関西と関東の違い/日本の方言地図 | をだまきの晴耕雨読

をだまきの晴耕雨読

ブログを始めて10年が過ぎました。
開始時の標題(自転車巡礼)と、内容が一致しなくなってきました。
生き方も標題もリフレッシュして、再開いたします。

関西と関東の違いと、境界線?

よくとりあげられるTVネタですね。

大々的に取り上げたのは、関西の「探偵ナイトスクープ」という深夜番組でした。

それは、「アホ」と「バカ」の境界線はどこか?  という依頼でした(北野誠が探偵役)。

ところが僅かな調査にも、中部地方には「タワケ」が存在し、そんなに単純ではないことに気づくのです。

言葉の多くは、都(京都)から発生して地方に伝播していくことを発見したのは「柳田国男」でした。

これは、昭和5年(1930)に発表した「蝸牛考」による「方言周圏論」でした。

これに先立ち、明治時代に文部省内に国語調査委員会が設置され

明治38年(1905)に「音韻分布地図」

明治39年(1906)に「口語法分布図」

を完成させたのでした。

ただこの世界でも最も古いといわれる「方言地図」作成も言語地理学の発展に寄与することはありませんでした。

柳田が画期的な論文を発表しても、後に続く研究者は育たなかったのです。

戦後になり、昭和23年(1948)に「国語および国民の言語生活に関する科学的研究を行う」ことを目的に、「国立国語研究所」を設立し、

1.現代日本標準語の基盤とその成立過程(を明らかにして)

2.日本語の地理的際の成立と各種芳言語形の歴史(を解明する)

ために、300の言語について、全国2,400ヶ所を専門家が現地に出向き調査を行ったのでした。

調査は昭和32年(1957)から、昭和40年(1965)まで足かけ9年間続けられ「日本言語地図」を完成させたのでした。

本書はその一部(50個)を取り上げています。

方言1


中身はこのようになっていて、それぞれの分布が分かるようになっています。

方言2


見にくいので拡大しますね。

面白い、「明後日(あさって)の翌日は?」の分布です。わたくしなどは「しあさって」なのですが・・・・・

関東では「やのあさって」になっています。

関西で「ごあさって」は「明後日の翌々日」なのです。関東では「しあさって」なのですね。

方言3


この方言地図は、現在「国立国会図書館」にて、申し込みをすれば元版のコピーが可能です。

わたくしも何枚かコピーしていただきました(カラー版ですがとてつもなく大きい)。

このように地方によって、文化が異なるのは「言語(言葉)」だけではありませんね。

ちょっと考えてみました。

1.雛飾り:京都は御所飾り(男雛左・女雛右)・関東(男雛右・女雛左)
  これは以前にも書きましたが、元々京都方式(左が上位)であったものが、昭和天皇が即位礼の際に、右側に立たれたことを発端に、関東地方が倣ったとされています。

2.エスカレーターの並び方:関西は 関東は
  関西(大阪)では、商人が懐の金子を右側に持ったからだと言われ、関東は武士の差している刀が当たらないように左側を歩いたからだと言われていますね(刀を抜くときも有利です)。

3.出汁:関西は薄口・関東は濃口
  関西は、北前船のお陰で「昆布だし」に親しんできました。旨味はグルタミン酸とイノシン酸で構成されるそうですが、昆布(グルタミン酸)と鰹節(イノシン酸)で構成されています。一方関東では、昆布が手に入りにくかったために、イノシン酸の代用として醤油を用いたそうなのです。これが、関東のどす黒い出汁を産んだのですね(関東地方の方、悪意はありませんよ)。

4.蒲焼き:関西は腹開き・関東は背開き
  これは2の商人と武士の文化に繋がります。切腹を連想されるからと言うのですが・・・・

5.すき焼き:関西は牛肉・関東は豚肉
  明治の初め文明開化の時の農耕用家畜の食用転用がすすめられました。関西には農耕用の牛を飼っていたため、牛肉が手に入りやすかったのに対して、関東~東北の農耕は馬が主役で、馬よりも飼育しやすい豚が肉食用に普及したそうです。

  ただこれには異説があって、明治政府は政府軍の食料調達に関東地方の食肉を求めたために、民間に牛肉が枯渇して「豚肉」が主流になったとも。

 関西では、肉と言えば「牛肉」のことを指します。牛肉のことを「肉」と説明なしで使用しますもの。それだからこそ、関東で「肉まん」と呼んでいる中華饅頭を、あえて「豚まん」と呼ぶのでしょうね。

関東と関西の文化の違いは、「ホッサマグナ(糸魚川静岡構造線)」にあると言われています。

元々、別々の島々が大陸移動によってくっついたときから、関東と関西は別物だったのですね。

そこに特徴はあっても、優劣などつけられないと思うのですが。



ペタしてね