職場の後輩が激推ししてくれたのはドラマ版でしたが、ひねくれ者の私は原作から入るのです。
というわけで東野圭吾『白夜行』!
読みました。
あらすじ!!
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。
ネタバレ注意です!
なんてずっしりしたお話なんでしょうか。
文庫本自体も900ページ近くあり重量級ですが、内容はもっともっと重い。
光と影、太陽と月、表と裏、黒と白。
亮司と雪穂という二人の主人公を表すのに最もふさわしい言葉は何なのだろう、と思わず考えてしまいます。
商才があり理知に富んだ雪穂は容姿端麗、明るい世界を悠々と歩んでゆくだけでなく、周囲をも眩しく照らし出します。その様子はまさに太陽が輝くがごとく。
反対に亮司は、暗くじめじめとした裏路地ですら身を隠し周囲を警戒しながら歩かなければならないような日陰者です。
二人はこの物語の中で、幼少期を除いては直接関わることはありません。
それでも、二人は繋がっている。おそらく愛よりもはるかに強い結びつきです。
十九年に及ぶ壮大な物語の終幕はあまりにあっけなく、とても悲劇的なものでした。
運命共同体とも言うべき亮司の死に、雪穂は何を思ったのでしょうか……。
雪のように白い顔で、その後ろ姿は白い影のようだったと書かれています。
亮司は雪穂を愛していたように思えます。でも雪穂はどうだったのか、私には分からないままでした。
何度か読んで分かることがいろいろと多そうなので、またそのうち読み返したいと思います……!
ここまで読んでくださってありがとうございました!