前のバイトをやめてから
もう1年近くの月日が流れているのだが
今だにバイトの同僚達から電話やメールが届く。

 

もちろん一度たりとも電話には出ていないし
メールも返信していない。
 
自分はバイトを辞めたわけだし
住む地域も違うので
交流する必然性が感じられない。
 
やはりただのアルバイト仲間としか
見てなかったというのが最大の理由で
プライベートとバイトの世界を混合するようなことは
絶対しないタイプだからである。
 
バイトを辞める際、皆に「また会おうね」と言われたが
自分は「いや、それはないわー。来世で会おう」
とハッキリ伝えたのに
ちゃんと聞いてなかったのだろうか。

 

そのうちの一人が
「今度友達とディズニーランド行くから
その時ボイさん家泊めてもらおー」
なんて言ってたので
ますます連絡を取る気がしない。
 
さらに別の人間は
「なんで連絡くれないの?ちゃんと返信してよ!!」
とメールがキレぎみになってきているので恐ろしい。
もう俺の存在は忘れてほしい。
  
そういえば働いている時に、
バイト連中が
「あたし、こーいう男の人に会うの初めてなんすよねー」
「うん、私も私も、今まで見たことないタイプだよ」
と話していたのを聞いた事があるが
きっと引き篭もり廃人タイプの男が珍かったため
あの人達は興味が湧いているのかもしれない。
しかし俺は彼女達に1ミリも興味が湧かないので
これはもう仕方がない。
 
いつも自分がバイトをすると完璧に疎外されるか、
異常なほど存在を必要とされ
優遇されるかの2パターンである。
この時は後者だった。
 
辞める際も従業員のメガ子に
「ボイさんが辞めるとみんな本気で寂しがりますよ。
こういうバイトやってると
やっぱ従業員の仕事面や性格面に対して
少なからず批判する声とか
どうしても聞こえてきたりするじゃないですか?
 
それにここのバイトの人、
陰口言う人メチャメチャ多いですし。

でもこの長い期間、
ここの従業員で唯一ボイさんだけですよ。
悪く言われてないの。
むしろ、男の子も女の子も主婦も社員も
ボイさんゴリ押しでしたからね。
そんな人今までいなかったですよ」
というようなことを
最後に言われたがこれは当たり前なのである。

 

自分はバイトで他人と接する際は
その人の趣味、思考、知性、
そして人間の持つ醜さも含め、本質を見抜き、
真剣に分析するようにしている。
 

そうすれば相手が次に何を求めているのか
どんな言葉を必要としているのか
そしてどのような人間を好み、嫌うのか、
笑いのツボは何かなどが
おのずと見えてくる。

 

この方法は精神力をかなり消費するので
プライベートではそんな面倒なことはしないし
ボーっと過ごすだけなのだが
バイトではその分析結果を元にして
行動することで安定した空間を作り出すことができるため
やっていただけだ。
 
逆に言えば自分の本質はまったく見せていないし
バイトでは見せる必要がないと判断していた。
なのでそこでの自分の評価は正当な評価ではなく
己のやりやすい世界観を作り出すためだけの
言動に過ぎなかったのだ。

 

バイトを続けるにつれ同僚達からの支持や助け、
男子達からは師匠と崇められ、
食べ物やお菓子の供給、
社員からは自分だけお小遣いを貰ったり、
高級プラモデルなどを
買ってもらったりなどしているうちに
自分のダメさ加減を出しずらくなった。
  
連絡を取らないのはそれだけよくしてもらったにも
関わらず自分の本質的な人間性は
社会に適応できない堕落に満ち溢れた
究極のボンクラダメ人間というのを
隠蔽するためと、
こんな自分に優遇してくれた人達への
後ろめたさがあるのかもしれない。