折り鶴をあげました。 | BoBokoとNekoとNY→メイン→ダラス?

BoBokoとNekoとNY→メイン→ダラス?

前略 お元気ですか。 BoBokoは元気です。 Nekosも元気です。 BoBokoとKuroNekoの味のある(はずの)NY→メイン→ダラス生活のお話です。

 

皆さま、お元気に過ごしでしょうか。ボボコです。

仕事がブログ書いている場合ではない程の忙しさなのですが、

既にストックしてある前回の続きの記事をアップします。

 

 

これはちょっと前置きだが、

私は授業中、良くゲームをしている。

賞品付きだったり付きじゃなかったり。

どちらでも学生はとても喜んでくれるし、

実際学習効果も高いので、どんなに時間なくとも

2週間に1回はするようにしている。

 

賞品は大体お菓子が多い。

 

しかし、ラマダンで断食中の学生がいたり

アレルギー持ちの子がいたりすることもあるので

そういう時は代用して折り紙で折った鶴、手裏剣、風船とかをあげたりしている。

 

よって私のオフィスには時々折り鶴手裏剣とかが何個かストックで置いてある。

 

さて、前回の続きライアン君の話。

 

ライアン君とESOLコーナーで出会い

そこからチューターと学生という関係でそれなりに彼と仲良くなった。

 

これはもう学期が終わりに近づいていた頃に置きた話である。

 

ある日、

ちょうど私のオフィス前の廊下でウロウロしているライアン君を見かけた。

私は授業から戻ってきたところだったと思う。

 

「ライアン君!」

「先生!」

 

相変わらずのニコニコ顔でライアン君は寄ってきた。

「久しぶり!どう元気にしてる?」

「先生、会えて良かった。探してたんです。大事な話があるんです。」

最初はずっとニコニコ顔でいたが、声は段々と暗くなっていった。

 

「僕、今度の日曜日に国に帰ります。」

 

駄目だったんです。

僕すごく頑張ったんです。

障害を持っていても人一倍頑張って、1人で頑張ってきたんです。

友達もいなくてずっと孤独と戦いながら。

この大学は何も助けくれなかった。

僕の家は金持ちじゃありません。

父は自分の家を売って僕の為に授業料を払ってくれて

僕が賢くなって帰ってきてお嫁さんを見つけることを最後まで信じてくれて。

なのに何もかもが終わりました。

何を言ってもこの大学は分かってくれません。

もうこの大学にはいられないと言われました。

僕の人生終わりです。

 

「人生終わり」

「もう僕には何も残っていない。」

「家族にも目を向けられない。」

 

何度も何度も繰り返していた。

ライアン君、おいおい泣いていた。

 

感情的になっていたライアン君は声がどんどん大きくなっていった。

 

ちょっとオフィスに入りましょう。お茶でもあげるから。

動揺していた私はとにかく一旦彼の気持ちを落ち着かせようと思い

オフィスに誘い込んだが、

ライアン君はその場から離れようとせず、

10分か15分くらいその状態が続いただろうか。

 

私が言えたことと言ったら

オーノーとか

それはもう決定なのかとか

ああ、そうなのとか

頑張ったのは良く分かるよとか

あまりにも動揺していたのでいい言葉が思いつかなかった。

ライアン君はとにかく堰を切ったようにずっと話していた。

 

終わりだ。

終わりだ。

 

 

そしてやがてライアン君は我に返ったようにニコニコ顔に戻り始めた。

 

「いいんだ僕のことは。もっと楽しい話をしましょう。

先生はどうですか。元気?」

 

いきなり無理矢理笑顔に戻ろうとしていたライアン君、

その笑顔がとてもひきつっていて、歪んでいて、

何だか私も涙が少し出てきてしまった。

 

「ううん。全然元気じゃない。ライアン君がそんなに悲しんでいるの見るのすごく辛いよ。

いいんだよ、泣いてくれて。時々泣くのは健康にいいことなんだから。一緒に泣きましょう。」

 

あれは私も本当に辛かった。

でもライアン君はもっともっと辛かった。

 

「ライアン君、人生終わり何て言わないで。」

 

ライアン君は今はどうしてもそう思うかもしれない。

今はそう思ってもいいよ。

でも私は絶対に終わりじゃないと思ってるから。

私は終わりじゃないと思っていることをとにかく忘れないで。

そしてそのうちライアン君もそう思うことを信じてるから。

 

「こんなものしかないんだけど。」

 

その時オフィスにストックで置いてあった

赤と銀がベースの和紙でできた折り鶴を

ライアン君に渡した。

 

これを見て、

誰かが自分のことを信じてることを思い出して欲しい。

応援してるから。

 

と、

私なりに必死で伝えてみた。

折り鶴を広げて彼の手の平にのせながら。

 

その瞬間のライアン君の顔が今でも忘れられない。

 

顔色が一気にぱぁっと明るくなり

お口アングリしながら、

手の平に広がっている折り鶴の羽を

割れ物を触るかのように

大事そうに撫で始めた。

目に涙はまだ残っていて、涙をすすらせながら。

 

折り鶴何て、

今時珍しいものでもないと思っていたのだが

ライアン君にとっては初めて見るものだったのである。

 

「こうやって折りたためるんだよ。」

 

と鶴をパタンとしてあげた。

鶴は幸運を呼ぶものだから、

日本では良く人を元気づけるためにあげたりすることを教えてあげた。

 

あれは確か週の始めくらいに起きた出来事だったと思う。

あの日、ライアン君は最後は少し元気を出して帰って行った。

大事そうに折り鶴をポケットにしまって、

「これで先生のこと一生忘れません。」

 

私はとても心配だった。

 

「人生終わり」

My life is over.

 

何て。

 

あんなに絶望的に連呼する人に会ったのは初めてかもしれない。

 

帰り際、

「今日家に帰ったらちゃんとメールすると約束してくれる?」

「お国に帰ったらまずメールしてくれる?」

 

名刺を渡しておいたが、

彼が帰ってからもどうしても気になり

その後上司に相談し

上司の方からも直接彼に連絡がいったようであった。

一応無事だけは確認できてよかった。

 

ニューヨークで教えていた時も

自殺を考えていた、というようなメールを送ってきた学生がいて、

「もう大丈夫です。」とは言っていたけれど、

心配になり上司に相談したことがある。

その時は、警察ざたにもなり、

学生自身は後で感謝してくれていたから良かったが、

同じようにライアン君のところにも

警察とかが押しかけたら

外国人のライアン君には逆効果かもしれないと思い、

ちょっと(というか大分)心配だったが、

上司が個人的に無事を確認してくれたようで一安心。

 

でもライアン君はメールはくれなかった。

 

続きます。