歌の響き:脚韻 カルミナ・ブラーナ | パレ・ガルニエの怪爺のブログ

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フランソワーズ・アルディの歌の関係で脚韻に触れたので、バレエ音楽にも使われているカール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」の脚韻について。
なお、当然のことながら、単なる素人ですので、オリジナルな指摘は特になく、既にいろいろな方が指摘されていることを紹介し、ついでに素人の感想を記すだけのものです。

カルミナ・ブラーナの歌詞とその英訳を掲載しているウェブサイト

例えば、1曲目の O Fortunaの出だし。
オルフのカルミナ・ブラーナの歌詞はラテン語のほか古いドイツ語、古いフランス語も混じっているとのことですが、この部分は、ラテン語で、綴りどおりに発音することになります。
仮置きで行数を振ると、
1. O Fortuna
2. velut luna
3. statu variabilis,

4. semper crescis
5. aut decrescis;
6. vita detestabilis
ということで、1行目と2行目が「una」という音、4行目と5行目が「scis」という音で終わり(crescisまで重なっているとも見られますが。)、さらに、1行目から3行目まで、4行目から6行目までをそれぞれひとつのブロックとしてみると、それぞれのブロックの終わりに当たる3行目と6行目が「lis」又は、広く見ると「abilis」という音で終わります。
というような感じで、ずっと脚韻を踏んでいくんですね。

この脚韻の響きの美しさは、例えば、21曲目のIn truitinaなどによく顕れているのでは。
最初の3行は、いずれも「ia」で、次の3行は、いずれも「eo」で終わります。
「ia」というのが口を大き目に開ける開放的な音であるのに対して、「eo」というのは、口は「a」よりは狭く丸まり、より深い響きの音になり、それが歌詞の「枷とか頚木(英語で言うyoke)などの拘束物に身を任せる」という内容と相まって、単に明るく美しいだけではない、深い印象を残して終わるところまで計算されているのかもしれません。
(ちなみに、"truitina"ではなく、"trutina"と綴っている例もありますが、どちらが正しいか分かりません。ナタリー・デセイの歌声を紹介したYoutubeでは"truitina"と綴っています。)

21. In truitina (In the balance)
In truitina mentis dubia   【In the wavering balance of my feelings】
fluctuant contraria      【set against each other】
lascivus amor et pudicitia.  【lascivious love and modesty.】

Sed eligo quod video,       【But I choose what I see,】
collum iugo prebeo:        【and submit my neck to the yoke;】
ad iugum tamen suave transeo.   【I yield to the sweet yoke.】