この監督、子ども目線で撮るのがじつにうまい。幼年期独特の世界観というか、幼い子どもにはこの世界がどう見えているのか、そういう視点で物語はすすむ。メイジーが部屋にひとりでいるときに、遠くで両親が罵り合う声が聞こえる。聞こえていないようでもちゃんと聞いている。そういうシーンがたくさん出てくる。それにこのメイジー役の俳優さんがいい。健気で明るく、そして寂しげだ。メイジーは大人達の勝手に翻弄されまくる。それでも不満は言わないで従う。言わないけど、心のなかは違う。そしてラストにメイジーは事の本質をちゃんと知り、決断する。この展開は“ぼくらの家路”(傑作!)と似ている。しかし舞台はNY。洗練された風景と音楽が、この映画の魅力のひとつになっている。原題は“What Masie Knew”(何を知っていた、メイジー)。邦題もわるくない。観終わったあと、なんとも切ない気持ちになった。
