それから、カラオケ店でバイトをしたけど、2〜3カ月ですぐ辞めた。
そして、この町で一番大きいショッピングモールで仕事を始めた。
帽子専門店だ。
5つ年下の男の子が私の仕事の先輩だった。
仕事は楽しかった。
でも、この会社はザ男社会で、今でいうパワハラまみれ。
何度も
辞めたい。。。
心で感じていた。
俺ラップをする!
そう彼の思いを聞いて数時間後、
5つ年下の男の子は、私が入社して3ヶ月ほどで辞めていった。
マネージャーと私、2人での営業が始まった。
それは地獄の始まりだ。
高圧的な態度、自分の非を一切認めない
いちいち小言を言われる。
胃が常に痛かった。
2ヶ月が過ぎ、姉妹店に新しく男の子が入社してきた。
4つ下の男の子。
同じモール内に姉妹店があったのと、人手不足ですぐ仲良くなった。
仕事の悩みや、人間関係、家族の事、色々話をした。
ある日、仕事帰りに
今度、飲みにいきましょう!
彼が言ってきた。
翌月、彼と飲みに行った。
相変わらず仕事のストレスで胃が痛かった私にお守りを買ってきてくれた。
そして、真っ直ぐに私の顔を見てこう言って来た。
付き合ってください。
想定外で、びっくりした。彼の表情は今だに覚えている。
彼の真剣な気持ちに真剣に向き合いたかったから、
その日は返事を保留した。
2週間、仕事をしながら色々な事を考えた。
私は彼にこう提案した。
仕事場も一緒だから、仕事先にはプライベートは持ち込まない。
それが出来るか見て見たいから、1ヶ月、お試しで付き合ってみる?
彼は、うなずき、ぜったいに持ち込まない。よろしくお願いします。と。
それから、お試しでの交際が始まったが、彼は真剣で真面目で、2ヶ月後には、お互い真剣に付き合っていた。
当然、仕事先のマネージャーとスタッフにも話をした。
そして自然な流れで、同棲が始まった。
朝早く起きて、2人で通勤して夜遅くに帰って来る。
そんな暮らしを始めて1年たった頃、
俺、仕事やめて、ラップやる。
どこかで聞いた言葉だった。
一瞬、時が止まったが、すぐに理解できた。
すぐ住んでいたアパートを引き払うから、私は実家へ戻った。
2011年。
3月に東北大震災が起きた。
その1ヶ月後、祖父が亡くなった。ガンだった。
その知らせを聞いたのは、仕事帰りに彼をアパートに送りに行ってる途中。
姉妹店に届け物があった彼は
すぐ戻って来るね
そう行って走っていった。
何度もあった着信で電源が落ちていた私のケータイを充電し始めた途端、普段かけてこない兄からの着信に少し戸惑い、でた。
なに?今帰り。
はよ、帰ってこい。じいちゃんが亡くなったぞ。
涙が一気にあふれた。
うん、帰るから。
それが精一杯出来る返事だっった。
車に戻って来た彼が見たのは、運転席で号泣する私だ。
助手席へ移動し、彼がアパートまで運転した。
彼のアパートで何があったのかを説明できる気力はなかった。
とにかく早く帰りたかった。
両目を腫らして、涙でまともに彼を見ることさえ出来ない私を
彼は凄く心配していたと思う。
俺が運転するから。
こう言ってくれたけど、強がりで頑固で甘え下手な私は、それをも拒否した。
じいちゃんの命日は、私の誕生日の次の日だ。
昨日は彼にお祝いしてもらって、あんなに幸せだったのに。
帰りの車で何度も何度もなぜ?って。
冷たく横たわっているじいちゃんの顔を見て、また溢れる涙。
母が
きっと誕生日が命日にならないよう頑張ってくれたんやね。
小刻みに揺れる私の背中にそっとつぶやいた。
その言葉がまた胸に突き刺さった。