鳥に異常がないか監視する稚内自然保護官事務所の担当者(27日、稚内市の大沼バードハウスで)
 稚内市の湖沼「大沼」でカモのフンから強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)がみつかった問題で、環境省稚内自然保護官事務所などは27日、大沼周辺で監視活動を行った。オオハクチョウの飛来地で知られる根室市の風蓮湖などでも同日、根室振興局の職員が巡視を始めた。

 大沼の監視活動は、同事務所、宗谷総合振興局、稚内市の担当職員が行い、コハクチョウ、カモ類を調査したが、異常はみつからなかった。

 常に観察をしている野鳥観察館「大沼バードハウス」の管理人遠島幸吉さん(63)によると、異常と見られる個体は、これまで1羽も見ていないという。

 道の警戒区分が引き上げられた根室振興局管内では、巡視を週1回以上に強化。この日は、職員3人が対応マニュアルに基づき、風蓮湖の木道などから、野鳥の個体数と状況を双眼鏡で調べた。異常な個体は確認されなかったという。

(2010年10月28日 読売新聞)

稚内の大沼周辺「監視区域」に・・・道、鳥インフル検出で

 稚内市の「大沼」(面積約5平方キロ)で採取されたカモのフンから強毒性の鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受け、道は26日、緊急対策に向けた連絡会議を開催し、大沼の周囲10キロを「監視区域」とし、環境省と連携して監視を強めることを決めた。

 また、道内の養鶏場など約250か所に〈1〉野鳥の侵入防止用の網を鶏舎に張る〈2〉異常が発生した場合は通報する――ことを指導した。

 稚内市も同日、野鳥観察館「大沼バードハウス」を休館し、現地へ通じる道路を封鎖。渡り鳥が多く飛来する道内の湿地でも対応に追われ、苫小牧市は、ウトナイ湖近くの道の駅に消毒用マットの設置を決め、美唄市の「宮島沼水鳥・湿地センター」も、職員による巡視活動を強化した。

 同省は「現段階で鳥が大量死する危険性は高いとは考えていない」として、付近の住民らに冷静な対応を求めている。

(2010年10月27日 読売新聞)