備忘録(2019年9月14日)

「マスコミに載らない海外記事」:2019年9月9日
香港での抗議行動の背後にアメリカがいるとアメリカ政策立案者

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-76a74c.html
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook
 
 アメリカは中国の特別行政区、香港で継続中の紛争へのいかなる関与も否定し続けている。

 だがアメリカ報道の見出しや、アメリカ政治家の発言をざっと見ただけでも、紛争がアメリカ権益にかなうだけでなく、もっぱら彼らによって奨励されているのは明らかだ。

 ほとんどあからさまな紛争への支援と、支援の否認という逆説的な二元性が、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)の「アメリカが香港の背後にいるという中国の「ばかばかしい」主張をマイク・ポンペオが非難」のような見出しをもたらしている。記事はこう主張している。
 
  アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、香港でエスカレートしている抗議の背後にアメリカがいるという中国の主張は「ばかばかしい」と述べた。

 ポンペオは、論争の的である香港政府の犯人引き渡し法案への反対から起きた激しい衝突は「アメリカの仕業」だと主張する中国外務省の華春瑩報道官を非難した。

 だが、アメリカ政策立案者たちさえ、アメリカが特にそこでの「様々なプログラム」を支援するため香港に何百万ドルもつぎ込んでいるのを認めている。「中国は香港抗議行動を我々のせいにしようとしている」という題の記事でハドソン研究所はこう認めている。

月曜日に、アメリカが香港の民主化運動抗議活動家を支援しているという中国国営新聞の主張は部分的に不正確だと、トップの外交政策専門家が述べた。

ハドソン研究所上級研究員マイケル・ピルズベリーは、フォックスニュースの国家安全保障アナリストのK.T.マクファーランドに、アメリカは、地域の政治的問題に関して若干の影響力を持っていると述べた。
 そして記事はピルズベリー発言を引用している。

香港で民主主義を確保するため、議会で成立した米国-香港政策法に対処する責任を負った大きな領事館を維持しており、全米民主主義基金[NED]を通して各種プログラムに何百万ドルもの資金も供給しており、その意味で中国の非難は全くの虚偽ではない。

 NEDのウェブサイトを見ると、香港のために申告されている資金の部分がある。マイク・ポンペオ国務長官のような連中に一見もっともらしい否定論拠を与えるべく、プログラムの題名や説明の言葉遣いは、意図的にあいまいだ。

 だがより深く調べると、NED資金の受取人が文字通り抗議行動を率いていることが明らかになる。

 「香港は抗議する:暴動のかどでの厳しい実刑判決は香港の政治危機を解決しないと元民間人権陣線主催者が語る」という記事でサウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)はこう報じている。

日曜日の香港島の中部及び西地方での抗議行動の際に、警察の承認を得ていなかったため、非合法とみなされて逮捕された49人の人々の中に民間人権陣線のJohnson Yeung Ching-yin(楊政賢)がいた。
 
 記事はJohnson Yeung Ching-yin(楊政賢)のNED研究員としての立場の表記を省いている。本記事執筆時点で、彼のプロフィールは、NEDの公式ホームページでまだアクセス可能で、彼が働いているとされる非政府組織NGOは、現在の香港の紛争支援や、より広い反北京の政治的取り組みに関与しているアメリカやイギリスを本拠にするフロント組織と提携しているのだ。

 Johnson Yeung Ching-yin(楊政賢)は、ワシントン・ポストで「皆様がこの記事をお読みになる中、香港は我々の一人を閉じ込めている」という題名の論説をJoshua Wong(黄之鋒)と共同執筆している。

 Joshua Wong(黄之鋒)は、2014年に紛争を導いた役割のおかげで、NED傘下の組織フリーダム・ハウスから「名誉賞」を受賞したり、連続的政権転覆支持者マルコ・ルビオ上院議員と面談したりするためのものを含め、ワシントンDCを何度も訪問している。

 ワシントン・ポストのアン・アップルバウムもNED理事会の一員であることも指摘すべきだ。
 
 アメリカ政府と香港紛争の他の主要指導者たちとの、広範囲に実証されている結びつきとともに、この証拠は、香港での関与をアメリカが否定しているのは、国際舞台の上で語られる、もう一つの故意のウソ、アメリカによる妨害と介入の他の残存犠牲者が背景にくすぶる中で語られるウソであることを明らかにしている。

 継続中の香港紛争の指導部を批判的に調べれば、ほとんど至るところで見つかる直接のつながりや極端な利害対立は全てワシントンに至る。こうしたウソは、欧米メディアが、まともな調査ジャーナリズムを意図的に回避し、代わりに、香港で進行中の紛争を、何であれアメリカ権益に最も良く合うような形で描き出すための言説を恥知らずにでっちあげる組織的虚報キャンペーンに関与していることを、またしても明らかにしている。

 より悪いことに、FacebookやTwitterやGoogleのような巨大ハイテク企業が、香港の紛争の背後にある真実や、それを率いる連中の本質を明らかにしようと試みる何千ものアカウントを削除しているのだ。もしこれが香港の反政府派を成功させるため、ワシントンが行使するのをいとわないウソと検閲と独裁主義のレベルなら、このいわゆる反政府派が一体何のために戦っているのか疑わざるを得ないではないか。確かに「民主主義」でも「自由」でもない。

 Tony Cartalucciはバンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/09/09/us-is-behind-hong-kong-protests-says-us-policymaker/
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 文中にあるマイケル・ピルズベリーという人物の『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』が翻訳されている。

 植草一秀の『知られざる真実』9月11日記事 外相交代は日本全面譲歩のメッセージなのか に同意。桜田門外のくだりが強烈。

 今日の孫崎享氏のメルマガ題名、教育機関への支出金額。

OECDは2016年の加盟各国GDPに占める教育機関への公的支出割合を公表、日本は2.9%で、比較できる35カ国中最も低く、3年連続で最下位。技術革新が急速に進む中、教育投資小の国で、技術先進国はあり得ない。「日本最高」でなくこれを何故報じないか。

 今日は、スラップ訴訟判決の日。

日刊IWJガイド「本日午後1時10分より大阪地裁第1010号法廷でリツイートスラップ訴訟判決! 司法が橋下徹氏によるスラップ訴訟にどういう判断を下すか、ぜひご注目を!/内閣改造の陰で、千葉では被災者が悲鳴を上げている! IWJは本日から救援物資を積んで被災地に向かいます!」2019.9.12日号~No.2555号~(2019.9.12 8時00分)
 
 
<以下略>
 
【コメント】
 
 
「オトポール!」 はセルビア(旧ユーゴスラビア)のベオグラード大学の右翼学生活動家が組織した親米派の偽装民主化学生団体。米国の資金援助で、2000年の連邦大統領選挙において、反米派の権威主義的なユーゴスラビア大統領スロボダン・ミロシェヴィッチに反対する政治キャンペーンを行い、退陣に追い込んだ。
 
当初、「オトポール!」の若者たちは、政府に厳しく弾圧されながらも野党を支援して国民の支持を集め、不人気だったミロシェヴィッチを退陣させる政治キャンペーンを成功させ、多くの国民から「国民的英雄」と見なされていた。
 
しかし、その後、米国政府系の「全米民主主義基金」 (NED)、「共和党国際研究所」 (IRI)、「合衆国国際開発庁 」(USAID) などから秘密裏に、判明しているだけでも約5~25億円もの莫大な資金を得て活動し、CIAから闘争方法も指導されて活動していた親米派の偽装民主派団体であったことが暴露されると、親ロシア派が多いセルビア国民は一転して厳しく批判するようになり、「オトポール!」系政党の候補者は全員落選してしまった。
 
しかし、「オトポール!」自体はその後も、世界中の反米政権を、デモ等の平和的手段で打倒するコンサルタント=指南役として国際的に活動を続け、東ヨーロッパや中央アジア諸国で起きた「色の革命」を、CIAや米国務省などと共に背後で組織していたので、メンバーは「革命の輸出者」と呼ばれている。
 
「オトポール!」が関与した国や団体には、グルジアのシェワルナゼ政権が打倒された「バラ革命」の「クマラ」やウクライナの「オレンジ革命」での「ポラ!」、ベラルーシのルカシェンコ政権に反対している「ジュブル」、アルバニアの「ミャフト!」、ロシアのプーチン政権に反対している「オボローナ」、キルギスのアカエフ政権を打倒した「KelKel」、ウズベキスタンのカリモフ政権に反対する「ボルガ」、レバノンの「Nabad-al-Horriye」などがあるので、シリアやイラン、香港の運動にも、関与している可能性は高い。 
 
★「オトポール!」が反米派の独裁政権だけでなく、親米派の独裁政権もデモなどで打倒する活動をするのであれば、民主的団体と言える。しかし、主に米国の資金で活動している団体なので、サウジなどの親米派独裁政権には手を出さない。だから、「オトポール!」は親米の偽装民主団体であり、謀略団体である。
 
 
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<おまけ>