備忘録                             このブログは転載自由です

2014年に、ロシア人大統領の政権を倒す「クーデター」を行い、「クーデター」に反対したウクライナのロシア人をテロリストと呼んで、1万人以上も虐殺したウクライナも悪いが、ウクライナも含めた周辺国のロシアへの恐怖心を解消しなかったロシアも悪い。 しかし、最も悪いのは偽旗作戦で「クーデター」を起こして両民族の対立を煽った米国のネオコンと軍産複合体。 即時停戦を!!
 

神ならぬ人間の言説は全て暫定的なもの。したがって、随時更新しなければならないので永遠に工事中!   (2024年5月4日)

 

工事中!!

 

中国・モソ人の社会は母系社会。 モソの女性は、母系社会が最も進歩的社会だと断言している!!

 

 

Matriarchal Society の少数民族モソ人 2020/01/14

 

●古代から、母系社会という「もう一つの世界」(理想的社会)は現存していた。現在でも、人口は少ないが、民族の15%は母系社会であり、ヨーロッパ大陸以外の全ての大陸に母系社会は存在する。 離婚家族の大半は母系家族なので、先進国にも母系社会の卵が増殖している。

 

ヘーゲルの弟子であるマルクスは、<国家―社会―家族>というヘーゲルの保守的な根本思想を継承していたが、マルクスの弟子たちは、マルクス思想を<国家―社会―個人>という近代の部品から成る機械から類推した自然観である機械論的自然観に基づく近代主義的パラダイムに変え、マルクス思想を、人間の理性重視の進歩主義(事実上、人間を神と見なす人間主義)の一種にしてしまった。

 

その結果、社会的存在としての個人は、あくまでも「家族を背負った個人」であることや、社会の最小単位は家族であることも軽視して、マルクス思想を、個人から成る社会という近代的実体主義に基づく思想にしてしまった。 これは当時の保守反動派が、日本の天皇主義者のように、全体(国家:国体)が実体という立場で、個人を軽視していたことへの反作用だったのかもしれない。しかし、実はマルクス思想は部分も、全体も実体とは認めず、釈迦の仏教と同じように<関係>を第一次的なもの、つまり実体的なものと考え、部分も、全体も、<関係>の産物と考えたので、素粒子を「粒子」であると共に「波」とする非実体主義的な量子論とも整合している。

 

人間は、「x量のA商品」の価格として現象する価値というものを、「y量のB商品」の現物形態として認識し、「x量のA商品=y量のB商品」として、「x量のA商品」と「y量のB商品」の等値という関係として表し、認識してきたので、マルクス思想の神髄は、価値も<関係>の産物と考える東洋的思想だった。

 

●太古の昔から現在までの常識である実体主義の考え方では、まずAとBがあり、次に、このAとBが関係すると考える。一方、関係主義では、まずカントの「物自体」のようなXとYがあり、これが関係することで、それぞれがAとBとして現象していると考えるので、AとBよりも、<関係>の方が第1次的なものと言う意味で、唯物論的な関係主義。

 

おそらく、人類で最初に、この関係主義を唱えたのが約2500年前に「空」の思想を説いた釈迦。「此縁性」を説いた「自説経」には、「此(これ)が有れば彼(かれ)が有り、此(これ)が無ければ彼(かれ)が無い。此(これ)が生ずれば彼(かれ)が生じ、此(これ)が滅すれば彼(かれ)が滅す」とあるが、これはマルクスの物象化論的存在論であり、認識論と同じだ。

 

●人類には家族が安心して暮らせる相互扶助的共同体が必要だが、競争社会である資本主義では家族は敵対関係となるから、真の共同体(コミューン)は実現しないし、資本主義では貧困は無くせない。 

 

なぜなら、天才の遺伝子など見つかってはいない。 つまり、現生人類には生まれながらの天才などいない。 ところが、生まれながらの天才はいると意識的、無意識的に思っている資本主義の俗物たちに言わせれば、資本主義社会は、生まれながらの才能の差に応じて所得が配分される平等社会ということになり、格差社会の方が平等社会ということになってしまうから、資本主義では貧困は無くせない。

 

生まれながらの善人や悪人、貴人や賤民などいないし、天才や凡人もいない。 全ては生後的なものであって、この世は全て<関係>が創り出した物象(「空」的存在)の世界。また、本当に生まれながらの天才が実在するなら、新人類と見なすことになるからだ。

 

だから、教育費を全額社会が負担すれば、どんな発明・発見をした人も平均的所得で良い。また、価値基準自体が「1人殺せば犯罪者だが、100万人殺せば英雄」と言うように状況的、歴史的に変化するものでしかなく、そもそも普遍性が無いからだ。 生まれながらの天才や凡人がいると考える実体主義では真偽が逆となる。


●現在の日本では、子どもの7人に1人が相対的貧困状態だが、貧困で苦しむ子供がゼロとなる社会主義社会が実現されるまでの間は、子どもを育てる女性が一族の財産を継承し、決定権も握る母系社会の方が男性にとっても理想的社会。 なぜなら、「三つ子の魂百までも」という諺があるように、人類の一生で最も重要な時期は子ども時代だからだ。

 

人の幸福は、週末に家族や親族、友人、知人らと会食することであり、このようなどの国でも、太古の昔からしている普通の生活が持続できるスローライフ社会が、現時点での「理想社会」。だから、資本主義では人は幸福には成れない。なぜなら、資本主義では「夢を実現しよう」とか、「夢を諦めるな」などの自己に拘る価値観が尊ばれ、「自己実現」や「自己肯定」、「自己充足」などが人生の目標だと、毎日、あらゆるメディアから叩き込まれる。

そして、そのためには、「2位ではダメで1位になれるように努力しろ」、「敗けるな」、「頑張れ」と他者との競争を子どもの頃から強いられるので、人々は子どもの頃から苦行僧のような生活をして悪戦苦闘した結果、「ウツ病」となったり、最後には疲れ果てて倒れてしまう。

 

●人々を競争に追いやる資本主義は、「分割して支配せよ」という上級国民による階級支配の常套手段でもあり、上級国民は下級国民がデモやストライキで連帯して反抗することを最も恐れている。現在、日本では30年間も経済が停滞していたことが問題となっているが、その一因には、労働組合がほとんどストライキをしなくなったこともある。

 

これは、非正規労働者という下級国民が生み出されたために、正規労働者の組合員が非正規労働者にされることを恐れて、委縮したことも原因だろう。賃上げよりも、正規労働者の地位を守ることを優先したとも言えるので、30年間の停滞はアベノミクスだけが原因でもない。その証拠に、隣の韓国では度々、労働組合が大規模なストライキを行い、厳しく賃上げを要求してきた結果、円安も影響しているが、ついに日本よりも高い賃金の国になった。

 

●資本主義が人類を過度な競争に追いやった結果、人類に急速な「進歩」をもたらしたのは確かだが、その結果、人々は「癒し」を求めて彷徨うことになった。このような自己に拘る社会の人々は最終的には、「今だけ、金だけ、自分だけ」の人となり、日本社会は崩壊へと向かうだろう。


少子化による人口減少は警鐘であり、他者との競争を強いて人々を孤独の世界に叩き込む資本主義が一因。過度な競争を強いられた人々は、普通に生きることだけでも大変なら、子どもを産んでも不幸にするだけだからと、子どもは生まない方が良いと思うようになるのは確実だ。これも先進国の人口減少の一因であり、資本主義が核戦争を誘発させなくとも人類を滅ぼす経済システムである。


15分30秒~漢民族ではない少数民族モソ人の老婆たちは、衣食住の心配を無くした共産党に感謝し、毛沢東を神として毎日拝んでいる

★★ワルシャワ労働者の歌

 

 

「ワルシャワ労働者の歌」

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【日本】

 

★★緊急ライブ!実質移民解禁のトンデモ法案が進行中!これはマズイ

「髙橋洋一チャンネル」は、チャンネル登録者数 109万人のチャンネル
★緊急ライブ!実質移民解禁のトンデモ法案が進行中!これはマズイ
https://www.youtube.com/watch?v=QC3yNHzvpWI
2024/05/03

 

<コメント>

 

●髙橋洋一氏の研究では、日本が移民を解禁しても経済成長には余り役に立たないという。仮に、髙橋洋一氏の言う通り経済成長には余り役に立たないとしても、日本の企業が労働力不足に直面している一方で、日本で働くことを望む外国人がいる限り、事実上、移民労働を防ぐことは不可能であり、移民労働は地下化し、やがて移民たちは奴隷労働者となるのは必然だろう。

 

そもそも、移民労働者が誕生する背景の一つには、日本や欧米のような先進国の企業によるアジアやアフリカ、南米の開発途上国の政治への介入がある。要するに、先進国の企業が開発途上国の市場に参入したい場合、その国の為政者を買収して参入の許認可を得るようなことがしばしば起こり、その国の政治に悪影響を及ぼす。その国の為政者は買収資金で大富豪となり、金で味方を増やして独裁政権化するからだ。

 

●1986年の「ピープルパワー革命」で失脚したフィリピンのマルコス大統領や、エジプトのムバラーク大統領、30年以上、在任したインドネシアのスハルト大統領らは、先進国の企業が提供したワイロで肥え太り、独裁政権化して、それぞれの国の発展を阻害してきた。特に、酷いのがアメリカの政財界であり、彼らは親米派が多い南米の前近代的独裁政権を腐敗堕落させ、経済難民や政治難民を大量に生み出してきた。

 

特に、武器取引では、取引額の5%以上がワイロとして使われるのが常態化しているから、日本が武器輸出を始めてもワイロを使わないと絶対に売れない。つまり、日本が武器輸出に成功すればするほど、先進国も含めて世界中に腐敗堕落が広がる。

 

イギリスでは、輸入国の政治家や官僚の腐敗を助長するとしてワイロの使用を法律で禁止した。ところが、ワイロの使用が絶えないので、政府内に海外取引を取り締まる専門部署を作ったが、直ぐに軍事企業による武器輸出は、取り締まりの対象外にしてしまった。

 

武器輸出も取り締まると、イギリスの軍事産業は破産するからだ。また、武器に限らず、原油の精製設備などの巨大プラントの建設や高額な旅客機の売り込みなど、成功すれば莫大な利益が得られる事業を成功させるには巨額のワイロが必要なために、マルコスやムバラーク、スハルトのような独裁者が誕生した。

 

日本や欧米の政府はウクライナ戦争を、「民主主義VS独裁主義」の戦いとか言って正当化しているが、実は、グローバルサウス国の民主主義を阻害してきたのは、日本や欧米諸国自身であり、この資本主義の根本欠陥は先進国自体も腐敗させる。なぜなら、資金力がある巨大な輸出企業は政治家や学者、マスメディアも買収しているからだ。


日本政府は軍事面だけでなく、経済面の安全保障も重要と言い、「経済安全保障」を唱えているが、一方では、日本(やアメリカも)は市場シェア率が50%弱もあるロシアの原子力企業からウラン燃料を買い、原発の再稼働を進めるという矛盾した政策を採用している。原発に頼っていると、ロシアがウラン燃料を輸出禁止にした場合、日本は電力不足となるのに、政治家や学者、電力会社の莫大な広告費で潤うマスメディアは、この明らかな政策矛盾を指摘せず、沈黙している。

 

●日本も含めた西側諸国がグローバルサウスの民主主義の発展を阻害し、極度の格差社会にしている。日本は戦後の農地改革で、一般国民の子弟に高度な教育を受けさせることが可能となり、経済も発展させられたので、特に問題なのは「農地改革=土地改革」。グローバルサウスの国々、特に南米諸国が極度の格差社会を改善できないのは、近代以前から続く「大土地所有制」を廃止できないからだ。

 

そして、南米諸国の農地改革、土地改革を阻止している各国の大地主たちの反動政権を支えているのがアメリカなので、さしあたり、アメリカは南米などからの難民を受け入れる義務がある。また、アメリカや欧州諸国、日本は「テロとの戦争」で、数百万人もの中東やアフリカ諸国の民間人を虐殺し、無政府状態の破綻国家にしたので、日本や欧米は中東やアフリカ諸国の難民も受け入れる義務がある。

 

●しかし、難民たちも可能なら祖国で家族と暮らすのが理想なので、難民を受け入れるだけでなく、中村哲氏がアフガンで実行したように、彼らの祖国の経済再建にも協力すべきだ。つまり、髙橋洋一氏が主張するように、日本が移民解禁をしても経済成長には余り役に立たないとしても難民を受け入れ、彼らの祖国の経済再建にも協力する義務がある。

 

アフリカや中東の難民の急増は、西側が仕掛けた戦争だけでなく、地球温暖化も一因だが、地球温暖化も、大量のCO2を出してきた日本や欧米諸国などの先進国に責任がある。それで、先進国が難民を受け入れないと、子孫たちが将来、その「付け」を払う羽目になるだろう。

 

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<備忘録>(2024年5月4日

 

★★今こそ、9条を生かして軍縮を!! 緑の谷の奇跡~中村哲と9条(西谷文和×佐高信)


「デモクラシータイムス」は、登録者数19.7万人のチャンネル
緑の谷の奇跡~中村哲と9条(西谷文和×佐高信)【The Burning Issues】20240419
https://www.youtube.com/watch?v=0VkwRkVby1o
2024/05/03

平和をつくるものはなにか、アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲医師の活動を振り返り9条を考えます。
西谷さんが撮影した生前の中村さんの姿や中村さんと地元の人々の手で見渡す限りの砂漠地が緑の大地になった変化を映像で確認しながら、平和をつくりだすものは何かを語り合います。


軍隊で平和な暮らしは生み出せるのか、人々がその地で豊かに暮らせるようにすることこそが大事ではないかと、ぼそぼそと語り丸腰でひょうひょうと生きる姿で中村さんは私たちに教えてくれたのではないでしょうか。


「政府の仕事は二つあります、一つは国民を飢えさせないこと、もう一つは絶対に戦争をしないこと」と言った菅原文太さんを思い出しました。みなさまは、憲法記念日に何を思われましたか。
2024年4月19日 収録

 

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<休憩>

 

川の流れのように

 

 

★★ロシアより先に戦争を始めたのは米国とウクライナの可能性 (2・16開戦説の検証)

 

2022.11.23(水)

ロシアより先に戦争を始めたのは米国とウクライナの可能性 「ロシアの正義」を全否定せず、日本は停戦協議の場を用意せよ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72795
大崎 巌(
政治学者。22年3月まで、ロシア・ウラジオストックの極東連邦大学東洋学院・地域国際研究スクール日本学科・准教授

 

<以下略>

 

<コメント>

 

●●一歩間違えれば核戦争にエスカレーションしかねない世界的危機!!

●大崎巌氏は、ウクライナ危機は、世界核戦争を引き起こしかねない大惨事だが、日本や西側諸国は停戦させようとしていないと批判しているのだが、全くその通りだ。なぜ、停戦の声が弱いかと言えば、日本や欧米諸国の国民はマスゴミにより、ウクライナは何の落ち度もない被害国(絶対正義)、一方、ロシアは周辺国をイジメている悪魔のような加害国(絶対悪)という単純な善悪の構図で、この危機を捉えるようにマインドコントロールされているからだ。

 

この危機を、このような「善悪二元論」で捉えてしまうと、現時点で停戦を唱える勢力は実質的に、悪のロシア側に加担することになるという倫理的なブレーキが掛かるので停戦の声が大きくならず、逆に武器援助が叫ばれている。その結果、毎日大量の人命が失われているのだが、ウクライナ国民に戦う意思がある以上、人々はウクライナを支援し、停戦を唱えるべきではないと考えてしまう。

 

また、この「善悪二元論」で捉えることで欧米諸国の国民は、自分たちの代わりにウクライナ国民がロシアと戦ってくれていると思うようになり、政府のウクライナへの軍事的支援を許容するようになる。しかし、ロシア側だけでなく、ウクライナ側も悪いとなれば停戦の声が高まる。そこで、日本や欧米諸国では、ロシアを徹底的に「悪」と決めつけるプロパガンダが行われている。

 

●そもそも、「プーチンの戦争」と呼ぶ西側のマスゴミは、この戦争が2014年に起きた「クーデタ」に起源があることを隠蔽している。そして、この「クーデタ」で、ロシア人大統領ヤヌコビッチはロシアに亡命し、約40%も得票したこともあるウクライナ民族以外の少数民族と、ウクライナ人のロシア語話者の利益を代表していた「地域党」や「共産党」も解散させられた。

 

更に去年、ゼレンスキーは「地域党」の後継政党と目される最大野党である「野党プラットフォーム―生活党」などの全野党と、「生活党」系のテレビ局も潰したため、現在のウクライナは事実上の一党独裁体制。

 

ウクライナ政界にはロシア民族の利益代表はいないし、ロシア民族系のマスメディアも無い。議会に代表がいない以上、アメリカ独立戦争=民主主義の理念である「代表なくして課税なし」により、東部のロシア民族が、ウクライナから分離独立を目指すのは極めて正当だ。

 

また、2015年に締結した停戦とドンバスの自治を認めた「ミンスク合意2」を、ウクライナ政府が守っていないこと、2014年以降の内戦で今とは逆に、ウクライナ軍がロシア民族が1万人以上も殺害したこと、そして、ウクライナにはネオナチ集団が多く、軍にもネオナチが大勢いるが、日本や欧米のマスゴミは無視している。

 

●更に、西側の多くの知識人たちの警告を無視するマスゴミは、反ロシアの軍事同盟NATOが将来、ウクライナとジョージアを加盟させるとしたことも問題にしていない。ウクライナがNATOに加盟した場合、アメリカで例えれば、首都ワシントンから約400キロのニューヨークに、ロシア軍の基地が出来るのと同じだ。

 

1962年、アメリカはワシントンから2500キロのキューバへの核ミサイル配備も許容せず、核戦争のリスクを冒しても排除しようとして、アメリカは国際法違反の戦争行為である「キューバ海上封鎖」をした。このことでもわかるように、ロシアがウクライナのNATOに加盟を国家的危機と捉え、戦術核兵器も使いかねないことは明らかだ。

 

全ては、日本や欧米のマスゴミが国連も認めているロシア民族1万人以上の殺害という事実を隠蔽し、ウクライナは何の落ち度もない被害国(絶対正義)、一方、ロシアは周辺国をイジメている悪魔のような加害国(絶対悪)という単純な「善悪二元論」の構図で、この危機を国民が捉えるようにと、マインドコントロールしていることが最大の問題だ。★1


●しかし、そもそも国際関係は歴史的関係なので、一方が100%善で、一方は100%の悪というようなことはあり得ない。特に、ロシアとウクライナは帝政ロシア時代から続く複雑な関係だ。しかも、アメリカは先の大戦末期以来、ソ連=ロシア政府の転覆工作のためにウクライナの各界に6000億円も投じてウクライナの反ロシア派である極右やネオナチを育成・支援して内政干渉してきた。

 

特に、1991年のウクライナ独立以降、アメリカの内政干渉は激しくなり、2004年の「オレンジ革命」も、当時日本や欧米のマスゴミが主張していたような民主派と非民主派の対立ではなかった。「オレンジ革命」は、ウクライナの腐敗堕落した守銭奴政治家たちとアメリカの合作だったので、 「オレンジ革命」で誕生したユシチェンコ政権は汚職塗れとなり、支持率は最終的に一桁に落ち込み、2010年にはロシア人のヤヌコヴィッチ政権が誕生した。

 

アメリカのCIA研究者ダグラス・ヴァレンタイン氏は、CIAが第二次世界大戦末期以来70年以上もの間、ウクライナのネオナチ派の残党を利用して、ウクライナやロシアで政治工作をしてきた歴史を暴いた。

 

Takuya Yoshida」は、登録者数 1130人のチャンネル

CIA - ウクライナでの70年  2022/06/04

 

●統一教会をマインドコントロールの問題で批判しているテレビや新聞も、このウクライナ危機の件では、日本の国民をマインドコントロールしているし、同じ理由で、われわれの視点から見れば、統一教会を批判している日本国民も、ウクライナ危機ではマインドコントロールされているということになる。

 

また、大崎巌氏は、この戦争はロシア・ベラルーシ対ウクライナ・NATO(北大西洋条約機構)の軍事紛争であり、ロシア対西側連合の経済・イデオロギー戦争と喝破しているが、われわれも同意する。★2


●●一刻も早く停戦を実現させるためにできることは何か

 

●ところが、岸田政権はウクライナに攻撃兵器となるドローンを供与するだけでなく、対ロ制裁も実施してロシア側の主張を全否定している。米国の軍産複合体の手先バイデン政権が、極東でも事態をエスカレートさせれば、既に戦争の当事国となった日本は第3次世界大戦の戦場となる可能性もある。★3


そうである以上、日本国民はウクライナ側の主張だけでなく、ロシア側の主張も聞き、事態を評価するべきだ。すると、確かに、ウクライナも含めた旧東欧諸国との友好関係を築けなかったロシアにも責任はある。ロシアへの不信感が旧東欧諸国をNATO側に走らせたからだ。

 

しかし、2014年2月、謀略的「クーデタ」でロシア民族の代表でもあったロシア人大統領ヤヌコビッチを追放し、ロシア民族などの少数民族の利益を守る政党だった地域党も解体し、政府や議会からロシア民族の代表を排除したウクライナ政府や、この「クーデタ」を仕組んだアメリカにも責任がある。

 

 

●●「国際人道法」「保護する責任」(R2P)を冒し、ロシア民族を「二等国民」化し、代表を議会から追い出したたウクライナ。「代表無くして、課税なし」。ウクライナのロシア民族地域の分離独立は正当!!

 

●そもそも、2014年に「マイダン革命」と呼ばれている正当性が全く無い「クーデター」を起こしたウクライナの極右派の狙いは、ウクライナの少数民族であるロシア民族(人口800万人以上)のジェノサイトだった。

 

その証拠は、ウクライナの極右派が最も影響力を持っていた「クーデター」直後の暫定政権下の議会が、それ以前は地域的な公用語として認めていたロシア語を公用語から外したことだ。ロシア語が公用語から外されると、ウクライナ語の読み書きができないロシア語が母語のロシア民族やウクライナ民族は、公的な機関では働けないか、働けても幹部には成れない。

 

つまり、ウクライナ語で読み書きができないロシア語が母語のロシア民族やウクライナ民族を、「二等国民」にするということで、これでは、親欧米派のロシア民族まで暫定政権の敵にしてしまう。それで、「クーデタ」を実行させた欧米からの圧力で、この差別的な言語政策は大統領代行オレクサンドル・トゥルチノフによって拒否権が行使され、放棄された。


しかし、その後の2019年に事実上、ロシア語は公用語から外され、ロシア語でしか読み書きができない国民は「二等国民」に落とされた。言語は文化の基盤なので、この政策はロシア文化の抹殺であり、文化的ジェノサイト政策だった。

 

そもそも、「クーデター」はウクライナ憲法違反なので、クーデターを革命として正当化したキエフの暫定政権はウクライナ憲法を廃止したということであり、憲法が消滅したということは、主権国家ウクライナも消滅したということなので、東南部の親ロシア派地域の分離独立も合法だ。

 

●ロシア民族の代表者でもあったヤヌコビッチの政権が暴力で潰され、ロシア民族などの少数民族の政党である地域党も解体されて議会から排除された。ロシア民族の正当な代表者が排除された以上、ロシア民族が分離独立を目指すのは、近代の民主主義の理念からも正当だ。

 

なぜなら、これはアメリカ独立戦争の時、「代表無くして課税なし」と唱えて、イギリス政府と戦い、独立したアメリカの植民地民と同じ立場に、800万人以上ものロシア民族は置かれたからだ。

 

●また、ロシアはウクライナの領土や主権を奪って、ウクライナの安全保障政策まで制限しようとしていると欧米諸国などから批判されている。しかし、こうした批判の前提は、ウクライナが国内の少数民族を組織的に大量虐殺したりしない普通の主権国家である場合だけだ。

 

2014年の「クーデタ」以降、1万人以上もの国内の少数民族ロシア人を虐殺したウクライナの主権は、「国際人道法」「保護する責任」(R2P)により制限される。そして、今回のロシアの軍事侵攻は、「保護する責任」による国際義務の遂行として合法の可能性もある。また、むしろ、ウクライナ政府によるロシア民族の大量虐殺を見過ごしてきた欧米諸国の方が、この「保護する責任」が課している国際義務違反となる可能性すらある。


ウクライナの「クーデタ」政権は、ロシア語の話者に対してロシア語を公用語から外すという、極めて挑発的な制裁をした。この言語政策は欧米諸国からも批判され、後に撤回されたようだが、ロシア語が公用語から外されると、ロシア語しか話せないロシア民族は、政治家や公務員には成れなくなる。更に、やがて民間企業でもロシア語の話者は就職できなくなったり、幹部には昇進できなくなる蓋然性があった。つまり、ロシア民族の大部分は「二等国民」化されたということで、これもロシア民族が、ウクライナから分離独立を求める大きな要因となった。

 

●戦争の根源と、独仏の仲介でウクライナのポロシェンコ大統領自身がサインした2015年の「ミンスク合意2」を守らなかったウクライナ


●大崎巌氏は、日米欧の政治家・メディア・専門家の多くが、ロシアが領土拡大が目的の侵略戦争を始めたので、ウクライナ人は祖国防衛戦争をしているだけと、事実を胡麻化していることに強い危機感を覚えると述べている。

一方、ロシア国民の大多数は「祖国防衛とロシア人解放のための軍事作戦」としているので、この戦争は「プーチンの戦争」ではないし、そもそも、「プーチンの戦争」という言葉自体が、英雄が歴史を造るという近代以前の英雄史観で問題外であり、「プーチンの戦争」と呼ぶ者は学者の資格がない。


●最も重要なのは、この戦争の起源。なぜなら、西側の主要メディアは大前提として2・24に大義が無い侵略戦争を始めたロシアは悪と決めつけて報道しているからだ。しかし、大崎巌氏は、この「2・24開戦説」ではなく、国連平和維持活動の政策責任者を務め、NATOのウクライナ支援プログラムにも参加したジャック・ボー氏の2月24日ではなく、2月16日にウクライナが戦争を始めたという「2・16開戦説」を支持している。

大崎巌氏は、ボー氏の「ウクライナの軍事情勢」を検証し、この紛争の根源について、次の4点を取り上げている。


①この紛争の根源は、2014年2月の「クーデタ」やロシア語の公用語からの除外、マリウポリオデッサなど各地で発生したロシア民族の大量虐殺事件としている。

②プーチンは、ウクライナのNATO加盟を阻むためにドンバス地域は独立ではなく自治を要求し、ウクライナの係争地域として留まることを望んでいた。ウクライナにロシアとの係争地域がある限り、ウクライナのNATO加盟は不可能だからだ。

 

ところが、政府にテロリスト呼ばわりされて攻撃されていたドンバスのロシア人たちはウクライナに愛想が尽きていたので、クリミアのように「独立→ロシア併合」を望んでいたため、ドンバスが独立するかどうかを決める住民投票を実施した。つまり、2014年5月の住民投票は、プーチンの意向に反して行われた。

③2014年、ボー氏がNATOで小型武器の拡散との戦いを担当していた時、ロシアから反政府勢力に兵器や軍装備品が渡されたことはなかった。ウクライナ軍のロシア人部隊が寝返ったり、義勇兵が応援に駆け付けたために、ドンバスの反政府勢力の武装化が進んだ。

 

2015年2月、ウクライナ軍の6000~8000名がデバルツェボで包囲され、全滅の危機に陥った。それで、この軍を救うために、ウクライナ政府は2015年2月、独仏の仲介で国際公約である「ミンスク合意2」協定が結ばれた。

④この協定では、両共和国には自治を約束していた。両共和国の地位は政府と両共和国の代表との交渉で決めると規定されていた。しかし、政府が交渉を始めないので、ロシアは合意の履行を求め続けた。

 

ウクライナ政府は、2014年9月と2015年2月に政府軍が民兵部隊に2度も大敗北したことを認められず、ロシア軍の介入のせいにしてきたが、2022年2月23~24日より前に監視団の監視員がドンバスで活動するロシア軍部隊の痕跡を観測したことは一度もなかった。

●●極右民兵の創設と、今年の2・16以降のウクライナ軍の激しい集中砲撃


●ロイター通信によると、2020年、全兵力31万1000人の内、民兵は10万2000人もいた。これは、ウクライナ政府が軍事費不足で弱体化した軍を補う戦力を、外国人傭兵が多い民兵部隊に頼っていたからだ。ボー氏によると、この部隊の多くは白人至上主義のネオナチで、その特徴として下記の2点を指摘している。

①米英仏・カナダは、内戦が始まった2014年から、ロシア人をレイプし、拷問や虐殺などの数多くの戦争犯罪を犯していたアゾフ連隊などのネオナチに武器と資金を提供して軍事訓練を施した。

②このネオナチ民兵は、ドンバスで、2014年から活動していた犯罪集団でもあるが、ネオナチの人種差別イデオロギーをウクライナに拡散した猛烈な反ユダヤ主義のネオナチだった。狂信的で残忍な過激派民兵は、マイダン革命を活気づけた極右集団から創設された

 

ロシアだけでなく、ユダヤ人団体、西側メディア、米陸軍士官学校の反テロセンターなどもウクライナの民兵を「ナチ」や「ネオナチ」と特徴付けている。★4

 

●その上で、ボー氏は今年2月24日にロシアが軍事介入するまでのドンバスの状況について、次のように分析している。

①2021年3月24日、ゼレンスキーはクリミア奪還命令を出し、南部に軍を配備し始めた。同時に黒海とバルト海でNATOの軍事演習が何度か行われ、ロシア国境沿いの偵察飛行が大幅に増加した。その後、ロシアは軍事演習を実施した。2021年10月、ウクライナはミンスク合意に違反し、ドンバスでドローン攻撃を行った。

②2022年2月11日、独・仏・露・ウクライナの補佐官級会合は成果が出ずに終わり、米国からの圧力の下で、ウクライナは「ミンスク合意2」の適用を拒否した。プーチンは、西側はウクライナに「ミンスク合意2」を遵守させるつもりはないと言った。ドンバスの政府軍側では軍事的準備が進み、15日、ロシア議会は両共和国の独立を承認するようプーチンに求めたが拒絶し、ロシア軍の撤退を表明した。

③2月16日以降、OSCE監視団の日報が示す通り、ドンバスの住民に対する砲撃が激増した。当然のことながら、西側のメディアと政府、EU、NATOは何も反応せず、介入しなかった。EUや一部の国々は、ドンバス住民の虐殺がロシアの介入を引き起こすことを知りながら、虐殺について故意に沈黙を保ったようだ。

④早ければ2月16日にバイデンは、ウクライナ軍がドンバスの民間人を砲撃し始めたことを知っていた。プーチンは、ドンバスを軍事的に助けて国際問題を引き起こすか、ロシア語話者の住民が粉砕されるのを傍観するか、難しい選択を迫られた。

⑤プーチンは、介入すれば、「保護する責任」(R2P)の国際義務を呼び起こせること、介入の性質や規模にかかわらず制裁の嵐を引き起こすことを知っていた。ロシアの介入がドンバスに限定されようが、ウクライナの地位について西側に圧力をかけるためにさらに突き進もうが、支払う代償は同じだろう。2月21日、彼は演説でこのことを説明し、下院の要請に応じて2共和国の独立を承認し、彼らとの友好・援助条約に署名した。

⑥ドンバスの住民に対するウクライナ軍の砲撃は続き、2月23日、両共和国はロシアに軍事援助を求めた。24日、プーチンは、防衛同盟の枠組みの中での相互軍事援助を規定する国連憲章第51条を発動した。

⑦国民の目から見てロシアの介入を完全に違法なものとするために、西側諸国は戦争が実際には2月16日に始まったという事実を意図的に隠した。一部のロシアと欧州の情報機関が十分認識していたように、ウクライナ軍は早ければ21年にドンバスを攻撃する準備をしていた。

●●「2・16開戦説」の検証。今回の戦争を始めたのはウクライナと背後のアメリカ!!

●米英の情報機関で訓練を受け、スイス戦略情報局員だったジャック・ボー氏は、主に西側の公開情報や国連・OSCE(欧州安全保障協力機構)ウクライナ特別監視団(以下監視団)の客観的なデータを提示しながらこの戦争を緻密に分析している。ロシアの介入が始まる前の軍事情勢も踏まえつつ、中立機関のデータなどを基に2・16開戦説を検証してみよう。

「今年2月16日からウクライナ軍がドンバスの住民を集中砲撃し始めた」とボー氏が主張する根拠となっているのは、OSCEが作成した「監視団の日報・現地報告」だ。日報では、ドネツク・ルガンスク地域における停戦違反と砲撃の回数・場所が報告されている。

●今年の2月15日、プーチンが国境地帯のロシア軍の撤退を表明すると、翌日の16日から、ウクライナ軍は2つの人民共和国への砲撃を4倍も増やした。これは、ロシア軍の撤退を阻止するための攻撃だ。

 

ウクライナのロシア人が攻撃され、死傷者が多数でているのに、プーチンが軍を撤退させたら、プーチンはロシアのナショナリストから、ロシア民族を見捨てたと非難されるからだ。

 

アメリカが傀儡であるゼレンスキー政権に命じて実施した攻撃だった可能性がある。その目的は、①ロシアを侵略者に仕立てて悪魔化し、ロシアとEUとの政治的・経済的な協力関係を断つ、②ロシアをウクライナとの長期戦争に引き込んで弱体化し、プーチン政権を倒す、③EUに、ロシアではなく、アメリカのエネルギーを買わせる、④EU諸国にアメリカ製の武器を買わせるなどのために、ロシア軍の撤退を阻止してウクライナに軍事進攻させるワナだった可能性がある。★5

 

実際にデータを確認してみたが、1日平均の停戦違反・砲撃数は、昨年は257回・約70発、今年は2月14日までは200回余り・約50発だった。

 

・2月15日・・・153回・76発(プーチン大統領が、国境地帯のロシア軍の撤退を表明)

・2月16日・・・591回・316発

・2月17日・・・870回・654発

・2月18日・・・1566回・1413発(プーチン大統領がドンバスの2共和国の独立を承認した日)

・2月19~20日・3231回・2026発

・2月21日・・・1927回・1481発

・2月22日・・・1710回・1420発

 

プーチン大統領がドンバスの2共和国の独立を承認した21日には1927回・1481発、22日は1710回・1420発だった。


また、日報の地図を見ると、16日からドネツク・ルガンスクにおける両軍の境界線上で激しい戦闘が始まったことが分かる。17日以降の地図からは、ウクライナ軍が日を追うごとに攻め込んで激しく砲撃していたことが読み取れる。


1日の砲撃数が300発を超えた16日からドンバスでは戦争状態になったというボー氏の主張には説得力がある。だが、監視団の日報だけでは、戦争を始めたのがウクライナ側か共和国側だったのかは分からない。米国・NATOの動き、ドンバスの軍事情勢、民間人死傷者に関するデータなどから、更に分析を試みる。

●ウクライナが、独仏露ウ会合で「ミンスク合意2」を拒否した2月11日、バイデンはNATO諸国にロシアは16日にも攻撃すると伝えた。13日、監視団が「最近、特定の参加国が、自国の監視員は数日以内にウクライナから退去すべきだという決定を下した」というプレス声明を出すと、同日、ロシア外務省は「監視団は米国によって故意に軍事的ヒステリー状態に引きずり込まれ、今後起こりうる挑発の道具として利用されている」と反応した。

13日にはルガンスク人民共和国の幹部も「米英・EUの監視員の撤退はウクライナと西側が大規模な挑発を始めることを意味する」と発言し、「米英・デンマークの監視員が共和国を去った」と話していた。

17日、米英などに拠点がある「戦争・平和報道研究所(IWPR)」も、「情報筋によると、2月16日時点で米英・カナダ・デンマーク・アルバニアがウクライナから監視員を撤退させ、オランダは政府管理地域へ団員を移動させた」と報じている。


実際に集中砲撃が始まる16日の前に米国と一部のNATO加盟国は自国監視員をウクライナあるいは共和国側から退去させ、バイデンの「予言」は西側メディアでも機能し続けていた。一方、ロシアは監視活動の継続を訴え、国連安保理でもウクライナを侵攻する計画はなく、軍事的緊張を高めているのは米国率いる西側だと非難し続けていた。

このような状況下、まだ多くのOSCE監視員がミンスク合意の遵守を監視する中、まさに予言された日から共和国側が政府管理地域との境界線上で全面戦争を始めたとは考えにくい。2月16日にはロシアのペスコフ大統領報道官が「全世界は既にウクライナ政府がドンバスで軍事作戦を始めたことを目撃した」と発言している。

●また、昨年12月1日にロイター通信は、紛争地のドンバスに12万5000人の部隊を配備したウクライナをロシアが非難したと報じていた。今年2月21日には国連安保理でロシアのネベンジャ国連大使が、ウクライナがドンバスの境界線に12万の部隊を配備していたと指摘した。

2・24前に西側メディアの多くは、10~15万のロシア軍がウクライナとの国境周辺にいると報道し続けたが、2・16から約12万のウクライナ軍と4万~4.5万程度の武装勢力が激しい戦闘状態に入ったという構図は伝えなかった。プーチンが両共和国の独立を承認するか不明だった16日の段階で、共和国側が米国などの最新兵器を有するウクライナ軍12万に対して全面戦争を始めるだろうか?

ロシアが軍事介入した24日時点でも、総兵力31万以上のNATO化されたウクライナ軍と計約20万のロシア軍・共和国武装勢力が戦うという軍事情勢だったとも言える。

さらに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が今年1月27日に公表した「ウクライナにおける紛争関連の民間人死傷者」によると、2018年から21年までのドンバスでの戦闘による民間人死傷者の81.4%は両共和国内で発生し、政府側支配地域の民間人死傷者は、16.3%だった。少なくとも2018年から、ウクライナ軍がロシア側の民間人も攻撃していた。

 

以上の状況から、断言はできないが、米国・NATOと一体化し、軍事力で反政府勢力を圧倒していたウクライナ政府が2月16日に戦争を始めた可能性が高いと言えるだろう。

●●なぜロシアは全面介入したのか

●2・24にロシアがウクライナに軍事介入した理由は、ゼレンスキー政権がロシア語話者の住民を猛烈に砲撃し続けるのを傍観できなかったからだと思われる。

1日の砲撃数が1481発まで激増した2月21日にプーチンは2共和国の独立を承認したが、ウクライナ政府はロシアが集団的自衛権を行使することを知りながら、22日もロシア語話者の住民を集中砲撃し、米国・西側諸国はそれを黙認していた。プーチンが全面的な介入を選択した理由としては、以下の点が挙げられよう。

①マイダン革命後の8年間、米国・NATOに支えられたポロシェンコ・ゼレンスキー両政権は、ロシア系ウクライナ人のロシア語を使用する権利を奪い続け、自治の拡大と生存権を求めて闘っていたロシア語話者の自国民をテロリストと呼んで弾圧・攻撃・虐殺し続けた。

②2008年以降、米国はウクライナのNATO加盟だけは絶対に許容できないと訴えてきたロシアを無視し、14年からNATOと共に毎年約1万人のウクライナ兵を訓練し、2・24前までにウクライナ軍は最新兵器を備えた事実上のNATO軍になっていた。

③ネオナチとされる極右民兵などはロシア系ウクライナ人に対する拷問・虐殺などの犯罪を犯し続けたが、政府と裁判所だけでなくウクライナ社会全体に「ドンバスにいるロシア語話者のテロリストたち」に対する暴力を黙認するような「文化」が出現していた。

④ゼレンスキーは「ミンスク合意2」で交渉当事者として認められた共和国側の代表との交渉を拒否し、両共和国の存在そのものを否定し、ロシアからクリミアを奪還すると公言し続けてきた。


西側メディアは「2014年にロシアはクリミアを一方的に併合した」と報道してきたが、18世紀から1991年までロシア・ソ連領であり続けたクリミアでは91年と94年にも住民投票が実施され、クリミアの住民の多くは一貫してウクライナから分離してロシアへ編入されることを望んでいた。


●プーチンは、NATOと一体化して年々強大化するウクライナ軍がドンバスのロシア語話者を全面攻撃し、ロシアにとって死活的に重要なクリミアにもいつ攻め込んでくるか分からない状況を「国家存続を脅かす事態」とみなし、「特別軍事作戦」を開始したと思われる。

そもそも、ウクライナ語話者とロシア語話者が共存する多民族国家ウクライナに米国が介入しなければ、この戦争は起こらなかった。


ウクライナは、ロシアとも欧州とも協力し合わなければ発展する道はなかった。にもかかわらず、2014年に米国は、ロシアを弱体化させて自らの絶対正義を世界に拡散させるために親欧米派を支援し、暴力的な政権転覆を成功させた。

また、「革命」後に新政府がロシア語話者を弾圧・虐殺し続けなければ、クリミア編入もドンバス紛争もロシアの軍事介入もなかっただろう。

●●「侵略国家ロシア」を前提に解釈する日本や欧米諸国。コソボを分離独立させ、アフガンやイラク、シリア、リビアを破綻国家にした西側諸国こそ侵略国家!!

 

●大崎巌氏は謙虚に、ボー氏や大崎巌氏の分析が絶対に正しいと主張するつもりはないと言い、日本を戦争当事国から停戦の仲介国に変えるためには、中立機関の客観的データなどを基に冷静に議論を深めることが重要と指摘しているが、その通りだ。

 

大崎巌氏は、2・24後に西側でロシアに対するヒステリー状態が生まれた理由は、アメリカの「戦争プロパガンダ」により、西側の指導者とメディアの多くが、客観的な情報を無視し、別の世界観を持つロシアに対して恐怖感を抱き、「侵略国家ロシア」と思い込んでいるからだ。

 

欧米諸国の監視下で行われた2010年の大統領選挙は、独立後のウクライナで初めて実施された正当な選挙だった。ヤヌコヴィッチ大統領はロシア人であり、また政商の大富豪(オリガルヒ)だったが、大統領として、ウクライナ憲法の理念を無視するようなことはしていない。従って、2014年の「マイダン革命」なるものは、実は、アメリカとウクライナの極右やネオナチによる偽旗作戦で引き起こされた謀略的「クーデター」だった。

 

●EUの支配層は、2014年の政変が謀略的「クーデター」だったことを知りながら、「クーデター」と認めず、ウクライナの政界から、極右やネオナチにより、ロシア民族の代表が追放されるのを黙認した。それで、ウクライナのロシア民族は、アメリカ独立戦争の「代表無くして課税無し」の理念に基づき、独立を目指した。

 

すると、ウクライナのロシア民族はテロリストとされ、ウクライナ正規軍の攻撃で、1万人以上も殺害され、100万人ものロシア民族が戦争難民化したが、これも黙認し、独仏の仲介で締結された「ミンスク合意2」の破棄までも黙認した。そのため、結局、今年の2月16日に、ウクライナが本格的に始めた戦争にも加担して、ロシアに経済制裁をしたため、EUは高騰したエネルギー価格で極度のインフレとなり、経済苦境に陥っている。


今の所、ウクライナ危機ではアメリカと中国、インドが「漁夫の利」を得ている。一方、EU諸国は政権を取り換え、再びロシア産の安いエネルギーを輸入しないと工場が逃げ出し、産業の空洞化でEUは没落の道を転がり落ちるだろう。日本も来年はエネルギー価格の高騰で更にインフレが進んで、世界同時不況が起こるかもしれない。コソボを分離独立させ、アフガンやイラク、シリア、リビアを破綻国家にした西側諸国こそ、紛れもない侵略国家。

 

★1:日本は既にウクライナ戦争の参戦国


元海上自衛隊の対潜哨戒機の機長で、一般社団法「日本安全対策推進機構」代表、「日本防衛隊」の石濱哲信氏は、国際法上は兵士が必要とするものは全て兵器なので、日本は既にウクライナ戦争の参戦国と言っている。石濱哲信氏は、中国やコロナワクチン、ユーラシア情勢、人類の人口削減等に関しては、われわれとはかなり異なる見解だが、今回の「ロシアーウクライナ戦争」に関する限り、ほぼ同じであり、石濱哲信氏も、戦後の「キューバ危機」以来の核戦争の危機がある事態と捉えている。

 

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アゴラ:2022.03.25
「日本は法治国家ではない」と宣伝になったヘルメットと防弾チョッキのウクライナ支援

https://agora-web.jp/archives/2055681.html

清谷信一

 

★2:とは言え、事実問題にせよ、解釈問題にせよ、真実や真理は意識の共同主観性、共通認識のこと。したがって、現在、われわれが真実や真理と見なしている事柄には、地動説や進化論、ビックバン説のように、かつては多く人々から、誤謬と見なされていた少数意見も多い。要するに、真実や真理は少数意見として誕生し、徐々に支持者を増やして、多くの人々から真実や真理と見なされるようになったものだ。だから、現在、真実や真理とされている事柄も、将来は誤謬と見なされる可能性がある。そこで、人は自己の確信も疑いつつ信じ、信じつつ疑うべきだ。なぜなら、孔子が言うように、君子とは自己の確信も常に吟味して間違いと判明したら、直ちに訂正出来る人、豹変出来る謙虚な人だからだ。自己の確信を絶対視して疑わない人は、自己を神と勘違いしている傲慢な人。
 

★3:国際法上、兵士が必要とするものは全て兵器であるため、日本が提供したヘルメットや防弾チョッキも兵器だ。それで、日本は国民が自覚しないまま、戦争当事者になってしまった。更に政府は、ドローンもウクライナに送ろうとして、「輸出貿易管理令」の解釈を国会の決議もなく、政権の思惑で変えてしまったので、再び日本が法治国家ではないことを実証した。


現時点では、ロシアは日本がNATO諸国のような大砲などの大型兵器の供給国にならないように、日本への攻撃を自制している。しかし、ロシアが追い込まれて主権を失いそうになれば、ロシアは戦術核兵器を使う可能性はある。この場合、その後の展開は誰にも予想できない事態となり、通常兵器での参戦であれ、NATOが参戦すれば、アメリカとの「集団的自衛権」で日本も自動的に参戦することになる。日本は、これ以上の武器供与は止め、中立国として両国に停戦協議の場を提供するべきだ。

 

★4:ウクライナのネオナチの特徴は、ユダヤ人をヨーロッパの白人系ユダヤ人の「アシュケナジム」と、中東などのアジア系ユダヤ人の「セファルディム」とを区別し、後者のみを敵視・差別する点。それで、白人系ユダヤ人ゼレンスキーは差別されない。しかし、ユダヤ人のゼレンスキーが大統領だから、ウクライナ政府には、ネオナチはいないなどと、最もらしいことを言っている日本の学者は三流。また、日本の公安調査庁は今年の4月まで、「アゾフ連隊」はネオナチと規定していた!!

 

★5:「こんなにうまくプーチンが引っかかるとは」

 

PRESIDENT Online:2022/11/09 
「こんなにうまくプーチンが引っかかるとは」ウクライナ戦争をアメリカが引き起こしたといえる残念な証拠 プーチンだけでなく、アメリカにも責任はある

https://president.jp/articles/-/63316
東郷 和彦(静岡県立大学グローバル地域センター客員教授)、中島 岳志(東京工業大学教授)