フオリサローネ2024 その15

バガッティヴァルセッキ邸、続きです。



お庭にも出てみました。多くの人がのんびりと座っている芝生もあれば、こういった木陰の、林みたいな場所もあって、どれだけの庭師が必要だったんだろう、とため息が出るような。

なんかね、本当にびっくりするくらい今更なんだけど、ネットで「ベルサイユのばら」を読んでるんです、笑。現役では読んだことなかったし、そんなに興味がなかったんですけど、本当によくできたお話で、当時の王族を含む貴族の生活と庶民の現実との格差を視覚化してるから、すごく分かりやすいなって感心しているんですよね。そりゃ、売れたわけだわ。
で、現実に、まぁここは19世紀ですからフランス革命から1世紀も後のことで、それもイタリアですけど、それでも貴族はこの程度の暮らしができていたんですね、というものを見ると、なるほど、1世紀前はこんなもんじゃなかったんだろうよ、と想像もしやすいと思うわけです。

先の方に何かありそうなので、行ってみることにします。



人工的に作られた洞窟みたいのがあって、その先が氷室になっていたようなんです。その氷室の部分、すでに一部損壊しているけれど、展示がありました。



Maniera 32: Junya Ishigami(石上純也)

石上純也さんってどこかで聞いたことあるよなぁ、と思ったら、妹島和代さんのSANAAにいた方でした。また、このサローネ関連でもすでに多くのコラボをされているようなので、過去にお名前を見たことがあるんでしょう。でも、完全に覚えるほどの関心は持ってこなかったらしい、笑。

これは、おそらく氷室の本体部分なんでしょうね。井戸みたいな構造で、今は草木が生い茂っているイギリス式庭園状態になっていて、そこに、やけに繊細な家具が置かれていました。



ロケーションが、メード・イン・アビスみたいな雰囲気で、とっても良かったです。そして、ここまで来る見学者は少なくて、静かにゆったりアクセスできたのもよかった。
すでに大物の石上純也さん、今後はしっかりと記憶しておこうと思います、笑。

もう一度お屋敷に戻って、見残しをチェックしていきます。



実は、それでも、いくつか見残してしまったようです。今更平面図を見て、あっ、とか言ってますけど、大いに後の祭りです、笑。



Victoria Yakusha Gallery

なんだろうね、笑。
ちょっとふかふかしたような、なんならぬいぐるみ?みたいなマテリアルが売りなのかと思いつつ、日本語みたいなギャラリーの名前に興味を持ってググってみたところ、なんと、ウクライナの家具屋さんみたいです。Yakushaって、ウクライナの名字なのかしら、びっくりした。

それにしても、このフォルム、澤田さんだったか、アウトサイダーアート、アール・ブリュットで著名な作家さんの造形を彷彿しました。澤田さんの作品、いつだったかベネチアのビエンナーレで拝見して、あまりにインパクトが強かったので、この海馬の働きが悪いわたしなのに、一発で記憶してしまったのですよねぇ。
インサイダーアートは好き嫌いもあるし、もちろんすべてを一括りにはできませんけれど、概して面白いなと思う方です。
粘着質的なところ、自分にはない、どこまでも一つのことに集中する能力っていうんですかね、そういうところに感嘆するっていうか。

おっと。
家具の展示だから、そこに注目するべきではないのかもしれないけれど、でもね、そうやって、デザインの展示会であるはずなのに、アート視点が持てたりする多様性が、私がこのフオリサローネにはまっているところなんですよね。
なにより、このお屋敷の雰囲気、最高ですね。こんな、古びた木製天井のお家、うっとりしちゃいます。私はやはり、モダンより古いものが好きみたいです、住まいに関しては。



お屋敷入ってすぐに、砂で一杯の部屋に戻ったら、お子さんが砂場状態になっていました、笑。そりゃそうだよね。
見残し、あったと思いますが、人の多さにも疲れたので、あまり執着せずに本館を後にしました。
次の会場に向かおうと思ったら、門の脇にも展示場が…。

元々は見張り所みたいな場所ですが、それなりのスペースがありました。さすが、これだけのお屋敷となると、守衛さんのお住まいも、それなりのものとなっているんですね。おそらく住まいだったと思うんですけど。



五室あり、それぞれに異なる展示でした。
最初のお部屋な、なんだか遊園地みたいな楽し気な様子で、細かいものがチマチマと所せまし状態で置かれていましたが、だからなに?となってしまって、謎でした。イケメンっていうか、見た目かっこいいお兄ちゃんが三人ほどいて、多分作家さん達なんだろうなぁ。
ここには見学者が少なかったのですが、自分には関係ないお店に迷い込んでしまった感しかなかった…。



こちらは、紙系、またはファブリックだったのかな。ちょっと面白い様子があったのだけど、作家さんなのか、コンパニオンなのか、お二方がずーっと座り込んでしゃべっていて、営業する気はゼロでした。
いや、私相手に営業しても何にもならんけどさ、でも、せっかく見学者が来たら、営業するために来てるんじゃないのか?と思いながら通過。

そして、一番奥の、結構狭い秘密基地みたいなスペースに入ったら、日本語!



Iyo Hasegawa

日本の女性の方で、ご本人がいらっしゃいました。レンチを使ったインテリアで、変幻自在、面白い作品でした。
そして、ご本人素敵な方で、ご迷惑も顧みず、ついついおしゃべりしてしまいましたよ。



レンチなので、重い!
それを抱えてこられたそうですが、いくつかは販売もできたということで、喜ばしいことですね。
本館は、人が大勢来ますが、じっくり見るというより流れに乗って歩き去る感じもあり、一方この場所は、奥まっているだけに、わざわざのぞきに来るようなスペースで、その分、見学者が混雑することもなく、お話もしやすい雰囲気があり、良かったです。また、はせがわさんご本人の雰囲気が、ふんわりとしていて、かつ快活で、好感度がすごく高かったです。
私は門外漢だし、一般社会人(つまり金持ちではない、笑)なんで、購入とかもできないんですみませんね、など言ったところ、「実は、そういう層の方が多くてびっくりしている」と。

そういう層、というのは貧乏人ではなくて、笑、門外漢、つまりデザイン無関係な人々、という意味でした。日本だと、デザインというと、どうしても関係者だけしか集まらない世界なのに、こちらでは連日、デザイン無関係な人が、興味を持って見に来るので驚いている、とおっしゃっていました。

考えたら、デザイン、インテリアが、確かにすごく身近なんですよね、ミラノは。
市内にある家具のショールームの多さ、そういえば、東京でも、これだけ家具のお店はない気がします。雑誌でも、家具に特化したものが数種類あるし、どれも歴史がある。
日本とは、あり方も、人々のアプローチもかなり違うんですね。

こっちでは、お家は新築が少なくて、一軒家にしても集合住宅にしても、外側は中古のありもので、購入して内装をするのが普通なので、そういうことも関係しているのかもね。こちらでは、誰でも人生で一度は不動産を購入すると思うので、自然と内装やインテリアへの興味、というか、必要があるからね。
わたしだって、Ikeaだけでなく、それなりの家具屋さんやアンティークショップに通ったもんね。どうしても経済的制約から、最終的には、選択も限られてしまうわけだけどもさ。

普段の生活では気付きもしない、考えもしないそんなことに思いが至ったりするのも、非日常的な、こういった出会いがあるからで、フオリサローネは展示を楽しむとともに、作家さんとのお話もまた、楽しいものなんです。



というわけで、貴族のお屋敷探訪、楽しい出会いをもって、まずは一軒目終了。
次に向かいます。

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