喜歌劇「こうもり」序曲。軽やかさはほとんどなくまるで重戦車のダンス。テンポは変幻自在で(即興か?)他の演奏は決して寄せつけない説得力。ブルックナー第9は2楽章の版の違いにまず驚く。なんだこの祝祭的パーカッションは? 違う曲に聴こえる。彼はDECCAでの第5の終楽章でも変わった版をとりいれているから、クナらしいといえばらしい。ブルックナーの数種類の版についておれはほとんど知識がないし関心がない。それにしても有無を言わせない強い説得力をもつ。
クナはもったいぶらない。
どんどん音楽をおしすすめる。こういうのを聴くと現代の指揮者はずいぶんともったいぶった演奏をするものだとおもう。これみよがしな、悪くいえば“煙たい”印象を受ける場合も少なくない。薄味でもったいぶる現代指揮者。濃厚で潔いクナ。だからクナを聴くのは気分がいい。
基本的におれは即興が好きだ。お笑いにしてもその場でポンッと出てくるものがおもしろい。練習どおりに反復したものはさほど興味ない。そういうのは硬く萎縮しているのだ。シャルル・ミュンシュのように本番で楽団員をニヤリと笑い、練習と違った指揮をするのがいい。愛嬌がある。クナなんかその最たるものだ。そういう人間は現代のような凝り固まったシステマチック社会では決して生きられない。
今年のキネ旬ベストテンが発表された。邦画洋画とも意外な結果だった。といってもすべてを観ていないからコメントはしない。また、海外ではアカデミー賞がそろそろ近づき候補作が絞られてきた。こちらは例年に比べいまいちパッとしない。地味だ。これが受賞したらうれしいな、という作品がない。地味と言えばレコードアカデミー賞もいまひとつ盛りあがらない(小澤さんが大賞を受賞したのはうれしいが)。毎年購入していたレコ芸1月号、今回は見送った。