■通勤時、MUJIで買った無地のトートバックをもっていっている。
これは非常に便利であらゆるものがバサッと入れられる。
おれはだいたいにおいて大雑把なものが好きでチマチマしたものは嫌いな性質だから、こういう入れ物じゃないと満足しない。
それを肩にしょって今では会社で禁止されているジーンズとTシャツというイデタチで通っている。

通勤時にまで会社の法律が侵食してくるおせっかいへの抵抗ということもあるが、そもそも社外の格好なんてそいつの大切な自由の範疇であるにもかかわらず(ついでにいうと会社の金を横領したとかいう犯罪でもないのに)つべこべと言ってきやがるうるささに絶対に従ってなるものかという意地でそうしている。

しかも紙っぺら一枚で決定するという怠慢さ。その禁止理由にしても「第○○条にのっとり」などと意味不明なことしかないのもまったく腹立たしい。
またそれに違反したら罰金なり降格なりあればいいものの、それもない。
なんとも玉虫色の気色悪いこの取決めにはアホらしすぎて、閉口しきり。

勝手にそっち側でやってくれ、おれには関係ないことだ。
罰するなら罰してほしい。
そもそもこのスタイルはもうずっと続いているおれの格好なのだ。
抵抗するのが一番の目的ではない。野生クマの生息エリアに開発目的の人間がずかずかと入りこんできた構図と一緒なのだ。


そんでこのまえ、このトートバックにいつものごとく入れてあるアタリメを取りだし、ルービーを飲んでいると、どんどんヒートアップしてきた。
ま、いつも会社帰りはやっと自由の身になったとの喜びから駅ルービーはじゃんじゃん飲んでしまうのだけどこのときは更にいってしまった。
そのまま電車に乗り込んでまで飲んでいると、ふと気がつくと目の前にいたバーコードおやじに見覚えがある。
なるほどこのバーコードは会社のお偉いさんだな。

この電車は案外混んでいてそやつの頭上で缶ルービーを傾ける格好になっていた。
ただでさえ大男が電車内でルービーを飲んでいるという風景はいやでも目をひく。
そのバーコードはおれの存在に気がついているはずだ。

校則違反のだらしのない格好でルービーを飲んでいる現行犯を見つけてなにか言ってくるかなと、なかば待ち構えていた。
でもやはりというべきかなんにも言ってこず、最後までおれに気がつかないふりを決め込んでやがて途中駅を降りていった。

言ってきてもぜんぜんよかったのにこれではなんとも拍子抜けだ。
「あんたそれでも役員なのか?!」と逆に詰め寄りたくなってきた。
もしくは後日になって卑怯にもお決まりのルートを通して直属の上司に呼び出されるかと期待していたが、それもなし。

一体なんなんだこの取り決めは。あってないのと同じではないか。

ではみんなもいつもと以前と同じどおり気にしないで好き勝手な格好で通勤すりゃいいものを、従順で思考能力ゼロのロボット羊のごとくきっちり守っている。
そのうえおれに出会うと驚いた目線で上から下までおれの格好を眺め、あいさつもそこそこにそそくさと退散する飼いならされた輩ばかりで、気持ちが良いったらこのうえない。



今の世の中、ばかばかしいことに真剣になって、肝心のことがおろそかになっている。

しっかり目を見開いて考えて生きていかないと、それに呑みこまれアホの片棒をかつぐことになるぞ。