人生最大のインパクト人間。その名は「小名田」 | 天坊の舞録

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二百十六の煩悩

私の人生に影響を与えた人物はたくさんいます。


でも、インパクトを与えた人物は、と問われたら彼の名前を真っ先に挙げるでしょう。



小名田日出人(勿論仮名。でも分かる人にはすぐ分かる)


寮内での飲酒系、シモネタ系の登場人物として関連した事件は数知れず。学内でも、彼を知らない者はモグリと言われた。


当時の私の常識を覆した事件の幾つかを思い出すたびに綴っていきたい。



寮に住み始めて数日が経とうとしていた。

私の住む南3階には部屋が9室有り、それぞれの部屋に1年生が配属されていた。


小名田、加納、伊藤(急性アル中になったヤツ)、茂樹(鼻のデカイヤツ)高梨・・・・。

奇人変人の階と称された面子だ。

入寮後、我々は一日の内のかなりの時間を共に過ごし、ほんの数日ながら肝胆照らし合わせる間柄となった。


そんなある日、私達の中である噂が飛び込んできた。

「小名田が昼間っからオナニーしているらしいぞ!」

「エッ!」

私を含めほとんどの奴等は、ソレは夜間の作業であり、明るい内にすることは「イケナイ」ことだと考えていた。もちろん根拠のある事ではない。常識としてそう考えていただけだが・・・。


「しかも、いつもヤツが首にかけてる手ぬぐい!あれで拭いてるらしい!」

「ええええええっ!毎朝あのタオルで顔洗ってるぞ!」

「チョット確認しようぜ!」

私達の行動は早かった。

でも皆が心の中で、せめてタオルだけは嘘であって欲しいと願っていた。


一計を案じた。小名田が部屋にこもって数分後、みんなで部屋を襲うという、かなりシンプルな案だった。

その時は、すぐにやってきた。というより、その日の内にやってきた。

伊藤が私の部屋に足音も立てずにやってきて、「おい!甲!小名田がやってるぞ!」

雰囲気を察したのか、ほぼ全員が俺の部屋に入ってきた。

全員、笑いを堪えるのに必死の様子だ。


我々は南3階の一番奥にある小名田の部屋まで、無音状態でひっそりと近づいた。互いの心臓の鼓動が聞こえるほどだ。


数名で部屋のドアノブを思いっきり押す。鍵が掛かっていた。

それでもドアを叩いたりしながら、開けろ!と叫ぶ!

驚いた小名田の声が部屋から聞こえる。

「なにや~!チョット待てっちゃ!今あげっから!」

その声は明らかに狼狽していた。

数秒の後、ドアが開いた。

動揺した様子で、俺たちを見ている。

「どどどどうしたのや~!?」

「おめー、今マスかいてたべ!」

「してねー!」

股間を見ると、グレーのスエットがモッコリと膨らんでいた!

「じゃー、それはなによ~!」

「バレた?へへへ。」

小名田の少し照れた顔がおかしかった。

小名田も含め、全員で腹を抱えて大笑い。

どかどかと7~8人で小名田の部屋に入り込み、尋問が開始された。

「なして、真っ昼間っから、マスかく?」

「夜は先輩達がいるからかけねーべ!?」

「う~ん。それもそうだ。」と全員納得。

「もう一つ。オメー、マスかいた後その手ぬぐいで拭いてたろ?」

「う~ん・・・。」一呼吸置いて

「なんで知ってる? でも、ティッシュがもったいねーべや。手ぬぐいなら洗えばいいっちゃ!」

「そ・そ・それもそうだけど・・・。」と自信たっぷりに答える彼に、全員返す言葉もない。

私も頭の中で何かが違うと思いながら、反論できる根拠がなかった。それほど小名田の返答は堂々としていた。今であれば「エコ」の一言で解決?かもしれない。


一瞬の間をおいて、誰かが言った。

「でも、汚ねーべ。」

「汚くねー。」ここから小名田の反撃が始まった。

小名田はその手ぬぐいを俺たちの前にかざしながら「ホレッ!ホレッ!」と触れさせようとする。

ほんの少し前まで、彼の股間にあてがわれていたモノだ。

「ギャー!」その場にいた全員が慌てふためいて、部屋から脱出を試みる。数名が餌食になった。真剣に怒り出す者もいた。でも、小名田は攻撃の手をゆるめなかった。

「邪魔した罰だ!」

確かに、プライベートタイムを侵した俺たちに非がある。

とにかく、その場から逃げるしかなかった。

「小名田!悪かった!俺たちが悪かった!」


二日酔いで寝ていた先輩が、その騒ぎで目を覚まし「うるせーぞ!一年!(怒)」

「すいません!」俺たちは1階まで階段を駆け下りながら、謝るのが精一杯だった。


その後、俺たちの中で小名田の手ぬぐいは触れてはならないモノの代名詞となる。

ただ、お互いに部屋に鍵をかけているときは、「プライベートタイム」ということにしようと約束し合った。


20才前の俺たちにプライバシーの文字は完全に無かった。でも、最低限のプライバシータイムは尊重しようと。




小名田を巡るエピソードは大抵の場合、このようなシモネタ系が多いので、ご了承願いたい。でも、実話なので・・・。