今年は、しばらくご無沙汰していた映画や展覧会に回帰しよう、せめて週に一度は何か文化的インプットやってこう、と目標を立てまして、今のところ、順調にインプットしています、笑。
面白いことに、そうやって自ら動きだしたら、向こうから寄ってくる、みたいなところもあって、このところ、金曜の午後から夕方、また土曜日まで、何かしらお出かけする目的が見つかって、充実の週末がスタートするという、有難い日々になっています。

今や、週休三日が普通になっているらしいオランダにはかないませんが、私も結構ラッキーで、金曜日は5時間勤務なんです。でも、根がまじめだから、笑、15時16時、場合によってはもっと遅くまで働いてしまうことも多かったし、繁忙期はどうしてもそうなってしまうんですが、今は落ち着いている時期だし、金曜日は大抵在宅なので、スパッと切り上げやすくもあるんですよね~。
余計に働いたところで、残業代がもらえるわけじゃないし、その辺は、しっかり割り切っていかないといけないっていうのもあるしね~。

というわけで、何かないかな、と探していたら、うまい具合に、日本語上映の映画がありましたのよ。



ちょっと前に見た宮崎駿さんの映画に続き、オリジナルの日本語上映。
一本目は、我が家の結構近所、クルマなら5分とか、そういう場所に、映画博物館というのがありまして、常時、名画座的に映画を上映しているんですが、そこでかかっていた「悪は存在しない」、イタリア語タイトルは、まんまIl Mare non esisteでした。だせーな、なんだろ?と思ったのですが、ちょっと前にドライブ・マイ・カーだったかな?カンヌで賞を取ったりして、かなり売れた映画の監督、濱口竜介さんということで、また、ベネチアで銀獅子賞受賞というのもあり、そしてなんといっても、せっかくの日本語上映だし、と見てきました。



映画博物館内とはいえ、スクリーンはしっかり大きいし、椅子も快適、その上平日料金は5ユーロと格安だけど、場所的には場末だし、地味だし、平日である金曜日の夕方ということもあって、ガラガラ、つまり私の好みの状態で、まずはよしよし。
ストーリーも何も先入観ゼロだったのですが、いや~久しぶりの、ヨーロッパ映画祭受けするガチ日本映画って感じで、笑、新鮮でした!
とにかくね、間がすごいのよね。行間と言ったらよいか。ヨーロッパ映画も、アメリカ映画に比べたら、圧倒的にそうなんだけど、日本のこーゆー映画は、それを凌駕するよね。

ストーリーはそれなりにあるし、セリフも入るんだけど、主人公が、最小限しか自己表現をしなくて、ストーリー的には、主人公に関しては寡黙で。
あまりに久しぶりで、最近はちゃっちゃとしたユーチューブ動画ばかり見てるから、ついつい、で?キモは何?さっさとちゃっちゃと行きましょうよ、という気持ちにもなったりしながら、見ているうちに、色々想像したり考えたり、下世話な人に共感したりしながら、なんか、映画のリズムになじんだ感じはありました。
すべてが心象風景みたいでありながら、実はガチリアリズムみたいな。とにかく行間すごいから、考えちゃって、うざいながらも入り込めるところがある感じではあったな。でも、二度は見ない、笑。

それである意味勢いついて、翌日、もう一本の日本語上映映画に行くつもりになりました。世界中でかなりはやっているヴィム・ヴェンダース監督の「パーフェクト・デイズ」です。

ちょっと驚いちゃった。
ヴェンダース監督は、まだ日本にいて映画を見まくっていた時代にずいぶん見ていて、それって30年以上昔のことだからさぁ、一体いくつ?って。いや、というよりも、かなり若い時から売れていたということにね。
「アメリカの友人」とか、「ことの次第」、「パリ・テキサス」、そして「ベルリン、天使の詩」。懐かしいラインナップ。三十代からそういう映画を次々と撮っていたのかぁ、と感心したね。

で、この映画についても、なんの前知識もなく行ったから、舞台設定と実際の舞台が、面白かった~。姉が下町に住んでいるので、浅草周辺とかは一時帰国時のお散歩コース。この辺は歩いたな、という場所が沢山出てくるのが、なんといっても親しみ湧くし(後日、姉にそれを教えたら、早速見に行って、あそこもあそこも、よく通る場所だよー、と面白がっていました)。
そんで、独特の公衆トイレね。透明のやつは、ニュースかなんかで見たことあったけど、こんなにたくさん、世界レベルの建築家を使って作っているなんて知らなかったんで、それも面白かったね。そもそも、あの一連のデザイナーズトイレのプロモーションビデオの企画から始まった、っていうのも、衝撃だし。

いろんな小ネタが積み重なったストーリーって感じで、それが収束するでもなくだらだら続いて、あ、そーゆーのなんだ、それだけなんだ、っていう肩透かし感、笑。
役所広司さんが賞取ったのも納得だよ。若い俳優さんたちも、みんなよかったな。たけし君のガールフレンドの子、なんか好きだったな。そうそう、石川さゆりも、この人知ってる、誰だっけ誰だっけ、で、歌のところで思い出してすっきりした、笑。

あ、人生ってこんなでもいいんだって、ちょっと安心したりする人、結構いるんでないか?これがベストじゃないにしても、これでもいいよねっていう感じ。

人ってそれぞれ、なんでそういう風になってるの?て思ったりするじゃんね、他人を見て。私なんかでも、なんでおひとりさまで海外で会社員やってるの?みたいに思う人もいるんじゃないのかな。
学校出て、上場企業とか入社して、そのまま定年して年金生活している人なんて今やおそらく少数派で、多くの人が、「あの人はどういう経緯でこの生活をしているんだろう」って世の中なのに、日本っていまだにその自覚がないから、トイレ掃除?え~っていう感覚もあるっていうか、そういうところをうまくとらえたなって思いました。

しかし、どちらもセリフが少ないから、イタリア語吹き替えでも、ほとんど違和感なかったと思います、笑。

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