傭兵や元ギャングが多いネオナチ部隊と、アメリカの軍事会社から派遣された英語を話す傭兵部隊だった。

 

一方、ロシア人側には、全土からドンバスに避難していたロシア人活動家や、離反した元ウクライナ軍のロシア人兵部隊、そして、全世界のスラブ民族の義勇兵部隊の参戦もあり、結局、ウクライナ軍を2度も大敗させたのだが、国連によると、この間に1万6千人以上の死者が出たので、ロシア系民間人だけでも1万人以上が虐殺され、100万人以上のロシア人が戦争難民となってロシア本土に逃れるという大惨事となった。

 

また、まだ地中に葬られている多数の民間人がいる可能も高い。アムネスティなどの国際NGOや中立機関、国連も確認しているロシア人の集団埋葬地がウクライナのネオナチ部隊が駐留していた近辺で発見されているからだ。

 

●2015年2月のデバルツェボの戦いで、ウクライナ軍の主力6000人~8000人が包囲されてしまった。この時、キエフの「クーデター」政権は、包囲されたウクライナ軍の主力を救出するには、和平に応じるしか手段が無かった。そこで、自らがテロリストと呼んでいたドンバスの親ロシア派への仲介を、恥を忍んで独仏に頼み、2015年2月には自治権を認める「ミンスク合意2」が締結された。

 

しかし、この和平協議は、ウクライナ軍をNATO式の訓練で鍛え、NATOの武器も供与して、精兵に鍛え直すための時間稼ぎの手段でしかなかった。つまり、NATO諸国とウクライナは、この協議に関わったプーチンとウクライナの親ロシア派勢力を、自治権の付与を餌にして騙した。

 

この協議が時間稼ぎでしかなかったことは、仲介した元ドイツ首相のメルケル自身が証言をしているので、間違いないが、この時、ロシア人側は約束を守って、包囲していたウクライナ軍主力を解放した。しかし、キエフの「クーデター」政権は約束を守らず、自治権を付与しなかったので、結局、内戦は2014年から8年も続いた。

 

●●イラクやアフガンを侵略して300万人以上も殺害し、コソボの独立を認めたNATO諸国やウクライナには、ロシアを批判する資格がない

 

●その後、ウクライナ側やNATO諸国は、ロシアによるクリミアの独立ー併合を非難しているが、コソボを承認したのはNATO諸国自身。また、ウクライナ側は2014年のクーデターで、ウクライナ憲法違反を冒したので、ウクライナ憲法はウクライナ側自身が消滅させてしまった。つまり、ウクライナ憲法は無くなったので、住民投票によるロシアによるクリミアの併合は、国際法上でも合法とも解釈できる余地がある。

 

そもそも、ロシア人が多いクリミアは歴代のキエフ政府に差別されてきたために、元々ロシアへの帰属を望む住民が多かった。これは、キエフ政権から、差別されていたクリミア・タタール人の大多数も同じであることは、日本の一水会の木村三浩氏や、元首相の鳩山由紀夫氏らが現地で確認している。

 

また、当時クリミアに駐留していたウクライナ軍の大部分の兵士たちもロシアへの併合に賛成し、ウクライナ軍から離脱してロシア軍に参加したことでも明らかだ。また、そもそも、イラクやアフガンを侵略して300万人以上殺害したNATO諸国やウクライナには、ロシアを批判する資格がない。

 

●●今の戦争が開始されたのは、ロシア軍が侵攻した2022年2月24日ではなく、その1年前の2021年1月以降か、あるいは2022年2月16日であり、始めたのはウクライナ軍

 

●ところが、2021年1月から、ドンバスの2つの「人民共和国」を包囲していたウクライナ軍が、それまでは双方が使用を控えていた大砲を使った攻撃を再開したので、ロシア系民間人が多数死傷する事態が復活した。そこで2021年、プーチンは2度もロシア軍を、ウクライナとの国境地帯に派遣して牽制した。

 

2022年2月15日、プーチンが国境地帯に派遣していたロシア軍の撤退を表明すると、翌日の16日から、ドンバスの2つの「人民共和国」を包囲していたウクライナ軍が、大砲を使った攻撃を4倍に増やしたので、多数のロシア系民間人が死傷する事態となった。そのため、プーチンは撤退を中止して2月24日、ロシア軍に侵攻を命じた。


●この戦争の背景には、帝政ロシア時代からの両民族の不和・対立があるので、この不和・対立を解消しなかった大国ロシアにも責任がある。ウクライナや他の東欧諸国がロシアを警戒し、NATO加盟を望まなければ、NATOも東進できなかったからだ。

 

しかし、2014年の「クーデター」(マイダン革命)を行って、ロシア人大統領ヤヌコヴィッチを失脚させたウクライナの極右派にも責任があるが、ミアシャイマー教授が言うように、2014年の偽旗作戦で「クーデター」を起こし、両民族の対立を煽ったアメリカのネオコンと軍産複合体に最も重い責任がある。

 

●●アメリカのネオコンと軍産複合体の狙いは、ロシアを長期の泥沼戦争に引き込み、疲弊させてプーチン政権を倒すことであり、ウクライナの救援ではない

 

●アメリカのネオコンと軍産複合体の狙いは、ウクライナを助けることではない。彼らにとってウクライナ人はロシア人と同じ正教系の教徒であり、所詮はスラブ民族に過ぎないからだ。彼らの狙いは、ロシアを長期の泥沼戦争に引き込み、疲弊させてプーチン政権を倒すことは、伊藤貫氏も主張しているし、2022年4月の和平協議を仲介したトルコの外相も証言している。

 

そして、ソ連崩壊後の1990年代のように、ロシアに親米政権を樹立して、ロシアやウクライナの地下資源などの利権を奪うことや、アメリカとロシアの親米政権中とで、中国を挟み撃ちにすることだろう。しかし、親米派のエリツィン政権時代の酷い苦難を経験した大多数のロシア人は、2度と親米政権を許容しない。

 

また、米露が提携して中国を倒したら、次はロシアが倒される番と知っているので、ロシアが敗北しそうになれば、戦術核兵器さえ使うだろうし、中国も公然とロシアに加担する。したがって、この戦争の帰結は、事実上のウクライナの無条件降伏か、ロシアによる戦術核兵器の使用のどちらかでしかない。

 

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