冒頭のダークでサイレントなダイナーでのシーンはとてもよかった。
特別なことはなにも起こらないが、なにかが起こりそうな危うい空気感。
ぼそりぼそりとつぶやくセリフ。
たぶん頻繁に訪れているのであろう、デンゼルとお店の人とのウイットな会話。
不眠症の彼は「老人と海」を読んでいて、自前の紅茶を飲む。
そしてそこに居合わせたクロエ演じる娼婦との薄いようで確実な心の交流。
この調子でずっといけばいいのだけど、それではアート系作品になってしまう。
莫大な興行収入を得るには、ド派手な展開にする必要がやっぱりあるのだろうか。
この監督は凄惨なシーンにもっていくまで、じっくりと時間をかける。
こういう手法は観る者を心理的に追いつめていく。
実際のドンパチよりもこっちの方がこわい。
しかしそれも前半まで。
後半は陳腐だ。
主人公はいとも簡単にロシアンマフィアを次々と葬っていく。
それまでじっくり時間をかけて描いてきた“それまでの描写”はない。
クロエも出てこなければ、警備員の青年もさほど絡まない。
あそこまで敵を大きくしなくともよかったんじゃないか。
ラストにロシアのボスを倒すのなんかほとんどギャグだよ。
素手であんなに強いわけないって笑。共感できなくなっちゃうぜ。
でも、これ、たぶんシリーズ化されるんだろうな。
