とても優しい等身大のドラマである。
育児放棄の母親をもつ主人公であるが、めぐりあわせで彼をずっと見守る心優しい大人(麻薬売人)に救われる。この売人がまた良いんだ!実の子のようにいろんな事を教える。無理強いは決してしない。少年の性格や癖は成長してもさして変わらない(見かけはぐっと逞しくなったが)。三代を別の俳優が演じるが、まるで同一人物のようだ。バックを流れるサウンドトラックは弦の弓をかすれさせたような儚い響き(このサントラもとても気になりYouTubeで拝借した)。
表現方法は新鮮で、最先端の映画を堪能できた。それでも物語に派手さはない。売人のフアイが亡くなった理由も描かれない。しかしそれは物足りなくない。生きていればなにが起こるかわからないものだ。死は特別なことではない。こうして人生の断片を切り取って観客に見せる。黒人の美しさ。海と月の美しさ。愛すべき映画だ。
鑑賞後数日は素晴らしいクラシックコンサートに出逢ったときに感じるような、あの幸福感に包まれていた。

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