これは何度か聴いてきたが、まったくおれには入ってこなかった。なぜこれが名演なのか?とずっと疑問だった。きっと年齢を重ねれば理解できるだろう、ということで30歳になったときと40になったときに試したけど、ぜんぜんダメ。のっそりしていて迫力に欠ける。おれの好みからして40年代のベルリン盤や50年頃のウィーン盤の壮絶さが肌にあう(かといって42年のベルリン盤は第一楽章だけで疲れ切ってしまうのだが笑)。そんでこのまえ何の気なしにバイロイト盤を聴いてみたわけ。ところが、これがえらく良かった!。第一楽章のもっさり感は、底なしの充実した響きにうって変わり、第三楽章は、牛歩のような退屈な歩みではなく、その極上のうつくしさに魅了された。特に冒頭の木管のバトンの巧みさ!ここを意識して聴いたことは今までない。まさに天国的な響きに強く興味を惹かれた。そのまま呪縛状態になり最後まで夢中に聴いた。もはや時間の意識はなく、終楽章のコーダでは涙を流すほどの感動が押し寄せてきた。フルヴェン特有の最後のアッチェレランドは抑え気味で、ここも良かった。それにしても50直前にしていきなりこの盤の真価が分かるようになるとは。今回はそんな意図もなかったのが幸いしたのかもしれない。名盤!として聴くとどうしても肩をはってしまい、素直に入ってこないからね。しばらくはフルヴェン後期の録音を再度聴きなおそう。今まで素通りしてきた音楽に出会えるはず。
