翌、1月30日、事情を知らないご主人のお母様は、
家に来るかもしれない小さな犬にすでに「ラッキー」と名前をつけていました。
のりこさんは仕事を終えて急いで帰宅し、ドッギーヤマトさんへ犬を迎えに行きました。
シャンプーをしてもらい、すっかりきれいになったラッキーは、オムツをしてもらっていました。
「ごはんを食べて、水も飲みました。おとなしくしていましたよ。」
そして、
「新たな傷を見つけました。足首にかさぶたがあるのです。
両足首をしばったような、ヒモとかではなくワイヤーのような硬いものでできた傷のようです。
かさぶたが厚いので、長い期間その状態だったのではないかと思われます。
やせているし。ふつう1カ月くらいではこんなにやせないので……。
本当に劣悪な環境にいたのでしょうね。」
オーナーの新谷さんはとてもよくして下さいました。
犬を飼ったことのない のりこさんは、フードやオムツのことなど、
世話の仕方を指導してもらい、家へ連れて帰ったのでした。
さて、新しい家でラッキーはどうしたでしょう?
吠えたのです。
鳴くのです。
おとなしかったのは昨日の話で、今日は家の中では動き回っています。
前足だけでずりずりと。のりこさんだけを見つめて、のりこさんだけを追いかけて。
ご主人にも、お母様にも見向きもせずに、
のりこさんの姿が見えないと甲高い声で呼ぶのです。
普通の「ワン」とか「キャン」とかではなく、
「ケン!」とか「ギャン!」が混ざったような
それはそれは耳障りな神経を逆なでするような鳴声で。
この状態をなんとしよう。
3人は途方にくれました。
自分達もうるさいが、近所に迷惑がかかる。
動き回るから、オムツがずれて、そこら中にオシッコをするし、ウンチもするし。
鳴声で眠れず、夜が明けたのでした。