フオリサローネ2023 その12

見学四日目は金曜日で、本来ランチ後からはフリーとなりますが、このところ忙しいので午後もきっちり仕事しておりました。しかしこの日ばかりは、前日から同僚にも、今日はランチ後は働けない宣言をしておりました。とはいえ、やることは山積みなので、迷惑をかけないよう、朝の7時から仕事しました!我ながら、なんと日本人ぽい涙ぐましい努力か…。
在宅って、有難いですよね、それにしても。通勤だと、7時から働くのは物理的に無理ですし。

というわけで、それでもぎりぎりまで働き、簡単ランチを済まして、出発です。

この日は、予約を取っている展示があったので、それに合わせて、自宅からの見学ルートを決めました。

今回楽しみにしていた場所の一つが、我が家のエリアにあるお屋敷です。ここは、以前のフオリサローネの時期、ぶらぶらしていて、たまたま見つけた場所。つい昨年のことと思っていたら、2021年でした。
その当時は、別ブログで上げていたので、リンクできるか不明ですが、記事を貼ってみます。

2021年に訪ねた時の記事
 

ヴィスコンティ家の狩用の夏の別荘って、とてもロマンのあるお屋敷で、2021年に訪ねた際も、たまたま展覧会をやっていて入れたのですが、その時は、フオリサローネとリンクした展示会ではなかったように記憶しています。

今回は、いくつかのサイトでヒットして、内容はともかく、このお屋敷での展示会というだけで、いてもたってもいられない気持ちで、わくわくして訪ねました。



STILL NOW, The Dinner by Felicia Ferrone
c/o Villa Mirabello

建物の雰囲気だけで、嬉しくなっちゃう。そして、郊外なので、見学者も少なくて、それは展示側にすれば、やきもきするところもあるかもだけど、ビジネスとしてもアートとしても興味のない有象無象が来るよりも、いいんじゃないかとも思いますねぇ。

展示は、三つのスペースを使って行われており、まず、最初の部屋。



この方、ガラス作家さんのようで(知らないで行ってます、笑)、素敵なグラスの類が、鏡面のテーブルに並べられていました。



どのシリーズも、とっても素敵で、個人的な好みに合いました。伝統的な雰囲気もありながら新しくて、トラディショナルというよりはレトロなテイストがあって、センスがとても近い。



器は、やはり使ってなんぼ、と思うタイプで、どれもが眺めても楽しいけれど、使っても楽しそうな様子で、それも好きだったな。
Jonathan Allenという写真家さんによる、実際に、液体を入れた様子の写真が、これも併設展示という感じで並んでいたんです。



美しいです。どれをとっても美しくて、写真にまでうっとりしてしまいました。
ここでの展示でも、写真でも、鏡面に置くことで、下にうつる姿も含めて芸術ですよねぇ。
やはり、ガラスは透明がいいな。

ガラスはベネチアが有名だけど、ベネチアは、イタリアらしく、保守的伝統的傾向が強いんですよね。現代風のものを作っている作家さんもいるけれども、現地ではマイナーな感じします。一気に現代アートのマテリアルとして、ガラスを使っている作家さんは結構いると思いますけど、現代アートもベネチアの売りだしね。
このFerroneさんは、シカゴとミラノに拠点を持っている方のようです。

というわけで、かなり地味と言ってよいガラス器の展示で、すでに食いついているわけですが、お隣の部屋、驚きました…!



お庭に面したサンルームのようなスペースに、青い長テーブルがドカン!ですよ。
この青、イヴ・クラインよりはちょっと明るい青ですが、この中世のすすけたような雰囲気の中では、これ以上ないくらいに鮮やかで、異質で、そのミスマッチ感、飛び上がりたくなるほどワクワクしてしまって、入り口で、どうしたらよいのか、きょろきょろしてしまいました、笑。



ご自分の作品であるガラス器以外は、すべて青。お皿もお盆もナプキンも、すべて本物に、青の塗料を塗っているものだそうです。レモンとか卵もあったのですが、それも本物だということでした。そりゃ、リアルに決まってるわ。

それにしてもインパクトがすごくて、何だろうこれ、と思いながら、テーブルをぐるぐるしてしまうんですけども、その青のことを尋ねたところ、係の方も、お話がしたかったのか、結構色々と蘊蓄を、笑、解説してくださいました。

上は、入り口から入ったところなんですが、テーブルが整然としていて、まだナプキンもお皿の上に置いてありますから、お食事が始まる前の様子。



奥の方へ進むと、お皿に食べ物がのり、お食事真っ最中の様子となります。
そして、宴たけなわ、食事も長くなると、電話なんかもかかってきちゃったりして、おしゃべりが始まったりとかしちゃって、ということなのかな。



最後の方では、お皿が積まれ、お食事終了のテーブルの様子となっています。



色々な蘊蓄はともかくとして、この何とも絵画的な、二次元的な雰囲気すらある眺めを、日常の暮らしと結び付けて、静物の三次元化しちゃっているのが、何ともね。お、Still Nowというタイトルは、Still Lifeとリンクしてるのか?



ガラス器の展示も、考えたらそういうとこあって、この人、アーティストだわ~。

ちなみに、もう一つの部屋は、まさに静物画となっていました。



他二つのスペースに比べると、とても地味な様子だったんだけど、今写真を見ると、まさに静物画と思いました。そういうことだったんだ(決めつけ、笑)。
作家さんの本当の想いはともかくとして、見るときは見ることに集中して、こうやって振り返りをするのが私のパターンなんだけど、アリだなぁ、と思いました。あとから見ると、現場で見るより、俯瞰的にみられるっていうか、改めて解説を読んでみたりすることもあったりして、気づきがあります。好きなものだと、深まりますね。

それにしても、やはりこういう素敵なロケーションでの展示会は良いですねぇ。このお屋敷、もうちょっとまめに、こういうイベントやってほしいもんです。そして、いつまでも、有象無象の来ない、笑、静かな環境であってほしいもんです。



自分も有象無象の一人なんだって、大いに分かっております、笑。

ブログランキングに参加してま〜す。よろしかったら、ポチッとお願いします。
にほんブログ村 その他日記ブログ ひとりぼっち日記へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村


イタリアランキング