後期ピアノソナタをケンプのピアノで聴いているが、この決して急がない人間味に満ちた演奏にはとても気に入っている。
内田さんのディスクで長年親しんできた曲だけど彼女の解釈とはまるで正反対。
19番の終楽章は快活に弾く内田さんと違い、初めはあまりの鈍重さにびっくりする。
しかし全編この調子で弾いているのを聴いて、気がつくとどこの箇所も心に染み込んでくるからすごく集中した。
はじめてこのソナタ達が好きになった。

最近はこんな傾向でアバドのベートーベンもウィーン盤の方が断然よく聴こえる。

評論や他人の意見を耳にするとついそれに影響されがちだが、音楽はもちろん個人のものだ。
その時の自分の感性にあった演奏、響きは普遍的な模範演奏ではない。
そういった意味で評論は危ない点もある。

ケンプの弾くシューベルトは現在のおれにとって完全なシューベルトである。