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■朝靄がたちこめる早朝の道を歩きながら、ウラジーミル・ホロヴィッツが1986年のベルリンで弾いた“英雄ポロネーズ”を聴いていた。

出だしは今まで聴いたことがないくらいの弱音。あれ?と驚くほどの控えめな音量だ。
曲に対するイメージのあまりの違いのため拍子抜けしてしまう。

最初の英雄のテーマが出現する場に至ってもこの表現は変わらない。
ああ、こういう演奏もおもしろいな、と、ホロヴィッツらしい透明で気品のある音色に魅了されていた。

そのうち太陽の光が雲の間からさしてくる。いくぶん寒いが気持ちのいい朝だ。今の季節は悪くない。

曲はすすんで英雄のテーマ二回目の前にくる。

ここらあたりから雰囲気が一変する。重い低音が地の底から駆け上がってきて、右手のテーマとともに一気に強打した!

全身がぶるっと震えた!あまりの感動のために起こるあの身体現象が突如あらわれたのだ。

“英雄ポロネーズ”という名前がこんなにもふさわしい場面はない。
そしてこのピアニストが考えた演出にまんまとはまり「してやられた!」と思うと同時に、なんと凄いピアニストなのだとあらためて驚嘆した。

このときのホロヴィッツは最晩年にあたり、写真で見るかぎり、とてもかわいらしいおじいちゃんにしかみえない。

しかしホロヴィッツはホロヴィッツ。この英雄を聴いたら誰だって感動しないわけにはいかない。


ピアノの一般的イメージってポロロン、ポロロンって感じじゃないですか。でも彼のピアノのイメージはそんな軽いもんじゃなくて、ヴォロロンッ!!というロシアの厚みがギュッと凝縮された響きなのだ。
それでいてとてもあたたかい。

スカルラッティの胸が苦しくなるほどの華麗さも相変わらず健在していた。

まだよく聴いていないが、シューマンのクライスレリアーナはアルゲリッチの生命力あふれる演奏で慣れていると、これも戸惑う演奏。はじめはこれがクライスレリアーナとは気がつかなかったから。

まあこれからじっくり聴きこんでいくうちに全貌があきらかになるでしょう。


当時のベルリン聴衆の熱狂は凄まじく、それを直に収めたライヴ録音は実にたのしいものだ。

ライヴといいつつ完全なライヴじゃないものが多い。
あとで音を切り貼りするから半ライヴという表現に変えてみてはどうか。

半ライスちょうだい、みたいだな(笑)



うーん、どうも文章がうまく書けない・・・