■かなり久しぶりに観る。
 
多くを語る気になれないほど完璧な映画だ。
砂漠を放浪するトラヴィスの謎が次第に明かされていく面白いストーリーと、たくみな演出にただただ感服しきり。
いつもまでも強烈な余韻が残る。
 
この作品はロードムービーと位置づけられている。
でも確固とした旅の目的もあるし、物語の骨子もしっかりしている(ロードムービーというと旅先で偶発的に起こった出来事を流れに従って展開させるという印象を持っているから、この作品はちょっと違う気がする)。
 
ヴィム・ヴェンダース作品では“ベルリン天使の翼”がいたく好きで感度も観てきた。
彼の登場人物はみなあたたかく、愛や信頼といった人間の根源要素のうつくしい(プラス的な)面に光をあてて、観る人の心に希望をともす。
 
この“パリ、テキサス”でもそうだ。
トラヴィスとジェーンの決して途切れることのない永遠の愛がないと成り立たないドラマという設定が愛と信頼ありきであり、ヴェンダースの人間の美しい部分を描くという特性がうかがえる。
 
二人の再会シーンが、怪しい風俗店のマジックミラー越しというのがじつにうまい!
トラヴィスは落ちぶれてなお魅力的なジェーンの姿をまざまざと見ることができるが、ジェーンはトラヴィスの表情も苦悩も見えない(最後まで二人は対面することはない)。
粋なシチュエーションだ。
 
映像も味わいぶかい。
夕闇シーンのほの暗さ。真昼の太陽のまぶしさ、空の青さ。
どれもすばらしい。
 
久しぶりに「映画を観た!」という気持ちになれた。
 
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