地元の横浜文化体育館にボリショイサーカスが来たので、見学してきました。ボリショイというのはいわゆるブランド名で、ロシアのサーカス団が海外公演の時やなんかに名乗るんだそうです。日本の農産物の「どこそこ産!」みたいなものですね。だから、正式にはナンチャラサーカス団という本名を持ってるわけです。まあ、そこに対するこだわりを有するほどサーカスに入れあげてるわけでもないので、個人的にはあまり気にならないですけどね。

 

今回は席が前から三列目という好位置でした。もう舞台から息づかいが聞こえるほどでしたよ。道化の衣装が薄汚れてたとか見えなくていいところまで見えてしまうという塩梅でした。

 

サーカスについては否定的な意見があることは承知してます。動物愛護とかね。そこは置いといてください。狭い檻に入れられて劣悪な環境にあるなんて告発は、専門なひとがいるでしょうから、そっちに任せます。

 

なんかノスタルジックですよね、サーカスって。街から街へと旅して、テントはって、芸事やって稼いで、また次の街へ行く。道化、ダンサー、熊、象、子供から端役のおじいさん、切符売りの少女も大きなバスと幌付きのトラックで旅をする。

 

ショウの主役は空中ブランコだ。街の娘達はイケメンのブランコ乗りに夢中になった。男達はダンサーのヒップに釘付けだ。なんとかダンサーに近づこうという男からのプレゼントとブランコ乗りへの花束とで、楽屋は足の踏み場もないほどだった。でも、ある日、興行を終えた一行は夜の闇にまぎれて消えていく。朝になれば夢も終わる。足跡も残さず去って行くのだ。そこには、『世紀の大サーカス団来日!』と印刷された、ちぎれたチラシがただ風に舞っていた……。ほらほら、なんか映画のシーンみたいでしょ?なんかロマンをかんじるんですよね、サーカスって。

 

ショウはおもしろかったです。出演者は体操選手とかバレエダンサーの成れの果てなんでしょうね。誰にでもやれるというものではないと思います。口元は笑ってますが、目は真剣そのもの。もちろん息だって上がってる。でも、見ていると、呼吸をコントロールしてるのがわかる。肩で息をするなんてことはなく、胸とお腹を大きく動かして空気を出し入れしていた。もう呼吸じゃなくて空気の出し入れってかんじ。自動車のキャブレターとか何かの「装置」みたいだった。え?フツー、そう動くもの?みたいな。彼らはアスリートなんだということを再認識しましたよ。そしてそして、オネーサン達はとてもお綺麗でした。バレエとかフィギュアスケートを連想させる動きだけど、もっとふくよかでセクシーだった。これじゃ、街の男も夢中になるわけだよ。俺もなったわ。花束買っとけば良かったよ。

 

なんてゆーか、すごいアナログなショウでした。悪口じゃなくてね。空中ブランコのネットやなんかも素早く自分たちで組み立てて、使っモノはすぐに片付けるとかね、とにかく手作り感があったな。CGじゃなくて生身の人間だし、誤摩化しも手抜きもない緊張感がありましたよ。

 

これで音楽が生だったらカッコイイだろうなあ。もう、オペラと勝負できるかも。つか、その昔は楽団も一緒に旅をしたはず。CDなんてない時代のサーカスはそうだったはずですよね。チンドン屋が練り歩いてビラやなんかを撒いて回るというさ。舞台の端っこにオーケストラピットがあって出し物に合わせて演奏したのでしょう。

 

俺、やりたいな、それ。そのバンドのギタリストかなんかでさ、若いブランコ乗りの娘と恋をしているという。でも、団長は絶対に認めてくれないの。楽団なんてちょっと位が低いのよ、サーカスではさ、オマケみたいなもんだからね。でも、夜中にこっそりと象の檻の前でデートしてるの。

 

てゆー、設定。ダメ?

 

でも、資金繰りに困った団長は街のギャングに娘を差し出そうとするのよ。買われるわけですよ。ギャングの情婦になるわけよ。それが明日のショウの後よ、ギャングの子分が迎えにくるのよ、キャデラックで。もう、今夜しかチャンスがない。ふたりで逃げるんだよ。遠くに逃げるんだ。そして猿の檻の前で待ち合わせて手を取り合って駆け出すの。時間は夜中の三時よ。もうふたりには明日しか見えてないのよ。ところが、テントの出口のところで人に見られてしまうわけ。年老いたピエロなのよ、それが。ピエロのおじいさんなんだよ。アル中でさ、いつもウイスキーのポケット瓶を呷ってるの。あ!見られた!ダメだ!てゆーさ、もう絶体絶命よ。でも、老ピエロがそこで言うの。

 

「俺はもう年だ、目もあまり見えないし、耳もだって聞こえやしない」

 

独り言のように漏らすのよ。

 

ふたりは涙を流して感謝するんだけど、もちろん言葉は交わさず目も合わさずよ。そして夜明け前の駅にたどり着き、最初の列車に飛び乗って街を出て行くというさ。

 

どう?この設定。ダメ?

 

そして流れ着いた街で流しのギター弾きとダンサーとしてどうにか食いつなぐのよ。でも、ギター弾きなんて仕事ないのよ、カラオケに押されちゃって仕事なんてないの。で、いつの間にかヒモよ、ヒモ。不甲斐ない自分に腹を立てるもどうすることもできず、昼間から酒を飲み酔いつぶれてる。優しかったダンサーにも終いには愛想を尽かされて捨てられるの。彼女には見守ってくれる男が出来たわけよ。街の名士かなんかのセガレでね、もう文句なしよ、健康そうな日焼けに割れた腹筋よ。こっちはもうボロボロですよ。目ヤニ、無精髭、酒、ですよ。そうして薄暗い部屋で隅っこにあるギターに目を留めてボロンと弾いて歌うのがHard Timesよ。ブルーズだねー。

 

あ、だめかやっぱり。

 

ボリショイサーカスおもしろかったです。言葉なんて関係ない。見てればストーリーわかりますしね。また観たいです。次は一緒にどうですか?男性も女性も花束は忘れずにね!

 

街にサーカスが来るなんて、なんかいいよ。素敵だな。  

 

 

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