フオリサローネ2024 その14

デザイン・ウィーク後半の金曜日。
かなり興味があるけれど、週末はおそらく人出がすごすぎるから、行くなら今日しかない、という場所がありました。

本来、フオリサローネはミラノ市内でのイベントなんだけど、実はミラノ郊外でもあったりするんですよね。
今回は、有名なAlcovaが、ミラノ北部の町Varedoのお屋敷を会場とするということで、すごく話題になっていたし、突出して興味が持てるイベントが比較的少なかった今回のフオリサローネの中では、やはり行くべきと思ったんです。私は、市内北部に住んでいるので、距離的にも車なら30分はかからなそうだったのも、後押しポイントでした。

アルコーヴァAlcovaって、出展をオーガナイズする団体で、去年は市内の”と殺場”跡地での展示会を企画して、まさに押すな押すなの大盛況。場所が市内でもかなり不便だったこと、そして日を追うごとに訪問者がすごいという話を聞いて、見学をあきらめたんです。
Alcovaは、2018年に創立の団体で、フオリサローネへの出展は、その年から始め、今回7回目だそうです。これまでパン屋工場跡地とか、カシミア工場、病院建物など、なかなか奇抜な場所をチョイスすることで話題になってきたらしいのですが、私は去年初めて興味を持ったくらいです。多分、私のいい加減な情報収集に引っかからなかったのだと思います。
デザインをやっている人の間では、めちゃくちゃ知名度が高いようです。

Alcova founded in 2018 
by Valentna Ciuffi (Studio Vedet), Joseph Grima (Space Caviar)

というわけで、仕事をさっさと切り上げて、クルマで出かけました。
30分もかからずに到着するはずが、思いっきり道を間違えて大回りして、大汗かきつつも、町の駐車場に無事駐車できました。が、何とはなしにザワザワした様子を感じました。

Varedoは小さな町ですが、有名なお屋敷が二つもあり、今回その両方での展示となります。鉄道駅があり、見学者の多くは鉄道で訪問しているようで、駐車場に問題がなかったのは良かったのですが、その便の良さからでしょうか。平日の午後でも、かなりの人出です。



Alcova Milano
c/o Villa Bagatti Valsecchi - Varedo

駐車場から近い方のお屋敷ですが、行列ができていたのでびっくり。
それにしても、立派なお屋敷です!

これは、元々はバガッティ・ヴァルセッキBagatti Valsecchiさんという貴族の館。この貴族のミラノ市内のお屋敷は、邸宅博物館となっており、フオリサローネの際はイベント会場として使用されることが多いので、毎年訪ねているくらいなのですが、今年は、トークショーみたいなイベントしかなかったので行けませんでした。
しかし、ミラノ郊外にもこれほどのお屋敷があったことは、まったく知らなかったので、びっくりしました。



バガッティ・ヴァルセッキ家の夏の離宮、つまり別荘ですね。
別荘ですが、ミラノ市内の本宅の何倍もある建物、そして、広大なお庭付きです。
社会階層があってこそ金持ち階級が生まれ、そして文化が発展するという現実があるにしても、今も昔も格差のすごさって、こうやって見せつけられるとなんというのか、階層は混じりあえないよね、とか思ってしまいます。いや、そういうことを考える場ではないのだけど、笑。



こんなお屋敷のすべてのスペースに、多くの出展者さんが来ています。どういう仕組みかは知りませんが、アプライしてお金払えば参加できるもんでもないのかな。アルコーヴァと合わないものが出展されても困るから、何らかの審査的なものはあるのでしょう。

とにかくたくさんの展示がありましたが、見学者が多くて息苦しいような雰囲気だったりもしたので、特に人が多く滞留しているスペースは、人をかき分けるようにして通り過ぎたり、という形で見学しました。
まぁ私の場合、アートの展覧会でも、興味あると感じるもの以外は、平気で通過するタイプなので、スタンス一緒ですけども、笑。
なので、さらさらっと行きますね。



入ってすぐ、お庭側の正面のお部屋は、結局一番インパクトがあった展示だったかもね。
いきなりお部屋に砂満載で、度肝を抜かれました。あるべきでないものがあるべきでない場所にあるって、インパクトありますよね。



いちいち出展社さんの名前を確認してないのですが、おそらく照明メーカーさんなんだろうな。

続き部屋では、靴屋さんもいたようです。



下のは、バスルームに展示されていて、かわいかったので記憶にあります。



Non Conformist Garden by Sema Topaloglu Studio

ガラスですがトルコのデザイン・スタジオのようですよ。かなりベネチアン・グラスっぽい感じですよね。といって、伝統的なものとは違うポップさがあって、好みでした。お家全体は無理でも、バスルームだけこういうテイストにするっていうのは、すごくあり。



19世紀のお屋敷、そのもともとのレトロ感満載のたたずまいを味わうのも、それだけで楽しかったりするわけですが、そこにいきなり現代のインテリアを合わせるのも、本来ミスマッチながら不思議とマッチする楽しさがありますよね。

大きなお屋敷の立派な階段は、常に憧れ。そこにこんな鉄の手すり、萌えます。好きなんです、アイアン。



順路もよく分からず、なんとなく人の流れに沿うようにして見ていますが、時として、展示よりも建物に目が行ってしまいますよ、やっぱり。
立派な天井、そしてその下の装飾。
展示は、なんだか…、ちょっとヘタな現代アート的な風船。なんなのさ?



レトロなお洋風が沢山はっつけてあって、ますます、なんなのさ?しか出てこない、笑。

様々なデザイナーさんのメモやノートを展示しているスペースもありました。



この蛇腹ノートがとても興味深くて、この後、趣味の手作りノートに、早速取り入れてみたんですよ。まだ100%完成形ではないけれど、なかなか良いものが出来てきました。
やっぱり、実際に色々見るって重要です。どんなつまらないどうでもよいようなものでも、物を作るって創造なんですよね。まったくゼロから作るものもあるけど、技術とかアイディアをインプットするとか、外部からインスパイアされることってすごく有意義。
蛇腹は、実はこの前に訪ねた映画博物館でも目にして、気にはなっていたんですが、ここで後押しされて、一気に作り出しました。って、大げさですけどね、笑。



思わせぶりな閉ざされた空間を作る壁。
マテリアルを売り込んでたのかな。

地下の、ちょっと地味なスペースに、日本人のデザイナーさんがいらっしゃいました。



Fossilized Future by So Koizumi Design(小泉創)

化石をイメージして作られた家具ということのようです。実際に座らせてもらったのですが、肌触りが良いのと、家具というよりもオブジェ的なイメージが強いフリーダムなイメージが、素敵だとは思いました。
でもさ、すっごく広い家にでも住まない限り、家具だかオブジェだか分からないものは不要だけどさ、笑。
ま、現実問題として、日常生活に取り入れられるような提案をする場じゃないからね。ある程度の富裕層にとってはそうかもしれないけど、大部分にとっては、雑誌の写真の世界だからね。だからいいんだよね、それで。
Koizumiさんご本人がおられたのですが、作品のイメージそのままの、何かこう、シン、とした感じの方でした。いや、化石とかそういうんじゃないんだけど、森の中にシン、と立っているみたいな。



地下の通路にも、おそらく展示の照明器具。
こんなところ、お屋敷が現役だった当時は、使用人専用だったんでしょうね。お屋敷の主たちは、存在すら知らなかったに違いない。そういう秘密の場所的な面白さ、感じてしまいました。

相当端折っているんですが、それでも展示が多かったので、やっぱりある程度はあげときたいです。続きます。


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