
■さて映画。
まさしく息をのむ美しい映像が画面いっぱいに広がった。
トルコのカプランオール監督によるユフス三部作のうち、“蜂蜜”と“ミルク”を観た(BSさんに借りている)。
これらの作品は映画の領域(可能性)を拡大させている。
まったくもって独自の手法で撮られており、都度感嘆した。
いちばんの特徴は、極端ともいえる長回しと、音楽がないことにより映画が日常にぐっと近づいているということ。
一般的な映画に見られがちな派手で劇的な展開はない。ところが突然“事件”が起こるから観ているものは気が抜けない。
展開はゆっくりしているようだけどテンポがいいから、心地いい。
“蜂蜜”ではユフスは6歳の少年。
子どもの目線による演出がすばらしく、ユフスの心の動きがまことによく伝わってくる。
ユフスは、やっていない宿題のノートを隣の子のノートとひょいっと取り替えてしまうしたたかさもある。
子どもんときはこういうとこあるからね。おれもけっこうズルいことやってきたし(笑)
「夢の話はぜったいに他の人にはしてはいけないよ」と小声でお父さんから教えられるユフス。ユフスとお父さんしか知らない秘密の約束だ。
母親との微妙な関係もいい。誰もどうこう説明するわけじゃないが、雰囲気で関係性がわかる。
なにより光の使い方がすごい。西洋画のような美しさをもってこの母親は撮られている。
“ミルク”、その冒頭。
逆さにつられた女を焚き火であぶり、咳き込んだその口から蛇が出てくる。
ショッキングだ。これが一体何なのか、この女は誰なのか、よくわからない。
思春期にはいったユフスと母親はさらに難しい関係になっている。
母の不貞の現場をユフスはおさえ、その帰りの道でバイクを運転中に失神し、転倒する。
ここもいきなりくる。
とにかくシーンがすべて印象的だ。
この作品も映画という枠をはみ出し、現実の厳しさに満ちている。