米景気対策、1400~1500億ドル程度 大統領発表

2008年01月19日11時37分

 ブッシュ米大統領は18日、急速に減速している米景気を浮揚させるために実施する景気対策の概要を発表した。所得税や法人税の減税を中心に、「国内総生産(GDP)の1%程度」の規模が必要とし、約1400億~1500億ドル(約15兆~16兆円)の財政出動に踏み切る方針だ。新たに約50万人の雇用を生み出す効果を期待している。米議会と調整し、来月の実施をめざす。

 ブッシュ大統領は「経済が落ち込むリスクがあり、雇用も危険にさらされかねない」などと述べ、議会に協力を求めた。低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きが急増し、金融不安の長期化やマイナス成長も懸念されている米経済を「カンフル剤」(大統領)で下支えする。

 所得税減税では、サブプライム問題が直撃している低所得・勤労世帯の支援を狙い、納税者1人あたり800ドル(約9万円)程度を小切手で還付する「戻し税」が検討されている。共働き世帯では1600ドル(約17万円)を想定しており、ITバブル崩壊に伴う前回01年の景気後退局面で実施した戻し税額の3倍近い金額となる。減税によるGDPの押し上げ効果は1~2%程度と予想される。

 法人税の軽減では、設備投資に伴う減価償却費の損金算入枠の拡大を検討中だ。金融不安で銀行の貸し出し姿勢が厳しくなっているうえ、企業側も業績不振などから経営マインドが悪化しており、投資減少が景気減速に拍車をかける事態を防ぐ狙い。雇用を担う中小企業に焦点をあてる予定で、「経済成長に重要な企業投資と個人消費をテコ入れする」(大統領)としている。

 米国の失業率は昨年12月に5.0%に達し、今年年末に向けて6%台に迫る恐れも指摘されている。このため、失業保険の給付期間の延長や、困窮者層の食料購入費を対象にした生活補助(フードスタンプ)の増額なども検討されている。

 サブプライム救済策では、住宅の差し押さえを防ぐため、ローン契約の変更を手助けする地域団体や非営利組織(NPO)への補助増額なども検討中だ。景気減速で悪化している州財政への補助を増やし、差し押さえ住宅の保全を支援することも狙う。今後200万世帯が住宅を差し押さえられるとの予測もあり、対策を急ぐ。

 米景気は、GDPの約7割を占める個人消費に急速に陰りが出てきた。GDP成長率は昨年7~9月期は4.9%(年率換算・前期比)と好調だったが、10~12月期は一気に約1%に減速するとの見通しが有力で、今年1~3月期はマイナスに転じる恐れも指摘されている。

    ■米国の景気対策の規模と検討項目■

・総額で1400億~1500億ドル(15兆~16兆円)規模

・戻し税方式で納税者1人あたり800ドル程度(約9万円)の所得税減税

・減価償却費の損金算入枠拡大による法人税減税

・失業保険の給付期間延長や困窮者層への食費補助の増額も