本職、いや、ちょっと違うな、笑。
元々、趣味である中世美術の備忘を目的としてブログをやっていて、こちらはスピンオフというか、中世美術以外の備忘ブログという位置付けです。
中世美術って、いわゆる芸術家が芸術家として認識され始めた最初の時期で、どっちかっていうと、彫刻も絵画も建築も、まだまだ職人技カテゴリーで、名のない職人さんの作品を愛でるっていう世界です。
そういうのもあって、職人とか職人技にはすごく反応してしまうんですよね。

という中での、現代美術の巨匠と呼ばれる一人、なのかな、そういう人の展覧会。これもちょっと前の開催なので、もう終了していると思いますが、その辺は気にせず備忘録です。
ニュースレターの写真が気になったので、珍しく入場料を払って、見学に行きました。

珍しく、っていうのは、普段は無料のイベントや展覧会に行くことが多くて、特に最近は無料コースに拍車がかかっている感じです。
ミラノは、イタリアの中では都会だし、文化には比較的お金を使っている町でもあるので、無料のイベントが沢山あります。
で、そういうイベントが、まぁ無料だから、という頭もあるかもしれませんが、結構優れた内容、というか、満足度が高かったりすることが意外と多いんですよね。一方で、例えば絵画の展覧会だと、昨今、一人の作家さんを掘り下げる内容よりも、テーマを持った展覧会というのが多くて、作家の作品を楽しみに行ってみると、作家本人の作品が少数しかなくて、テーマに沿った他の人の周辺作品が大多数だったり。
意図は分かるのだけど、そういう場合って、よほどキュレーターさんのセンスと合致しないと、なんだよこれ!って思わされることが多い。だって、今って展覧会入場料、10ユーロ切るものはなくて、平気で15ユーロ、20ユーロ取りますから、損した気分になりやすいっていうか。

展覧会にコスパを持ち込むのも変かもしれないけど、私は見たいもんを見たいタイプなんで、ごちゃごちゃこざかしいテーマとか、あまり興味ないんですよ。そんなのは、自分で本読んだり、研究したり、山田五郎さんのチャンネルを見たり、笑、そういうことでやればいいじゃんっていうか。

日本は、その辺どうなっていますかね。
昔は百貨店が、集客の目玉として展覧会を主催していたものですが、昨今百貨店も激減して、受け皿も減ったでしょうね。それにしても、百貨店ごときが、っていうのもなんですが、印象派の展覧会とか開催できたっていうのもすごいことですよねぇ。

円安が行き過ぎると、海外の作品の展覧会も、減っていかざるを得なくあるかもね。ああいうのは、何年も前からブッキングするのだろうから、これから数年後、展覧会もコンサートも、気付いたら、外国ものがなくなっているのかもしれないよね。

ま、それはともかく。



ロン・ミュエックRon Mueck - Fondation Cartier, pour l'art contemporain
於ミラノ・トリエンナーレ美術館 c/o Triennale Milano

行ってみようと思ったきっかけの写真が、トップの骸骨ゴロゴロなんですが、カルティエ財団主催というのも、結構気になった点です。金持ちのハイ・ブランドの現代美術熱は半端ないし、それなりに「映える」ものに手を出す傾向があるような印象もあって、笑、面白そうな気がしたんですよね。

知らない人だと思い込んでいたんですが、かなり昔に、ベネチア・ビエンナーレでお会いしていたこと、最初の展示作品で、もしや、と気付きました。



巨大、そして、リアリティがすごいフィギュア。
とにかく、この異常な縮尺で、あ、と思ったのは、ビエンナーレのアルセナーレ会場の入り口に、どかん!と置かれていた少年の像です。

と、ここで写真を掲載したいところですが、手持ちで見当たらず。アート作品なんで、気軽にお借りするのもリスクがありそうなので、ご勘弁。「Ron Mueck Boy」
で画像が出て来ますので、ご興味あれば検索してみてくださいね。

あまりに記憶が鮮明なので、すごく驚いたのですが、なんと2001年のビエンナーレと出て来ました。記憶が鮮明なのは、ビエンナーレに通いだした、割と初期の頃だったこともあるのかもしれませんが、それにしても、会場入り口でのあのインパクトは、後にも先にもないくらいのインパクトでした。
でかいし、しゃがんでいるポーズがまた、そのスペースにぴったりだったのもね。
その時は、でかさだけに驚いたんだけど、実はそのリアルティもすごいところなのね、この方。



怖いのよ~。
でかいのに、雑さがあるどころか、すっごい本物。限りなく本物…。肌にしろ、爪にしろ、髪にしろ…。



この、骸骨ゴロゴロは、新作らしかったです。
人のフィギュアは、一体一体を丁寧に作っていくけれど、これは型で同じものを量産しているようなので、方向性が違う。でかいのは同じだけど、これまでのフィギュアとはかなり違う。



同じなんだけど、なんか見てるとおかしみが感じられたり、結構じっくり見てしまう。でも、だから何?感は否めず、笑。

ここらで、ドキュメンタリーを流している部屋があり、30分くらいだったかの映像を鑑賞。これが、実は一番面白かったかもね。
映像で、人物フィギュアを作っている工房の様子が記録されていて、もうね、この人は職人だと思うに至る。
とにかくリアルティを出すための工夫やこだわりがすごくて、それはアートというより職人の技術だし職人魂っていう様子でさ。

それもそのはずっていうか、子供向け映像のモデルや人形作りが最初のキャリアらしいから、なるほどねっていう感じ。



その映像の中で、こだわって製作していた三匹の犬がいた。
これ、暗闇とかでにゅっと遭遇したら、相当怖そうだけど、こうやって置かれていると、不気味さもないし、インパクト、意外とない。で、これまた、だから?ってなっちゃったり、笑。

職人技、好きなんだけど、でも、三次元のテーマをただ三次元で精密に再現されても、それが縮尺違うから面白いでしょと言われても、ちょっと、なぁ。

実際より小さめのタイプもあり。



小さい分、リアルティマシマシ、という様子も…。



やっぱ、怖い…。
で、だから?ってなっちゃいませんか。

「少年」は、かなり好きだったけど、あれは場にあっていたのが大きいな。ビエンナーレのために製作されたものじゃないので、それはびっくりなんだけど。キュレーターさん、すごいわ。
作品的に、個人が買えるものじゃないけど、押し出し的には美術ピースとして、一点くらいあるとインパクトあるし、それなりに売れているみたいですね。大きいことはいいことだ、かな。

金を払った後悔はなかったけど、次があっても多分見ないな、笑。

 

中世美術専門の別ブログになります。


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