■NHKホールは不思議な会場だ。
どの場所がいい音響が響いてくるのか見当がつかない。
この日は1F前方の壁側に陣取っていた。こんな端っこじゃ音楽は目の前を流れていってしまうな、と期待していなかったが実際はそうじゃなかった。
 
2曲目のシベリウスのヴァイオリン協奏曲。
ヴァイオリンのソロが信じられないほどクリアに響いてきた!
音量の大きく聴こえる(楽器と奏者の腕によるものか?)
極寒の北欧の音楽。
このときシベリウスはおおきな悩みを抱えていたのだろうか?
暗く、なにかと必死に闘っているかのような厳しい旋律。
それをどっしりとかまえたカヴァコスが朗々と弾きこんでいく。
この演奏は感動した。(その前のメシアン“キリストの昇天”終曲の弦によるアダージョも深く心に染みこむ名演だった!)
全体的にゆったりとしたテンポ。この曲にはこのテンポがいい。
アンコールはバッハの無伴奏。会場全体がしんと静まりかえり、ヴァイオリンの清らかな響きに聴きいった。
 
メインは。いよ!まってました!セルゲイ!
プロコフィエフ:交響曲第5番(作品100)、これを聴きたくてここに来たようなものだ。
しかし期待が大きすぎたせいか、いまひとつ心が動かされない。
彼らのコンビでは数年前にやったザルツブルグでのライヴがとても素晴らしく、それを聴きこみすぎていた。同じ解釈だけど、昨夜はそれには及ばない演奏に聴こえた。
とはいってもめちゃくちゃ切れのいいパーカッション群や、変幻自在の弦の動きなどの技術面や、ゲルギエフの解釈はさすがだった。
 
ここまででけっこう長い時間が経過していたから終わりかとおもい、ホールを出ようと階段を降りたら、アンコールがはじまった。
短いロシアものかとおもったらなんとワーグナー“ローエングリン”前奏曲。
最小限までおさえられたPPに息をのむ。
おれは階段横に立ちつくして微動だにできないでいた。
とてもよかった。
 
この日のゲルギエフは、速くて大きな音楽よりも、ゆったりと静かでうつくしい音楽がとても印象に残った。
 
それとNHKホール。
場所によっては響きに問題がないので、こんどN響定期にも来てみようっと^^