

MuluとBeyuとカフェでお茶をしていた時―――――――
これはBeyuやBeyuの周りだけなのか、それともエチオピア人の特徴なのか分からないけれど‥‥
彼らは友人や家族に会うとココ最近の出来事を事細かに(話さなくていいことまで)話す傾向がある。
だから、Beyuはバスが止まった話から始まり、ハラルでの出来事を全て話している様子だった。
だけど、途中からBeyuとMuluが私の方を見ながら異常なほど笑いながら話していた。

そう怒った口調で聞く私に対して、それでも2人は笑いながら「違う、違う。寧ろ、ナギを誉めてる」と言う。
2人が私を見て笑いながら話している姿は、どーしても私をバカにしているようにしか思えないのですが
“ナギを誉めてる”って、私のどこをどー誉めて下さっているのでしょーか。何故、笑うのですか。
私がムスッとそう言い返すと、BeyuとMuluは顔を見合わせてこう言った。

私がケアレスですって‥‥!?
ケアレスには不注意とか、そそっかしいとか、いい加減とか暢気とか色んな意味がありますけど、
君たちが言うCarelessとはどういった意味ですか。寧ろ、そういう意味だったら悪口ですよ!
ブーブー言う私にBeyuは「僕たちの言ったケアレスは気取らないって意味の方だよ」と笑って答えた。
(特に考えたことも無かったけど‥‥私のどの辺が??そんなに笑われるようなことなのだろうか)
ふと考え込む私にBeyuたちは教えてくれた。
「大半の観光客はエチオピアの環境に文句を言うんだ。水が出ない、電気がつかないとか。
でも、君はシャワーを浴びてる途中で水が切れても、トイレの水が出なくなっても笑ってるでしょ?」
「小さなトイレに入って“ココなら外のがいい!”って言って君は外でしてたじゃん」
「ナギは観光客が嫌がる僕たちが行くような店に好んで入っては毎日インジェラ食べてるでしょ?
腹壊すからやめろ!って言ってるのに、生のラクダ肉だって食べるでしょ‥‥」
「普通の靴履けって言ってるのに、ビーチサンダルとロングスカートで山登ったりするじゃん?
それで泥だらけになってシャワーが浴びられない環境でもナギは全く気にしてないじゃん」
「普通は日焼け止めとか虫よけの薬塗って白人は肌を守ってるのに、君は一切塗らないだろ?
それで虫に刺されてアザだらけになっても嬉しそうに自分の体の写真撮ってるでしょ」
「日本人ってキレイ好きで神経質なはずなのに、君を見てると全くそんな感じがしないし」
「髪の毛だっていつもボサボサじゃん?服だっていつもルーズなものばっかりだし‥‥」
「白人ってプライド高いはずなのに、君は普通にハイエナマンと一緒に皆を笑わせてくれたじゃん」
(これは嫌がってる私を無理矢理“ヤレ!”って、BeyuとAshenafiが押し出したんじゃん‥‥)
‥‥なんか聞けば聞くだけ傷つくんですけど、これ。
この言い方だと、私はただのズボラなバカな女じゃないですか。
(2人とも私のことをそんな風に思っていたんだ‥‥ふ~ん‥‥)と返すと、彼らはすかさず答えた。
えぇぇぇッ‥‥!?なんかフォローの仕方間違ってませんか。
「だって、君はどこか行く度にケアレスだって言われてるよ。君を見た人皆が僕たちにそう話し掛けて来る」
(これはヤッパリ全然誉められてる気がしない‥‥今後は自分の立ち振る舞い方を見直そう

私がそう思った時、MuluとBeyuが最後にこんな言葉を私に呟いてくれた。

‥‥よかったー、几帳面で潔癖症な性格じゃなくて。
生まれて初めて“ズボラでいい加減な自分の性格”に助けてもらえたような気がした瞬間だった。
日本人全てが私みたいなズボラでバカな人間じゃないし、白人にだってイイ人は沢山いる。
だけど、彼らも色んな歴史があって沢山苦しんだ。今だって悲しいけど黒人差別が存在している。
だから彼らが抱く白人への悪いイメージは直ぐには変えることが出来ないのも仕方がない。
でも‥‥
少しでも白人・黄色人種へのイメージがいい方向へと変わるお手伝いがこんな私にも出来たのなら
それは本当に、本当に、本当によかった。
あー、髪の毛ボサボサでよかった。
特にお風呂もスキじゃなくてよかった!キレイ好きじゃなくてホントによかったよー!(なんか違う)
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