■トニー・スコット監督死去を伝えるニュースを今みて「え?」、と言葉をうしなった。
しかも橋から飛び降りなんて。なぜそんなことを。
 
真相は明らかになるのか。
いや、たとえ死の真相がわかったとしてもそれは現世に生きているおれらにとってだけの“情報”でしかなく、すでに亡くなってしまった本人にはどうでもいいことかもしれない。
 
いずれにせよ本人にとっては、死を選ばれざるをえない深い事情があったはずだ。
ご冥福をお祈りする。
 
 
そのT・スコット監督が制作を務めた新作映画“THE GREY”に、崖から対岸の巨木へロープを伝い渡るというアクション・シーンがある、
観ている者の予想どおり、ここで一人墜落死してしまう。
今回の訃報はそのシーンを想起させた。
 
THE GREY”は不思議な映画だ。
よくあるハリウッドアクション映画といえばそれまでだが、どこか深い人間の真実の匂いもふくんでいる。
 
制作者は神も天国も信じないような“リアリスト”で、生きているうちだけが人生で、死んでしまったらなにもかもがパッと消える。
だからこそ“次世の楽園”などは信じずに今を懸命に生きろ!というメッセージをおれは感じた。
 
しかしこの映画は脚本は安易で、編集は雑。とても“いい作品”とはおれは思えない。
さらに映画ならではの感銘(情緒)を味わっているときに突如、オオカミの奇襲で寸断される。
観客を驚かせばいいってもんじゃない、これだからアメリカアクション映画は好かないんだと、苦虫を噛み潰した。
 
それでもリーアム・ニーソンが見せた最愛の妻に死なれて人生に絶望しきった空虚な表情や、天(神)に向かって挑戦的に叫ぶシーンは、忘れがたい。
 
 
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