

―――――何故だろうか。特に予定が無い日に限って早起きをしてしまう(5:00am)
早起きをしたところでジブチの情報を何も持っていない私にはやることも無く、自分の退屈な思いも
抑えることが出来ず、朝っぱらからHusseinに電話をかけた私(なんて傍迷惑!)
「どっか行きたいんだけど、どこに行って何を見たらいいと思う?」という私の質問にHusseinは

そーだ、そーだ、そーだった!
食料や石油などの大半を輸入に頼っているジブチは物価がめっちゃくちゃ高いんだった・・・

≪例:コーラ1本の値段、エチオピアなら15~20円

ってことは、タクシーなんて乗ったら半端無く高いよね。
ってことは、私、ずっとジブチシティから出られないよね。
でも、私は遥々日本からココに来たんだよね。
そんな私の露骨な独り言に「OK,OK‥‥」と、車を出してくれた優しいHussein!
(この時、Husseinは私と出会ってしまったことをキット後悔していただろう)
―――――そして、午前6時、私は小さなHusseinの車でジブチシティを出発することが出来た。

※ジブチシティの写真
ジブチシティを出発して、わずか10~15分くらいで窓の外の景色がガラリと変わった。
家や建物は1つもない。人もいない。動物もいない。木すらあまり見かけない。
私の目の前に広がるのは一本のコンクリートの道路と、何もない真っ平らな大地だけ。
最初は、この何もないシンプルな景色がとても新鮮だった。
‥‥だけど、流石にこの変わり映えのしない景色が2時間も3時間も続くと正直飽きてくる。
そんな退屈そうな私を見たHusseinが「どーだい、ジブチは?退屈かぃ?」と、聞いて来た。

※ジブチシティから、わずか10~15分の場所。
本来こんなことを聞かれたら「楽しい」と答えるべきなのだろう。だけど‥‥
「こんなに何も無い国は初めて。こんなに人とすれ違うことのない国も初めて。私は人が見たい」と、
せっかく車を出してくれたHusseinに対して可愛げのない言葉を吐いてしまった。
だけど、彼はそんな私に対して笑顔でこう言った。

「‥‥確かに。」 私は心の中でそう思った。

※ジブチの風景。
そして、Husseinは続けて、こう言った。

「日本人の技術は素晴らしいし、アフリカとは違って豊かな国だと思う。
だけど、豊か過ぎて今の日本人は何もない中から楽しさを見つけることが苦手だと思う。
僕たちアフリカ人は日本のような技術も無ければ、お金も欲しい物も手に入らない。
でも、そんな中で生きて来たから何も無い中から新しい遊びや楽しみを見つけることが得意なんだ。
だからこそ、僕たちは僕たちなりに楽しくココで暮らせているんだよ」と。
―――――私は自分の視野の狭さが恥ずかしくなった。
私は「人が見たい」「ジブチ人の写真が撮りたい」そればっかり思っていた。
だから、それが出来ない状況に不満を抱いて、どうしたら自分の目的を果たせるのかばっかり考えていた。
だけど、Husseinの言うように、この何も無い国・不便な場所で自分なりに楽しめることを見つけられたら‥‥
その見つけた数だけ自分の人生が楽しくなる。それがどんなに些細なことであっても。

だって、日本人が忘れかけてること・親や学校が教えてくれないことを教えてくれるんだもん。