エンターテイメントの要素も強いからおもしろいが監督がいちばん言いたいことは、戦場へ行った兵士がうける心の傷と、その近親者にも与える影響のことだろう。
ある統計によると米国帰還兵の自死率は相当高く、毎日22人が命を絶ってしまっているという。これに関連する書籍も出始めている。
映画はあくまでアメリカ目線で描かれる。ふと相手側にたって見たら、まったく違った印象をもつことになる。どんな物事でもそうだけど必ず二面性がある。でもそればかりを意識していては映画はつくれない。
イーストウッドにしては人物描写が薄いような気がした。戦闘シーンがメインになるのは仕方がないが、どこか彼らしさが感じられなかった。
とはいってもクリス・カイル演じるブラッドリー・クーパーの演技はさすがだ。特に心を病んだシーン。何気ない表情や言葉のタイミングが強い説得力を与える。
それにしても実際の主人公クリスの悲劇には言葉を失う(映画ではここまで描かれる)。
つい先日の新聞でクリスを撃った被告に判決が言い渡されていた。アメリカならではの悲劇だろう。
観終わったあと、なんともいえない余韻に包まれた。
それは、これは映画のなかの出来事でなく、いま現在、実際に起こっている出来事だからであろう。しかも未来にも続くある連鎖を含んでいる。
