息子が希望している通信制高校の試験が行われた。
課題作文とグループ面接が試験内容。
試験会場まで送って、私は近くのカフェでお茶しながら読書して待つことにした。
ここ最近、息子はずいぶん遅くまでゲームをし、だいぶ遅くに起床している。
この日も、相変わらずの安定感でコタツでぐっすり眠っていた。
私は、息子を起こさずにいた。
そこでLINE。
「終わったよー」
過去記事にも何度か登場している息子の親友☆くんのママからである。
☆くんは、朝イチの試験を受けていた。
サッサと試験を終わらせたかったらしい。
この一週間緊張してたらしく、ちょっとおかしくなっているとママは言う。
そういえば、数日前に息子と☆くんが通信ゲームで遊んでいたので、「試験について話したりしないの?」ときいてみたのだった。
通信制高校を決めるのに、お互いどこにするかも知らなかったふたり。
男のコは、そこんところ話題にしないもんなのだろうか…
息子たちの試験の話に戻る。
「☆は作文を書いてるんだって」
(おー、さすがに話題になったか)
「そうなんだぁ、〇〇は、なぁーんにもしてないけど焦ったりしないの?」
と、聞いてみた。
「うん」
うん・・・てぇ〜
ま、そうだろうなと思う。
そんな様子で、当日を迎えたのであった。
☆くんママとLINEのやり取りをしていたら、息子がムクっと起きた。
「何時に出るの?」
「2時には家を出る」
「いま何時?」
「12時」
「そ」
と言って、また寝てしまった。
どのような精神構造なのだろう。
そろそろ支度しないと間に合わないぞ!って頃に起こしてみた。
「ん・・・ あーーー、めんどくせぇ」
と言ってゴロゴロする。
「面倒くさいなら、行くのやめとく? 行かなきゃ行かないでそれでもいいんじゃない」
と私。
2階に上がって片付けなどしているうちに、息子は洗面所で顔を洗っていた。
どうやら、行くらしい。笑
身支度を終えて駅へ。
「あー、作文めんどくさいっ! 聞きたいことあんなら面接で聞きゃあいいじゃん」
と割と大きめな独り言をブツブツ・・・
「そうやって悪態ついて緊張をほぐしているんだね」
と言ったら、前を向いたままニヤッと笑った。
電車が来るまで、その緊張ほぐしに付き合った。
ここまでが、試験を受けに行くまでの息子の様子。
カフェで十分に読書を愉しみ、息子のお迎えのため店を出る。
会場の前で、しばらく待つことになった。
待つこと15分ほどで息子が出てきた。
「おつかれ」
と、声をかける。
「なにか食べてく? それともなにか買ってく? なにか食べたいものある?」
と、早速食べること。←あ、私がです
「うーん、チーズドッグ」
テレビで観たのか、数日前からチーズドッグが食べてみたいと言っていた息子。
なら、帰りに新大久保に寄ってこうよって話になっていたけど、当日になると、やっぱり終わったら帰りたいと言っていた。
終わった開放感からか、方向転換。
新大久保行きが決まったので、駅までの道を歩きながら試験の話になった。
「課題作文の課題ってなんだった?」
と、聞いてみた。
「それがさぁ、『思いやりの大切さ』ってのだった。オレさ、思いやりが大切だから思いやろうってしたことないから、なに書けばいいかな?って思ったよ」
「わかる!〇〇はそういうこと考えてなくて、本心からそうしたくてしたことが思いやりになってるのを知ってる。そこがママはすごいなっていつも思うんだ。それをそのまま書いたらいいんじゃない?」
「んー、ま、それなりに埋めたから」
「そっか」
息子が展開していく息子の人生である。
気づけば、もうそんな年齢になっていた。
新大久保に到着。
で、待望のチーズドッグである。
あ、奥のおねぇちゃん。
履いてたショートパンツがきわど過ぎてにてゴメンあそばせ
中に、モッツアレラチーズにお餅が入っていてビョーンの伸びーる。
「うまい」と息子も満足げ。
私のも食べる。笑
せっかくだから、韓国料理でも食べていこう!ってことでフラッと入ったお店。
予約してますか?と聞かれたけど、ギリOKだったようで、次に入ってきたお客さんは席がなく帰っていった。
息子は、ユッケジャン
私は、石焼ビビンパ
お肉が食べたいということで、ポッサム。
すべて、味つけが辛味でとんがり過ぎず、旨味が際立っていた。
私は石焼ビビンパにおこげを作りながら、「石焼ビビンパは、じいじが大好きだったんだよ、焼肉を食べに行くと必ず石焼ビビンパを食べてた」と、ちょっと思い出話。
私の父は、息子が小1のときに他界した。
じいじの死は、息子が初めて体験する身内の死だった。
息子はじいじの死を知ってからも、そして葬儀の日も泣かなかった。
死というものがどういうものかを、まだ小さな息子は全身全霊で受け取っていたのを知っている。
起こる感情に悪戯に翻弄されず、ただただそのままに打たれていた姿は泣く姿よりも過酷なような気がした。
息子が
「もう少し、じいじと居たかったな」
と言った。
「そうだね、じいじとどんな話しができただろうね」
「うん」
話はそこまでだったけど、私は父が一緒のテーブルに座っている気がした。
そして、父が好きだった石焼ビビンパを息子にお裾分けした。
「美味しいね」と息子が言った。
帰りの電車の中、私にもたれ掛かり息子はぐっすり寝ていた。
なんだかんだと、頑張ったのだろう。
何気なく垣間見える息子の成長にしあわせを感じる一日だった。