2010年1月29日の朝、ムーランと公園を散歩していた時のこと。
ムーランがいつものルートからはずれて反対方向へ行き、
立ち止まって首を前へ伸ばしています。
ふと見ると、犬がそこに。ミニチュアダックスがひとりで座っています。
「あら、こんなところでどうしたの?迷子になったの?」
じっと私を見ています。
周囲に人とはいないし、このまま置いても行けないし、
とりあえず車のトランクにあった小さなダンボールに入れて、助手席の足元へ乗せました。
急いで出勤の準備をして、固形フードと水を持って戻るとおとなしくじっと箱の中にいました。
少し食べて水を飲んだので一安心。
その時、首輪をしていないことに気づきました。
一緒に出勤するのりこさんも同乗して、警察へ届けに行くと、
「金曜日なので3時までに飼い主からの連絡がなければ
保健所へ連れて行くことになります。」とのこと。。
出勤途中の車の中で「かわいい子やったね。おとなしいし。いい目をしてたわ。
迷子になったんやろか。いつからあそこにいたのかな。」などと話し合っているうちに、
のりこさんがあることを思いつきご主人に電話をしました。
ご主人のお母様が90歳になり近頃元気がないので、
身近に小さい犬がいれば気が紛れるかもと思ったのです。
ご主人がいいよと言ってくれたので警察に連絡を入れました。
飼い主さんが現れるまで預かってくれる人が見つかったので保健所は待ってください。
その夜、仕事の帰りにその子を引き取りに行きました。
警察で収得物の書類を書いていると、オスかメスかを確認するため抱き上げた警察官に
思いっきりオシッコをひっかけたのです。
「オスや。」
オシッコは止まりません。そのクサイこと。。
床にもいっぱいばらまいた後、別の箱に移されました。
その足でペットショップのドッギーヤマトさんへ。
事情を話してあったので、今夜は泊めてもらい、
翌日シャンプーをしてもらう手はずになっていたのです。
そこでも抱かれたとたん、オシッコをジャーーー。
「あれ?この子は足がわるいですね。」
「へ?」
「後ろ足が悪いみたいです。」
と言いながら床へ降ろすと、あらまあ、前足だけでズリズリと動いています。
後ろ足は引きずったまま。それも両方とも。のりこさんと私は顔を見合わせて絶句しました。
ドッギーヤマトのオーナーの新谷さんは犬の唇をめくり、歯を見て
「若くはないです。8才くらいですかね。」
足を調べてみて、
「爪のないところがあります。指の間に傷がある。これは新しい傷です。
肉球がきれいなので、長いこと外をさまよっていたわけではなさそうです。」
などと、次々と所見を述べてくれます。
私たちは茫然とただそこに突っ立って聞いていました。
それにしても、いったい…。
われに返った私たちは、急いで近くの宮川動物病院へ向かいました。
ここでもオシッコをじゃーーー。
「ヘルニアの可能性があります。
ダックスは胴が長いからヘルニアになりやすい犬種です。
爪のないところがありますね。指の間に傷もある。
(唇をめくって)若くないです。8才くらいかな。」
新谷さんと同じ所見です。
「事故の可能性もあるので、一応レントゲンを撮りましょう。」
レントゲンに写った骨は、しっかりしているように見えます。
「事故の形跡はないようですね。
両足が完全に麻痺していますから、やはりヘルニアと考えられるでしょう。」
そして足をつねって
「ふつう、こんなふうにされると痛がって足を引っ込めようとします。
見てください。ただブランとしているでしょう?両方とも。」
「血液検査の結果、肝臓の数値が異常に高いので、手術はまず無理です。
たぶん今後もこのままの状態だと思います。」
先生はゆっくりと言葉を選びながら説明してくださいました。
「飼い主が捜しているとしたら、とっくに連絡が来るはずです。
警察へも病院へも連絡が入らないということは、
捜されていないと思って間違いないでしょう。」
私たちは絶望的な気持ちで再びドッギーヤマトさんへ戻り、診断結果を伝えて、
予定通りに犬を預けて帰ったのでした。
その夜、のりこさんは自分を代理人にして犬のボディトークをしました。
結果は以下の通りです。
<セッション#1>
左後脚 → 一般環境 置き去りにされた恐怖 骨盤から侵入し、神経系へ影響】
→ 三角筋の悲しみの解放
