備忘録(2020年7月16日)

JBpress:2020.7.16(木)
都知事選時のあり得ないデータは本物だった!
確実に広がる市中感染、コロナ慣れは「爆発」を引き起こす

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61321
伊東 乾

 どれだけ国民や都民のリテラシーを低く見ているのか知りませんが、あまりといえばあまりにみっともない「感染者数」変化のお粗末です。

<以下略>

【この記事の要旨とコメント】

●小池都知事の意向次第で、東京都の感染者数は増減自在状態。一般の感染であれば10日~14日遅れて変化が出るはずなのに、東京のウイルスは、どうも選挙に惹かれて増減する特性がある。

 

午後のワイドショーから、話題は「東京都のコロナ激増」に集中し、夕方に記者会見。更にゴールデンアワーから深夜の報道番組まで「電波ジャック」が行われて小池候補をサポートした。

●このような「電波ジャック」を罰する法がない日本は先進国とは思えない無軌道国家だ。投票後の7月8日に突然に、突然感染者数が250台に跳ね上がったが、数理が分かればあり得ない変化で、データアナリストやAI倫理専門家たちは、「トランプだってここまではしない・・・」と呆れている。


ウイルスの感染は人と人との接触によって拡大も縮小もする現象で「再生産率」という言葉が示すように変化は「比率」で効いてくる。1人の感染者あたり何人に伝染するかという「実効再生産数」が問題。東京の数値は、<人気商品の店頭在庫が不足し、納品が追いつかなくなったりする際、倉庫に残っている商品の数などにみられる変化>でしかない。

 

突然急増し、それから「直線状に減少」などというのはあり得ないデータ。こういうデータの数値そのものが示す挙動に対して、定量科学のサイエンティストは鋭敏に反応する。東京都の確定感染者数グラフは「有限の在庫数」が品切れになっていく挙動を示していると、普通に数理を理解する人なら誰でも直ちに判断する。

●では何の在庫数か?目立たないところだが、データが公開されている。しかし、リテラシーゼロの惚けたマスコミには指摘出来ない。ドイツの物理学者だったメルケル首相のように数理が分かり、責任感もある、または、羞恥心がある政治家なら、こんなヘマはしないとしか言いようがない。

 

「検査人数」が増えれば陽性者も増えるのは当たり前の話。東京都健康安全研究センターは、都知事選終了直後の7月6日月曜日、突然患者の大増産を始め、感染者を量産したが検査希望者が減り、この「生産」が追いつかなくなると患者数は減る。

 

7月8日にも「追加納品」して、しばらくは「品不足」を回避できると思ったのか、その後ガクンと「製造ペース」が落ちてしまったということだ。工場から「追加納品」が来なければ、店頭は品薄になって当然で、感染者確認数は直線状に下がって行くデータ・・・というか「馬脚」が見えている。

 

●過半数が、感染経路不明というのは、すでに市中感染状態であることを示しており、ネズミ算式、等比数列ないしは複利計算の指数関数的爆発につながる道に入り、感染者数の「ベースライン」は、着々と、確実に増え続け、最も単純に直線で近似予測しても、下手すると7月末には大量の患者が出る可能性があるデータだ。

毎日少しずつ蓄積されてきた拡散と定着は、決して1日、2日で激減するようなことはない。いまの東京都の定点観測は、真の感染者数のごく少ない割合しか反映しておらず、現実の新型コロナ「エンデミック」がどのような蔓延状況なのか、誰も知らない。「GOTO」キャンペーンでの感染拡大は仕方のないとされていること以外は、確かなことは不明。慎重に「本当のデータ」の挙動を観測し続け、「正しく怖がる」ことしかできない。

 

 

★日本のコロナ対策の実質的な最高指揮官は安倍首相ではなく、厚労省の事務次官級の医務技監である鈴木康裕氏鈴木氏は、安倍政権の和泉首相補佐官との不倫で有名な厚労省大臣官房審議官で、内閣官房の健康・医療戦略室次長の大坪寛子氏らと組んで予算を握り、厚労省系である「国立感染症研究所」系グループを形成して医療利権を独占している。この利権集団は解散した「専門家会議」の主流派で、この一派は、今回の新しい「分科会」にも参加して暗躍している。


この集団は、前回の新型インフルエンザの時も大混乱を引き起こしたが、今回の新型コロナでも、医療利権と新型コロナのデーターを独占しようとして、大混乱を引き起こしている。前回の混乱を反省した中国や韓国、台湾の医療当局が、今回はほぼ理想的な対応をして、生命や経済の被害を最小にしているのとは大違いだ。

 

★この利権集団はデーターを独占しようとして、日本のPCR検査体制から、文科省系の大学医学部や獣医学部、生物学部と大学病院や、大部分の民間の検査機関がPCR検査に参加するのを排除・抑制した。それで、先進国の中では、検査数が極端に少ない日本は、世界中の専門家の嘲笑の的になっている。

 

彼らが新型コロナのデーターを独占しようとした理由は、現代の自然科学では、データーがあらゆる権力の源泉となるからだ。たとえば、広島・長崎の放射線被害関係のデーターを独占した米国は、その後の放射線医学界をリードし、好き勝手に被曝量の「安全基準」なるものを設定している。

 

米国(放射線医学界)が設定した「安全基準」は無前提的な基準ではない。あくまでも、原発を稼働させることが前提であり、そのために必要な原子炉の清掃作業等で、現時点ではどうしても避けられない最小の被曝量を「安全基準」にしているに過ぎない。つまり、その「安全基準」以下に設定してしまうと、原発を稼働することが出来なくなり、廃棄するしかなくなるので、「原発ムラ」は医学的には危険であっても、「安全」と喧伝している。

 

厚労省系の「国立感染症研究所」を核とする利権独占集団の対策が、文科省系や独立系の研究者などから批判されても、様々なデーターを保有していれば、そのデーターを自分たちに都合が良いように解釈して反論することが可能となり、権力を維持できる。一大産業と化した医学も含む自然科学業界では、他よりも多くのデータを独占した集団が名誉だけでなく、利権も独占している。

 

★有力な特効薬やワクチンが無いウイルスがパンデミックを起こす。だから、特効薬やワクチンの開発が最優先の課題だ。そして、特効薬やワクチンが開発されるまでの対処方法は、基本的には「検査と隔離」以外には無いのだから、2009年の新型インフルエンザの反省を実行せず、放置した今回の日本のように、この「検査と隔離」を大々的かつ、即時実行することが出来ない場合の最優先課題は、この「検査と隔離」政策の実行を阻んでいる要因の解明と、その解決に努力することだ。

 

だから、今回のように「医療崩壊」を防ぐためという理由で、検査を抑制したのは誤りだ。なぜなら、病気というものは検査して病名を確定しないと本格的な治療を開始することが出来ない。だから、検査の抑制自体が、その患者にとっては「医療崩壊」そのものだからだ。

 

厚労省の医務技監である鈴木康裕氏は、「専門家会議」を隠れ蓑にして、「医療崩壊」を防ぐために「医療崩壊」を起こすという支離滅裂な対策を実施した。

 

鈴木康裕氏は、まずは厚労省系の研究所だけでなく、文科省系の大学や民間の検査会社も参加させ、日本の総力を動員してPCR検査を行う体制を造るべきであった。そして、市中の医師がPCR検査の必要を認めた患者は、出来るだけ早くPCR検査を行い、軽症の人はホテルだけでなく、医師が管理する体育館のようなオープン施設も利用して隔離し、今回のように自宅での隔離は原則的にはしない方が良かった。

 

医師が管理していれば、全員が陽性なので体育館でも問題はないし、むしろ個室よりも体育館のようなオープン施設の方が様態の急変に気付きやすいからだ。特効薬が無いのであれば、入院しても無意味というようなことはない。熱を下げて体力を維持したり、栄養や睡眠を管理することで、免疫力を維持することも重要だから、体育館のような所でも、医療が受けられる環境下で隔離された方が、孤立感に悩まされる自宅よりも心理的にも良いだろう。

 

★したがって、理想的なのは中国やニューヨーク、ドイツの一部のコロナ流行都市で行われているように、無症状の人でも、いつでも、どこでも、何回でも無料でPCR検査などが受けられる体制だ。


ロイター:トップニュース:2020年6月13日
アングル:中国がコロナ検査を急拡充、いつでもどこでも誰にでも
https://jp.reuters.com/article/china-covid-test-idJPKBN23J0V5
Cate Cadell

 

中国の国家衛生健康委員会は6月8日、世界最大級の検査体制を構築し、新型コロナウイルスの検査を希望する人は、国内のどこでも、誰でも受けられるようにすると表明した。

★香港大学の感染症専門家ベン・コーリング氏は、外国では検査は高価だが、中国は検査試薬や機器を自国で生産しているので安いと言う。また、同氏は流行地域全域のロックダウンと比べれば安上がりなので、中国の多くの組織機関が職員に定期的に検査させると予想している。    

新設の検査施設向けの調達品リスト文書から、全国規模の計画が立案されていることがわかる。最も高額な品目はPCR検査機器で、文書によると価格は最大9万9000ドル。過去1年間では1カ月当たり平均21台だったが、中国内の検査機関が過去30日間に購入したPCR設備は257台と急増している。

新しい検査施設の大半は現在、病院内に併設され、設置費用はほぼ1万5000-42万ドル。 全ての機器が中国製になるように要請していたが、一部の医療機関はスイスのロシュや米バイオ・ラッド・ラボラトリーズなど、外国製品を要望する医療機関もある。

★中国政府は同国の検査キット生産能力は1日当たり500万個。5月9日の発表によると、地方政府は製造業者に厳しい価格統制を課しているが、湖北省は大量注文と引き替えに製造業者に納入価格を下げさせいるが、PCR検査は1キット当たり約2・5ドル、抗体検査で2ドルぐらいの低価格のこともある。

 

同省によると、医療機関は政府レベルで協議された価格を請け合う数社からのみ納入できることになっており、これに従わないとウイルス検査ができなくなる。 中国は積極的にPCR検査を実施することで、防疫と経済の両立を目指している。

 

6月25日、NHKのニュースサイトは、中国が 1日で最大370万人のPCR検査が可能になったこと、そして、6月22日までに、延べ9000万人分のPCR検査を行ったと報じた。一方、米疾病対策センター(CDC)は、米国の6月5日時点での検査実績は2000万件余と公表した。

 

★武漢市ではロックダウン解除から約1カ月後に市内でクラスターが発生したため、1億2700万ドルを投じ、2週間余で900万人もの市民を検査して陽性者を徹底的に隔離した。そのため、5月14日から市内に231ヶ所の検体採取ステーションを設置して検査を行い、時には職員が職場や家を訪問して検体を採取した。この時、最高1日で約150万人ものPCR検査を実施したのだが、これは、5~10人分の検体を混ぜて検査する「ブレンドテスト方式」(プール方式))を採用したからだ。

 

この方式は日赤が行う血液検査でも採用している方法なので日本でも可能で、検体を混ぜても、陽性が出たグループだけ、改めて1人づつ再検査を行って個人を特定するので効率的だ。検査結果は検体採取から3日後にウィーチャットなどのプラットフォームにより本人へ通知されるが、この方法の採用で、武漢市は約300名の無症状の陽性患者を発見して隔離したので、武漢は世界一安全な都市になったと誇っている。


★北京市では6月11日に感染が再発したので、市内の193ヶ所のPCR検査機関を新設し、6月11日から6月28日までに約230万人にPCR検査を実施して感染者256人を隔離した。

 

(1日最大23万人の検査を実施。中国は試薬や検査機器を自給でき、人件費も安い。また、政府がPCR検査を請け負う企業を募り、一番安い企業と契約して検査をさせたので、日本では1回2~3万円もするPCR検査が、中国では1回数百円で出来るようだ)

 

また、感染の確率が高い地域住民の市外への移動を禁止し、その他の地域の市民に対しても、市外への移動には、7日以内に行ったPCR検査の陰性証明を持参することを義務付け、感染者との接触歴の隠匿、隔離措置の違反が確認された場合、法的措置も辞さないと警告した。また、大規模な接触追跡プログラムで、既に数十万人が検査を受けるように通知された。

 

しかし、6月28日以降は新規感染者が1桁に抑えられたことから、移動制限を一部緩和し、感染リスクが低い地域の住民を対象に、市外への移動時に義務付けていたPCR検査の陰性証明書の取得、携帯を7月4日午前0時から不要にすると発表した。

 

中国政府は積極的にPCR検査を行い、早期に感染者を隔離することで感染の拡大を防ぐと共に、経済活動の再開を進めた結果、第2四半期(4月~6月)のGDP前年比をプラス3.2%に転じさせた。一方、世界銀行は、日本と米国の2020年のGDPをマイナス6%と予測している。

 

ヤフーニュース:2020・4・26(日)
医系技官がPCR検査抑制の元凶
https://news.yahoo.co.jp/articles/6ba4761430de8a93e855f040350042b3ec2c19db

 

PCR検査をしなかったことが感染の蔓延を招いたのは明らか! 緊急事態宣言の全国拡大は不適切で無責任!~岩上安身による医療ガバナンス研究所理事長上昌広医師インタビュー第3弾

 

岡田晴恵・白鴎大教授が指摘する前に上昌広氏が感染研の利権について言及していた!
~岩上安身によるインタビュー 第983回
ゲスト 医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏 2020.2.16
 

NNAASIAアジア経済ニュース:2020/07/06(月)
北京、低リスク地域からの移動制限を緩和
https://www.nna.jp/news/show/2065144

Record China:2020年 06月28日 
中国はコロナ感染第2波をこのように防止している―英メディア
https://news.so-net.ne.jp/article/detail/2000936/
 

NHK:2020年6月25日
中国 PCR検査1日最大370万人余可能に 新型コロナウイルス
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200625/k10012482941000.html