黒澤さんのどん底を久しぶりに観た。
どんなもんだったっけ、と軽い気持ちでまずは冒頭だけ見ようとしたら最後まで止まらなかった。すごくおもしろいのだ。三船さんは彼らしくてすごくいいのだけど、周りの役者がもっとすごいから誰が主演とかはないのだ。三井さんという俳優さんはジョー・ペシを連想させる小柄だがいい目をしており重要な存在感がある。山田五十鈴さんの人を見くびった笑顔は本当に恐いし、対照的に香川さんは可憐な儚さが生々しかったりする。すごい映画を堪能した充実感に満たされた。

反対に山田洋次さんの作品はとんと観なくなった。東京物語をリスペクトした作品を観てあまりにも空想的で都合いい人ばかりが集まりすぎて共感できず、そんな夢の世界どこにあるんだ?って観ていて呆れてしまった。以来、食わず嫌いかもしれないが似たような雰囲気を感じたから疎遠になってしまった。

映画は共感であり、己の現実とあまりに解離してしまうと遠い存在になってしまい興味の範囲から逸脱してしまう。
しかもその己というのは確固たるものじゃなくてそのときの環境や気分で随分違うものだから曖昧で不確実なものでしかない。