コロナになってから変わったことってやっぱり結構あります。
お出かけが少なくなった。遠方へはもちろん、住まいであるミラノの繁華街に行くことも激減。そもそも、コロナ以前から、すでに繁華街に行くことは少なくなっていたんですけどね、それでもイベントとか展覧会があれば、ちょこちょこは行ってたんですよね。でも、コロナで通勤もなくなり、美術館もクローズ、イベントは中止。
というわけで、そういう情報を集める必要もなくなってました。

とはいえ、世の中は徐々に動き出していて、近所の美術館などはたまさか行ったりはしてたし、昨秋は大好きなフオリサローネというイベントで、結構歩き回ったりはしてたんだけど、寝たきり入院になっちゃったし。いずれにしても、一度失った習慣は、おいそれともとのレベルには戻らないよね~悲しい

長期間動けなかった分、面白いものを見たい気持ちっていうのは、啓蟄状態でむくむくしてきてましてグリーンハーツ、知らずアンテナを張りだしてたようで、最近、イベント的なインスタレーション展示に気付くことが出来ました。

無料のインスタレーション!

無料!

良い響きです。
ミラノはね、企画展がしょぼいことが多いです。イタリア全般そういう傾向あるかもしれない。例えば、今、エゴンシーレ展とかやってるけど、多分シーレの絵は数点で、あとは同時代のなんちゃらとか手紙とか椅子とか、きっと訳の分からない展示が沢山で、それでいて、きっと15ユーロとかするんですよポーン
以前は、好きなアーティストの展覧会だと、素直にお金払って行ったりはしてたんだけど、何度かそういう目にあってから、基本有料展覧会は避けるようになっちゃいました。
常設展のある美術館なら、まだ常設展に見ごたえがあったりはしますけど、展覧会だけだとね、かなり無駄。
でも、ミラノは二百万都市とはいえ、イタリアにおいては大都会ですから、無料のイベントや展覧会も探せば結構あるんですよね。数少ないかもしれないけど、意外と重要な大都市のメリット。
だけど、そういうのは、こまめにチェックしてないと気付きもしないで終わってたりします。だから、街中のポスターなんかも、結構気にしてないといけなかったり、いつの時代だよ、的なとこもありますけどね、でもほんと、ポスターチェック、大事。昨日も、買い物のときに近所のポスターで、面白そうな展覧会のがあって、気になっているところ。

あ、わたしは、趣味の一番が中世美術研究なんですけど、実はそっから一足飛びに、現代美術が大好きなんですニコニコ

 

 



でね、その無料の一つ、イースター休みで遠方からの友人が来た際に、どうせ町中に出るなら、と行ってきました!



川俣正Tadashi Kawamata
Nests in Milan
Gallery Building
31.03.2022-23.07.2022

これをネットで見て、おおお!こんなすごいもんが!あんぐりと興奮してしまいました。
だって、こんな感じですよ、遠目から。



変ですよね。
これね、ミラノが誇るファッションディストリクト最寄りの地下鉄駅モンテナポレオーネから数秒の場所なので、すっごい繁華街です。まぁ裏道ではあるので、人通りはそれほどないですけどね。
それにしてもこのビル、よくこんなのできたなと驚いたんですが、このビルそのものが、Buildingというギャラリーになっています。ってか、この時まで存在を知らなかったギャラリー。ギャラリーといっても、ほぼ美術館レベルですね。おそらく建設関係の会社が、財団とか作ってとかそういうタイプの美術館ではないかと想像しています。だって、こんな作品、売れないし。

Kawamataって名前を見ても、ピンと来なかったんですよね、情けないことながら滝汗。でも、ギャラリー内で、過去の作品の写真を見て、ベネチアで見たことあるって思い出しました。現代アート好きと言っても、なかなか作家の名前も覚えないレベルです…。でもね、ベネチアのビエンナーレは長年にわたって毎回行ってるし、ミラノのフオリサローネも丹念に回ってるから、現代ものの作品は、数は結構見てたりします。



いろんな角度から見て、面白がっていたら、窓のお掃除中の方が、中もどうぞって扉を開けてくれました。中にも展示があるのはガラス越しに見えたけど、見学できるとは思わず、嬉しい驚きでした(事前に調べても、よくわからなかった)。
でもさあ、すっごくタカビっていうの?扉は固く閉ざされてるし、ご自由にお入りください的な案内もないし、その時お掃除の人が声をかけてくれなければ、間違いなくそこで満足して帰っていましたわ。こういうとこ、すっごくイタリア的だと思います。



見て、この重厚で、積極的に人を拒絶するような入り口あんぐり。向かいの建物の窓が写り込んでいるガラス窓は素通しだけど、反射しちゃって中見えないし、この扉の呼び鈴を押す勇気はなかなか出そうにないわ。



アーティスト本人が参加した組み立てのビデオが流されていたけれど、無数に用意された白木の板を、おそらくその場のインスピレーションで組み立てていったんだろうなって感じです。部屋中こんな感じですが、自由に間を歩くことが出来ます。見学者は時々数人が来るだけ状態なので、いくらでものんびりといられそうでした。白木の良いにおいもします。



地上階から4階まである、このギャラリーそのものの構造も面白かったです。結構古い建物を、一部改装して、内部は、すべてを取っ払って、各階一スペース用ギャラリー仕様。
元々は小さな中庭があっただろうと頃の地上階はギャラリーとして屋内に取り込み、上部は植栽で庭のようになっていました。この作品と相まって、ほぼ工事中状態、笑。



この手の作品って、写真ではなかなか楽しさ通じませんよね悲しい



Nests、巣っていうタイトルそのものみたいなサイズ感のミニがあったり、宝探し的な面白さもあり。やっぱり現代美術って楽しいわぁ。



外壁が黄色いのとか、その右の方は、別の建物で、ガラス窓越しに働いている人なんかも見えました。こんな素敵な中庭、時として現代アートも見えちゃう職場環境って、あこがれるわ。

大型のインスタレーションは、美術館展示以外は難しそうだから、こういうスタディモデルみたいのを、一般的には販売したりするのかな、というような様子の作品。



なんでも包んじゃうクリストさんは、そういうものの販売で、資金を得てたんだよね。あの人のは、美術館にも展示できないもんなぁ。
川俣さんのは、結構美術館ピースにもなってるだろうし、美術館お買い上げって、やっぱりけた違いらしいね。当たり前だけど。アーティストも生きていかんとね。



ファサードを覆っているやつ、屋内から構造が見えるんだけど、かなりアバウトな止め方でびっくり。こういうのって、日本だとなかなかできないんじゃないかなぁ。地震の心配もあるし、消防法とかそういうので、一般の建物を覆うこんな木造物は、許可されないかも、とか思ったりします。木と紙の国だけに、かえって厳しいかも的な。

道を挟んだ反対側は、高級ホテルだけど、そこにもひっそりと。



知ってないと、確実に見逃すよね、笑。
そして、この同じ道の先の方にも。



これも、ちょっと目線をあげないと見えない位置なんで、気付かずに歩いているの方が多い。ってか、気付いても、なんだろ?なんかの巣?とうっすら思うくらいで、アートと気付かないかも。

最後は、ブレラ美術館の奥まったとこにあったやつ。



この俯瞰で見ると分かると思うけれど、結構作るの大変な場所。コストも時間もかけてやってるから、無料で見せてくれるの、すごいなって感心します。
ちなみにブレラは、美術館でもあり、ミラノの美大でもあり、この休暇の時、見学者はすごく沢山いましたが、この中庭まで来る人はわずかでした。
なんかね、無理やり集客しないんだよね。知ってる人がくればいい、みたいな感じ。

本来は、この時期に開催されるフオリサローネというイベントに合わせたインスタレーションと思うので、イベントの時だったら、かなりの人が来るはずですけどね。今年は、6月に開催ということなので、その時には、訪問者も増えることでしょう。誰もいないギャラリーが楽しめて、得した気分です。

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