2008年03月25日20時44分

 インターネットの通信速度が下がる「ネット渋滞」を緩和するため、日米アジアの通信各社が相次いで太平洋の海底光ファイバーを増強する。米動画投稿サイト「ユーチューブ」の人気などが背景にあるが、通信網増強にかかるコストを通信会社と利用する個人・法人で、どう分担するのかといった議論も本格化しそうだ。

 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は25日、日中米間の海底光ファイバー敷設事業に8000万ドル(約80億円)を出資すると発表した。10年に完成予定。出資比率は10%程度になる模様で、相当の通信容量を得られる。2月には、ユーチューブを傘下に抱える米グーグルやKDDIなど6社も日米間のケーブル敷設(総事業費約300億円)を発表している。

 NTTコムが加わる事業には、06年12月から米ベライゾングループや中国のチャイナテレコミュニケーションズなど大手通信会社が参加。今回は米AT&Tも入る予定で、計8社になる。

 設備増強で通信容量が増えると、ネット渋滞などの不便を抑えられる。太平洋での敷設計画は他にもあり、「10年ごろには太平洋間の通信容量は現在の約3倍になる」(関係者)という。

 相次ぐ設備増強の背景には、増加する一方のネット通信量がある。総務省の試算によると、光回線やADSLなどブロードバンド(高速大容量)通信網の普及で、昨年11月の日本のネット通信量は04年11月の2.5倍。特に米国など海外から流入する通信量は、06年5月からの1年半だけで約2倍に増えている。

 通信各社はネットを安く定額で利用できるサービスで顧客を奪い合い、ネットの普及にも貢献してきたが、同時に通信量の増加を招き、巨額の投資を迫られている。

 しかし、ある接続業者は「通信量の6割が、動画などを大量にやり取りする1%のヘビーユーザーで占められている」と分析。大量の動画を提供するコンテンツ企業にも「回線のただ乗り」批判が付きまとう。

 日本インターネットプロバイダー協会など業界4団体は、一般利用者が渋滞で不利益を被らないよう、特定のヘビーユーザーやサービスの通信速度を制限する際の指針を5月にまとめる。ヘビーユーザーに追加料金を課すことの是非も総務省で検討されており、年内に結論が出る予定だ。