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■銀座に着いたら映画が観たくなったので、どれにするか選ぶべく交通会館に入る。
ここでチケットを買うのは本当に久しぶり。ここも学生の頃から通っていた売り場で、その当時とまったく変わっていないシステムがうれしい。

時間的に都合がいいのは・・・これだ。先々週見逃した「スリーデイズ」。13時40分開始の回、これしかない。

丸の内ルーブルに入るのもこれまた久しぶりだった。最近は映画というとシネコンに行ってしまうからこういう本格的な映画館があったことを改めて知った次第だ。

椅子も内装もシネコンのチンケなやつと違って高級感がある。ここで平日の好いている時間にゆっくりと映画を観る。この瞬間も幸せのひとつだ。

さて、映画はなかなかおもしろかった。

主演ラッセル・クロウの野性味溢れる無骨さと、家族を想うやさしい男という二つの面がとてもいい。

ストーリーはいたってシンプル。無駄な説明がないのもいい。
最近の映画にありがちな解説過多で観客に思考をさせない作品とは違い、映像でサラリと魅せる。

たとえば父親との別れのシーン。
お互いに何も言わない。握手とハグだけ。その微妙な間と目配せだけでお互いすべてを理解し合えたことを物語る。
ああ、こういうシーンがじつに映画的でいいなぁ、と感動した。

それとラスト近く、あと少しで妻が車から落ちて一命をおとしそうになった後の夫婦のシーン。
あまりの出来事にお互い言葉もなくただ車に寄りかかり座っている。お互いの小指がふれる、それを絡ませる二人。ここにもセリフはないが、心の動きがこれで分かる。

映画の基本はサイレント。言葉だけで大切なシーンを表現するようでは本物ではない。

なぜ、妻が殺人犯として逮捕されたのか、真相はどうなんだ?とかはおれから言わせればどうでもいい。そこはそれほど重要じゃない。

この男と女は、この後どういうふうに考え、決定し、進んでいくのか、ここが観たいところなのだ。

アメリカ映画の良い部分がつまった秀作だ。

ラッセル・クロウのはにかんだ笑顔はかわいらしいな(笑)



さて、いい気分になって映画館をでて(こういうとき自分のなかに多少主人公が混ざるもので、そこも映画のいいところ)、早めに赤坂に向かってコンサートまでホテルのロビーでくつろいでいればいいな、とおもい有楽町駅に来ると山手線が全線ストップとのこと。JRをあきらめた人がメトロに集中するだろうとおもい、そんな混んだ電車なんかには乗りたくもないので、歩くことにした。

日比谷公園を抜け、国会議事堂を横目に見て(ここに首都高が上下にクロスするすぐれた撮影現場を見つける)、アークヒルズへ。


■ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団の定期。

混声合唱が入る二曲と、小菅優さんをソリストに迎えたシェーンベルクのピアノ協奏曲。

どれもおもしろかったが、やはりラヴェルの「ダフニスとクロエ」だ。

今回はめずらしい全曲版。これはピエール・ブーレーズがN響を指揮したときに聴いた以来のもの。

ノットは現代風の解釈で、メリハリを強く意識した指揮ぶり。それでいてラヴェルのあのしっとりと湿ったような芳醇な香りがうまく漂うという優れた演奏だった。

「ダフニス・・」は音楽がもつ興奮のなにもかもが詰まった贅沢な名曲だ。聴いていていろんなシーンに連れて行ってもらえるので、聴き応えは充分。

でも多少なかだるみな箇所があった。まあ、それでもこの曲が聴けたのでいいだろう。

ラヴェルのスコアというのは嫌になるほど精緻に書かれている。いったいあんなのを指揮者はどう解釈して奏者はどう演奏するのか?と不思議に思わないわけにはいかない。

ついでに、おれの座った席のまわりには人が誰もいなかったので、靴を脱いであぐらをかいてリラックスして聴くことが出来たこともよかった。ここは家か?(笑)

いやー、満足な午後でした。