フオリサローネ2024 その8

普段入れないところ、という切り口で、次々と目的地をめぐっていきます。
文豪のお屋敷の次は、これまたさらに立派なお屋敷です。



Design Palazzo Austria by Vasku & Klug
Prolicht, Wolford, Julius Meinl, BWT
c/o Palazzo Confalonieri-Fondazione Cariplo

「初めてデザイン・ウィークの会場として使われるお屋敷にて、オーストリアのデザインを展示します。」

ということで、やっぱり本邦初の会場でした。スカラ座の裏にあり、何度か近くを通ることはありましたけれど、カリプロ財団の建物とは気付いていない建物でした。
カリプロCariploって、かつてイタリアの大銀行の一つでしたが、金融業界の統廃合が一気に加速した時期に、気付いたらその名も失って、他との吸収合併の渦に飲み込まれて、どうしたんだっけ?ということになってしまいました。まぁ、銀行の統廃合は、日本でもすごいことになってましたよね、一時期。
30年以上も海外生活している私は、生き残った伝統系の日本の銀行の名前が、もはや分からなくなっています。だって、あまりにも変わってしまってますよね。
イタリアも、昔からある銀行は、かなりの少数に集約されて、今ではネット銀行や投資中心の銀行ばかり。カリプロ、かつては誰でも知っていた銀行だったけど、今は財団に名が残るのみというわけです。

イタリアって、そういう財団が沢山あります。財務的にどうなっているのか不明ですが、本体から完全に分断されて、財団だけで生き延びているのですから、ベースとなっている資産がとんでもないってことですよね。
やはり歴史的な社会階層があったからこその結果ですかね。そして、資産を生む企業は、伝統的に財団を作って、社会貢献というのか、文化活動などを、財団でやる感じで、例えばハイファッションのブランドは、ほとんどがその財団を持っていて、そこで現代美術などを購入して、博物館で社会に還元するようなことをやっていますね。
文化活動って、お金がかかるけど見返りはないから、本当に余剰資金でしかできない部分があると思うので、財団って有難い~。私がよく行く、比較的近所の現代美術館も、ピレッリ財団ですからね。本体のタイヤのピレッリは、今や中国企業となってしまったけれど、財団は切り離して残されているのです。

おっと、ついつい余計なことばかり。

さて、オーストリアのデザイン。



全体に、この強めのピンク、イタリア語だとフクシアFucsia色というんですが、日本語だと正確にはなんと呼ぶのでしょうか。フクシアは、あのかわいらしいお花から来ているようです。
コンパニオンのお姉さんたちが全員、このフクシア色のソックスを履いているのがかわいらしかったです。



それにしても、展示はめっちゃ地味で、展示の方法も、あまりにも普通で、訴える力が弱い…。



見学に来ている人も、デザインを見に来たというよりも、このお屋敷の調度や、調度の一部となっている絵画を熱心に見ている様子が強かったです、笑。なーんだ、みんな同類じゃん!



お屋敷は、こういったモダンな内装からして、きっと19世紀とかまたは20世紀、さほど古くはないのかもしれませんが、おしゃれな時代のおしゃれな内装。シャンデリアなどの調度がね、いかにも金かかってますって様子もあって、やはりデザインより、そっちに目が行ってしまいました。

というわけで、さらりと退出して、次に向かったのは、満を持して、的な場所です。



Armani/Casa
New collection
c/o Palazzo Orsini

ジョルジョ・アルマーニのお城の一つです。
ここは、いつ行っても、長蛇の列で、すごすごと引き返してきたのですが、今回は頑張ってみました。長蛇、まではいかなかったけど、それでも20分近く並んでいたようです。並んでいる人は、ほとんど野次馬、いや、自分もそうですけど、笑、とはいえそれなりに見ているじゃないですか。並んでいる見学者は、ほとんどツーリストで、ビジネスの人たちには、おそらく別ルート、別のスペースが確保されているんだと思います。

これもまた立派なお屋敷です。Orsiniって、ルネッサンスの頃によく出てくる家系ですよね?あの家系につながるどなたかのお住まいだったんでしょうね。ミラノの中心地にドカンとあります。
アルマーニが購入して、改装して、いつの頃か忘れましたが、カーサ・ラインのショールームと、おそらく事務所機能とか、サロン機能とかもあるのだと思います。相当広そうです。



階段がさ、すでに一般の住宅の規模感から逸脱してるし。昔のお屋敷って、やばいわ。
でさ、ショールームを予想して、展示スペースに入るじゃん。ところがさ。



なんかいきなり趣味のコレクション的アイテム…。



お洋服は、ご自身デザインのものなんでしょうけど、キンキラの、それでいて趣味の良い屏風とか、なんていうか、成金系金持ちのコレクション以外に、適切な言葉が出てこないっていうか。



そういうコレクションに、オリエンタル系は欠かせないよね。今は、特にジャパンですかねぇ…。
一応、家具らしい家具もあるにはあったけど、全体、ラインとしてニューコレクションなのか、趣味的なアイテムのコレクションを見せびらかす展示なのか、いまいち分かりませんでした。

 


なにはともあれ、すごいお屋敷だということは分かりました。そして、相当のコストと時間をかけて修復したであろうことも。



ミラノ、いや、イタリアの文化財の結構な部分を、今やハイファッションのブランドが担っているというのは、すごいことですよね。イタリアの底力っていうのか、国を支える産業の幅が広い。
まぁさ、ここはちょっと成金臭がないでもなかったわけですが、一度くらいは見学する価値はあったかな。

価値と言えば、これはびっくりでした。



なんと、見学者全員に、漏れなくエコバックのお土産付。
紙ものが減って、ちょっと増えているのが布製エコバックお土産と思うんだけど、どこでもやってるわけじゃないし、黙っていても人が来る上に、すでにイメージ確立しているアルマーニがやる必然性は非常に少ないと思うので、すっごくびっくりしました。
エコバックは、必要品なので、いくつあってもありがたいものです。
初めてのアルマーニ。いや、絶対にアルマーニ製じゃないけどな、笑。

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