拝啓読者の皆様

今日は日本語のみで書きます

本日は私が世界史で尊敬する人物の一人の文章を読んで頂きたいので、それを載せます
:)

写真もあわせてどうぞ





臣亮もうす、
先帝創業未だ半ばならずして中道に崩殂せり。
今天下三分し益州は疲弊す。
此れ誠に危急存亡の秋なり。
然れども侍衛の臣、内に懈らず、
忠志の士、身を外に忘るるは、
蓋し先帝の殊遇を追ひ、之を陛下に報いんと欲すればなり。
誠に宜しく聖聴を開張し以て先帝の遺徳を光らかにし、
志士の気を恢弘すべし。
宜しく妄りに自ら菲薄し、喩へを引き義を失ひ、
以て忠諫の路を塞ぐべからず。
宮中府中は倶に一体と為り、
陟罰臧否するに宜しく異同あるべからず。
若し姦を作し科を犯し、及び忠善を為す者有らば、
宜しく有司に付して其の刑賞を論じ、
以て陛下の平明の理を昭らかにすべし。
宜しく偏私して内外をして法に異にせしむべからず。

侍中侍郎郭攸之・費褘・董允等は、
此れ皆良実にして志慮忠純なり。
是を以て先帝簡抜して以て陛下に遺せり。
愚以為へらく宮中の事、事大小と無く悉く以て之に咨り、
然る後に施行せば、必ず能く闕漏を裨補し広益する所有らん、と。
将軍向寵は、性行淑均、軍事に堯暢す。
昔日に試用せるとき、先帝之を称して能と曰ふ。
是を以て衆議寵を挙げて以て督と為す。
愚以為へらく営中の事、悉く以て之に咨らば、
必ず能く行陣をして和睦し、優劣所を得しめん、と。

賢臣に親しみ小人を遠ざくる、此れ先漢の興隆せし所以なり。
小人に親しみ賢臣を遠ざくる、此れ後漢の傾頽せし所以なり。
先帝在りし時、臣と此の事を論ずる毎に、
未だ嘗て桓・霊に歎息痛恨せずんばあらざりしなり。
侍中・尚書・長史・参軍は、此れ悉く貞良死節の臣なり。
願はくは陛下之に親しみ之を信ぜよ。
則ち漢室の隆んなること、日を計りて待つべきなり。

臣は本より布衣、躬ら南陽に耕す。
苟くも乱世に性命を全うし、聞達を諸侯に求めず。
先帝臣の卑鄙なるを以てせず、猥りに自ら枉屈し、
臣を草廬の中に三たび顧み、
臣に諮るに当世の事を以てす。
是に由りて感激し、遂に先帝を許すに駆馳を以てす。
後傾覆に値ひ、任を敗軍の際に受け、命を危難の間に奉ず。
爾来二十有一年なり。

先帝臣の謹慎なるを知る。
故に崩ずるに臨みて、臣に寄するに大事を以てす。
命を受けて以来夙夜憂歎し、
託付の効あらず以て先帝の明を傷つけんことを恐る。
故に五月濾を渡りて深く不毛に入る。
今南方已に定まり兵甲已に足る。
当に三軍を奨率して北のかた中原を定むべし。
庶はくは駑鈍を竭くして姦凶を攘ひ除き、
漢室を興復して旧都に還さん。
此れ臣の先帝に報いて陛下に忠なる所以の職分なり。
斟酌損益し忠言を進め尽くすに至りては、則ち攸之・褘・允の任なり。
願はくは陛下臣に託すに討賊興復の効を以てせよ。
効あらずんば則ち臣の罪を治め、以て先帝の霊に告ぐべし。
(若し興徳の言無くんば則ち)
攸之・褘・允等の慢を責め、以て其の咎を彰らかにせよ。
陛下も亦宜しく自ら謀りて、以て善道を諮諏して雅言を察納し、
深く先帝の遺詔を追ふべし。
臣恩を受けて感激に勝へず。
今当に遠く離るべし。
表に臨みて涕零ち、言ふ所を知らず。

この表を諸葛亮孔明は後主劉禅に上奏し、北伐という終わりのない旅へと出たわけです。

みなさまも人生に躓いた時、この
『前出師の表』を読まれるといいかもしれませんよo(゚▽^)ノ♪

*マンガは横山光輝『三国志』49巻176~181頁より拝借。
*『前出師の表』は
http://members.jcom.home.ne.jp/diereichsflotte/より拝借。