
スティーブン・ソダーバーグ監督だからやっぱり前者だろう。しかもスタイリッシュに幾分スマートに。
軽快なテンポの音楽をバックにウィルスが人間社会に蔓延していくシーンがある。恐怖感をやわらげてしまうが、これが監督の流儀でいちばん魅せたい方法なのだろう。
前例がなく恐ろしく致死率の高いウィルスだけど、生まれながらにして抗体をもっている人間もいる。すべての人が直ちに死んでしまうという設定ではない。
なんだか物足りないといった書きっぷりだけど、決して時間をもて余すわけじゃない。二時間近くずっとスクリーンにひきつけられっぱなしだった。
俳優陣も好きな人が多かった。
主人公ともいえるマット・デイモンは最近特に素晴らしい俳優になってきた。角がとれて円熟味がじわじわと出てきたようだ。今年初め公開した“ヒア・アフター”でも同じような円熟を感じた。こういう拳銃が登場しない作品をこれからも観ていきたい。
ケイト・ウィンスレット。
この人はどんどんすごくなっていく。この映画でもものすごい気迫を感じる演技を見せているから存在感ではいちばんじゃないかな。
ジュード・ロウ。
ブログで国の政策を批判したりして市民の支持を得ているが、彼の言っていることは本当なのか・・、といういかにも現代のマスメディアには欠かせない人物をエネルギッシュに好演。
彼の冷徹な目が不気味だがそこが魅力でもある。
こうした俳優たちのプロフェッショナルな演技を味わうという点でもこの映画は楽しめる。
結局のところソダーバーグ監督は猛毒ウィルスを題材としたエンタテイメント作品を撮りたかったのだろう。その点では成功しているし、この方が現実的ともいえる。
最終的には全世界の1%の人間が死んでいく。現在人口は70億人だから7,000万人が死んでしまう新種のウィルス。
数字だけこう書いてもピンとこないものだ。それほど脅威じゃないんじゃないか、と。
監督は「あなたの隣にいる大切な人がある日突然死んでしまう」という切り口からはじめる。その過酷な現実を受け入れられないまま登場人物たちは生きぬくキーを模索し苦闘する。
この映画の世界が現実に起こらないとも言いきれない。
そう、なくはない。
この辺のもやもやした想いがいつまでもひっかかるんだよね、こういう映画は。