
いつまでも強烈な印象が消えない映画だ。この衝撃と感動はとろうとしても心のひだにべったりとこびりついて当面剥がれ落ちそうにない。
この監督による“チェイサー”も見たことがない。きっとこちらもとんでもない映画なのだろう。
全編に漂うダークな雰囲気。
主人公演じるハ・ジョンウさんがとても渋いリアルで孤独な男を演じる。
冒頭のうだつのながらない日々、からもうむちゃくちゃリアル。
深夜の麻雀屋のシーンやタクシーから希望のない目で街を見つめるシーンでこの男の立場や心情がびしびしと伝わる。
逃げ道はもうない。この“依頼”をやってのけるしか彼の生きる道はない。
原題は“THE YELLOW SEA 黄海”こっちの方がタイトルとしていいとおもうのだが、なんでわざわざよくある邦題にしてしまったのだろう。
予備知識もなにもないから、衝撃の連続で途中呼吸が荒くなってしまった。
バイオレンスシーンはハンパない表現。
恐怖というよりあまりの直球さ(根源的なやり方)に気持ちが悪くなったりした。
たけしさんの映画のように拳銃をダーン!とぶっぱなしてケリがつくわけじゃない。
いつまでもしつこくてしぶとい。これは怖い。
それに相手役のボスの気迫がすごい。
自分からどんどん先頭を走り、相手を追い詰める。
おれはこれを観ていて、強く生きねば!とおもっていた。
生きるという意味のなにかが見えたような気がしたのだ。
いや生きることには意味なんかはない。おれはただ生きているだけだ。
その“生きている”という実態のなにかが(おれは今まで見失っていたからか)、見えたのだ。
いやぁ、まだまだぜんぜん書き足りない。
この監督は映画的なテクニックもかなり上手いから、映画を味わった、という深い満足感もある。
カーチェイスのスピード感においてもちょっと他じゃ見られない粋に達している。
これを観ちゃうとハリウッド娯楽映画がお子様向けにしか見えないし、日本のほとんどの映画においても「いつまでそんな甘っちょろいことを繰り返しているのだ?」と苦い思いがしてならない。