■“名もなき毒”(宮部みゆき著)がおもしろい。
初っ端からいきなり読書心をつかまれ、抜けられなくなる。
これほど「先が早く読みたい!」と思わせる小説って久しぶりだ。
前作“誰か”以上かもしれない。
宮部さんの現代小説は、今おれが読みたいものの欲求を叶えてくれる要素がたくさんある。
ストーリー展開の巧みさもさることながら、主人公の杉村三郎氏のやわらかな物腰、考え方、話し方がとても気持ちがいい。魅力的な人物だ。
でもただ単に“良い人”ではなく、人間だれしもがもっている弱さ、ずる賢さ、卑怯さ、などの“キレイじゃない”面もちゃんと紹介されている。
そこも共感がもてる理由だ。
それと素直に言えば、宮部さんの書かれた文字を追っていると、なんだか自分の頭が良くなっていくような、そんな手応えを感じる。
読めば読むほどに文章力の血となり骨となる。
ほんとうにそうなるのかは分からないが、楽しみながら同時に勉強もしているといった前向きな気持ちになれる。
数ある作家のなかでこういう思いがする人は案外少ない。
あと一人言えば、小川洋子さんの文章もそうだ。
読めば読むほど頭がよくなっていく。
おそらく構成力が優れているのと、随所にどんぴしゃな表現をもってきているからかもしれない。
読んでいてストーリーとは別のところでワクワクしている。
だから読みたくて仕方がなくなるのだ。
今日も電車のなかや、ちょっとした時間があればすぐに本を開いている。