『戦火の馬』 | 映画・出来事備忘録

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観た映画の感想や日々の出来事などを書きます。備忘録的な。映画は洋画ばっかりネタバレしまくりなのでご注意を!

今日は、


スティーヴン・スピルバーグ監督作品『戦火の馬』を観ました。



第一次世界大戦、激動のヨーロッパ──故郷から遠く離れた戦火を、必死に駆け抜いた一頭の馬がいた。
その名は、“ジョーイ”


数奇な運命に導かれるように彼が巡りあったのは、家族のような絆で結ばれた少年、軍馬を誰よりも大切にするイギリス人将校、ドイツ軍を脱走した幼い少年兵の兄弟、両親を亡くしたフランスの少女、そして、死と隣り合わせの戦場ですれ違う、数多の名もなき兵士たち…。


敵・味方の区別もない極限状態の中で、過酷な運命に立ち向かう人々との出会いと別れを繰り返しながら、ジョーイは彼らから希望を託され、やがて《奇跡の馬》と呼ばれる──。



一番初めにこの映画のことを知ったときは、スピルバーグだし戦場が舞台だし、『プライベート・ライアン』みたいな激しい戦闘シーンがあるのかなーなんて思ってたのですが、全くそんなことはなく。戦闘シーンはあるっちゃありますが、キャラクターが死ぬ瞬間は見せない、モブ兵士も血は出なくて倒れていくだけ、などなど老若男女が観られるようなものになっています。『プライベート・ライアン』『バンド・オブ・ブラザース』の成功で、ハリウッドには戦闘シーンは血肉飛び散る激しいものでなければならないっていう暗黙の了解みたいなものがあった気がするので、それを自ら打ち破って”戦争”を表現してみせたのがすごいと思いました。


邦題って原題の良さを半減させてしまいがちですが、この映画に関しては邦題の方が優れてるといって良いんじゃないでしょうか。"War Horse"は直訳すると軍馬・戦馬の意です。でもそれを『戦火の馬』と表現することによって、「真っ暗な夜に砲撃で燃え上がる最前線の混乱の中を鼻息荒く颯爽と駆け抜けていくサラブレッドの姿」をはっきりと頭の中にイメージすることが出来ます。かっこいいです。こういう邦題のつけ方は好きですー!


ニコルズ大尉(トム・ヒドルストン)、一癖も二癖もありそうな軍人に思えたのですが、全然そんなことはなく普通に良い人でした!アルバートに送るためにわざわざジョーイの似顔絵を描くなんて…。良い人すぎます。私はこの作品でトムヒデビューしたので、『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』でのトムヒに衝撃を受けました。あの馬想いの英国紳士がどうしてこうなった…!って感じでした。結局どっちのトムヒも好きなんですがね。ロキ可愛い。でもやっぱり黒髪よりも金髪の方が好きです~。顔が超イギリスイギリスしてるので、個人的には黒髪に違和感。ちょっと話がそれましたな。戻します。


ジェイミー少佐は、今をときめくベネディクト・カンバーバッチさんだったんですね!!!『SHERLOCK/シャーロック』がベネさんデビューだと思ってたんですけど、『戦火の馬』でした。こちらもイギリスイギリスした顔立ちなので、イギリスが舞台のこの映画としてはかなりナイスなキャスティングだったと思います!トムヒもイギリスですし。


この映画で一番好きなのは、まあベタなんですが有刺鉄線に絡まったジョーイを英兵独兵が協力して助ける場面。敵同士なのにかすかな友情が芽生えちゃうっていう展開に弱いです。和む。「カッターをくれ!」の一声でドイツ側のたこつぼから一気に投げてよこされるカッターを見たコリンさんはどんな気持ちだったんでしょう。「弾に当たるなよー」と言い合って握手して別れた二人ですが、その後大きな戦闘があった様子はなく終戦を迎えたようなので、きっとあのドイツ兵・ペーターさんも元気にやってると思います。コリンさんとペーターさん、また会えてたらいいなあ。


そのシーンの前の、ジョーイを呼び寄こそうとしてみんなして歯をカチカチ鳴らしてみたり指笛・口笛を吹いてみたりするところも和むので好きです。お茶目だなー。


ドイツ側での出来事なのに終始英語でしゃべっていたのがちょっと気になりました。『レッド・バロン』と同じく、出来るだけ多くの人に見てもらいたいっていう理由なのかな…。アメリカ本国での観客の入りが悪いってのもあるのかもしれません。言語に親しみを持てるかどうかっていうのは映画を見るときにかなり重要なことだと思います。


ライオンズの金魚の糞だった息子ディヴィッド、金持ちのコネを使って戦場には行かないつもりかなと思ったんですけど、思いっきり超ド級の最前線で戦闘してましたね…。自ら前線での任務を志願したのなら見上げたもんですが、そうじゃなさそう。いくらライオンズ家でも戦争に関しては権力が及ばないんでしょうか。ディヴィッドは父親に内緒で借りた車に女の子を乗せてジョーイと併走、ジョーイにまたがるアルバートに目を奪われる女の子を見て焦りまくった顔をしてるあのシーンが彼のへタレっぽさをかもし出していて非常によろしい。指揮してるのはかっこいいが別に可愛くはない。ディヴィッドはへタレキャラでしょうね。アルバートと和解できてよかったね~。


アルバートの親友アンドリューですが、死んじゃったんでしょうか…。毒ガスに飲まれてましたし、あれ以降登場しませんし…。死ぬ瞬間を見せない演出のせいで、ニコルズ大尉含め実は助かってたオチじゃないかって心のどっかでずっと期待してました…。アンドリューさよなら。


ジョーイとジェイミー少佐の愛馬・トップソーンの友情、熱いです。脚が弱ってるのに砲引きを命じられたトップソーンを見て、代わりに自分を使ってくれと言わんばかりに飛び出していきます。かっこいいですジョーイ。始めはライバルだった二頭(ニコルズ大尉とジェイミー少佐がライバルだったから)が、戦場での様々な出来事を経て親友になっていく過程が素敵です。トップソーンは故郷の土を踏まないままに亡くなってしまいましたね…。ジョーイならきっと彼の分もがっちり生きてくれるって信じてます。


あの泥沼の戦場で、ジョーイの周りには常に心の優しい人がいてくれて、そういう人たちにめぐり会えたのもジョーイが”奇跡の馬”になれた大きな理由ですよね。すごい話です。


それでは、今日はこの辺で。おやすみなさいー!